第10話 最深部に到着し、透視で覗いてみると?

 新たに生まれた通路は人工的な遺跡を模した階段をデザインした。階段を下りると一本道の通路となっていてそこを進む。


 やがて行き止まりへと辿り着いた。


「この壁の向こうがダンジョンの最深部です、壁は薄く人間の力でも十分に破壊出来ます」

「ならこの壁を破壊して中に流れ込むんだな?」


 確かにその通りだ、しかしその前に確認しておく事がある。


「突入するまえに俺の力で最深部の様子を探る、壁を透視してどれくらいの魔物がどのように配置されているのかを確認する」

「そんなことも出来るとは、本当に多才な魔法を使うなゼオンは」


 魔王パワーが魔法と同じ物なのかすら俺には分からない、しかし魔法みたいな事が出来るのはとても便利で使えるのは事実だけどな。


 そして俺は魔王パワーで壁の向こう側を透視した──。



◇◇◇◇◇◇



 魔王パワーで透視をすると壁の向こうにはまるで神殿の内部を思わせる感じだった。


 悪く言えば邪悪な儀式とかをしていそうな雰囲気の場所と言うヤツだ、大きな祭壇がありそこには大きな火が燃えていた。


 その前に台座があり、その上に1人の少女が横たわっている。金髪セミロングの中々可愛らしい美少女だ、歳は15、6と言うところだろう。そしてその台座の前に変わった刺繍をしたローブを着た小太りの男がいた。


 アレは人間じゃないな、魔法で人に化けた魔物か。他の魔物は人型で肌の色が青だったり灰色だったりしている、後は角が生えているのもいた。


「人に近い姿の者が多いです、肌の色が青や灰色、あと角が生えている者が多数確認出来ます」

「……恐らくソイツらは魔族だ、ゼオン」

「魔族ですか」


「ああっわたし達人間は魔物と一括りにしている者も多いが、知性を持ち何より人と大差ない文明社会を持っている。武器も使えば魔法も使う、魔王軍でも幹部には数名は魔族がいると聞いた事がある」


「……確かに、魔王軍にいた人型の魔物、アレは魔族だったと思います」


 あのエロい美女とかがそうだろう、恐らくファンタジー世界で言うサキュバスとかヴァンパイアとか種族では分けられるだろうが。人に近しい見た目の魔物を魔族と人間は呼んでいる……っと股クサ女神からの情報にはあったな。


「ヤツらは人間以上に魔法の扱いに長ける者も珍しくない、戦闘能力はかなりの物と見るべきだろうな……」

「少し待って下さい………!」


 何と台座の上の少女が目を覚ました。生きていたのか?それは素直に良かったとホッとした。




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