第6話 北の洞窟

「報酬は金貨5枚に魔物を討伐した者は追加で報酬を出す!魔物の首魁を倒し娘を救った者には金貨50枚を出すぞ!娘を攫い、さらには妻まで寄こせなどと抜かすあの魔物共を一匹残らず根絶やししてやるのだ!」


 血の気が多いオッサンである。冒険者達はアガン子爵の所の騎士達の先導に従って次々と北の洞窟へと出立していく。

 

「よしっではわたし達も行こう、首魁はともかく雑魚の魔物を一体でも多く倒して稼ぐとしようか」

「当然だ、オレの戦槌で魔物共をぶっ飛ばしてやるぜ!」


「………はいっそれじゃあ行きましょう」

 本当は空でも飛んで行けば速いのだが、冒険者と魔物の戦いを観察するという目的もあるんだ。ここはあの冒険者と騎士達の行軍に付き合うとするか。



◇◇◇◇◇◇



 結果としてその北の洞窟に着くまて2日間かかった。……ハッキリ言って舐めていた。


 俺は当初場所も分かってる上にたかが洞窟、そう遠くはないだろうと考えていた。しかしこれが移動を他人の足に合わせると中々進まない、まさか洞窟に着くまで2日もかかるとは思わなかった。


 いやっ移動をゲームか何かのようにお手軽に考え過ぎていたんだ、普通に敵の根城まで移動すると考えれば納得の距離感。むしろ道中に魔物が全くいなかった事の方が驚いた。


 グリフさん曰くこれだけの人間が集まっている所に数匹の群れで襲い掛かって来るほど魔物はバカじゃないとのことだ。確かにこちらの人数は騎士や冒険者が総勢百は軽く人数いる、異世界に来てまだ大した時間を経ていない俺にはこれでも軍隊か何かのようだと感じた。


 本来なら俺は魔王としてこの数百倍魔物達の頂点に立つ筈だったのだが、ブサメンという理由だけで……やはり魔物に慈悲とかないな。その洞窟の魔物も俺はサクッと殺れると思う。


 そして洞窟に着くと既に数十人の兵士的な連中が洞窟の入口を封鎖していた、見張りか。


「どうやら魔物を逃がさない為に先行部隊を出していたようだな」

「フンッようやく魔物狩りか、腕がなるな…」

「そうですね」


 個人的にはこれだけの人数でたかが洞窟の魔物を袋叩きにするとか結構……引くな、しかしブサメン魔王は容赦しないのだ。


 特に画面偏差値の低さをバカにするなら人間も魔物も絶対に許さんからな。


「よしっ!洞窟の外に逃げ出した魔物を討ち果たす部隊以外は突入し、魔物共を血祭りにあげよ!」


 だからセリフが一々物騒なんだよ。


 




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