第4話 戦士カリオ
今度俺の目の前に現れたのは結構小柄な青年だった。胴鎧に手甲や足甲を少しダボついた布の服とズボンの上に装備しブーツをはいて、手には身の丈以上に巨大なハンマーを持っている。
顔立ちは不明、何故なら包帯で目元以外をグルグルにしてるからだ。まあ声がハスキーというか中性的だが男なのは間違いない。
そしてあのハンマーから重量級の一撃が得意な戦士と見た。
「オレの名はカリオ、戦士として最強を目指し世界を旅する男だ!」
「フッ名乗るか少しは礼儀を知っているな、わたしの名はグリフ。魔法使いだ」
「俺はゼオン。前は魔王をしていて今はむしょ……フリーターだ、ミイラ男カリオとやらお前は…」
「誰がミイラ男だ!オレはちゃんと戦士だと名乗っただろうが!」
「それより魔王って部分にツッコまない?」
「さっきの話は聞いていた!魔王だとかそんな話は知らねぇ!それよりも……」
「「…………?」」
「オッオレも実はソロでな、大量の魔物と戦うのは……正直心許ないんだ!」
お前もボッチか。仕方ないので俺とグリフさんのパーティーに入れてやる事にした、顔を隠してるのはきっと魔物にやられた……っという理由でブサメンを隠蔽していると予想したからだ。
世の中はブサメンに厳しい、だからブサメン魔王くらいはブサメンにも優しくありたいと思ったんだ。
「フッ魔法使い、今はフリーターの元魔王、そしてミイラ男の戦士か。随分と濃いメンツのパーティーになったものだ」
「顔の濃さならお前がダントツだろうが、魔法使い」
「……ゼオン!コイツマジでムカつくんですけど!?やっぱ追い出さないか!?」
一瞬でキレるなグリフさん、仮にもアラフォーが短気とか可哀想過ぎるから。
「グリフさん、彼はまだ若い。それ故に俺達大人が寛容にならなくてはいけないと思いますよ?」
「…………そうだな、お前の言う通りだゼオン」
「いい歳したオッサンが一人称が『俺』ってのも正直キツいと思わないのか?」
「…………………何だと?貴様」
俺は秒でキレた。痛いところを突かれたからだ。
グリフさんが俺達の間に入り俺にまあまあと言ってくる。
「落ち着んだゼオン、ここでキレたらわたし以上にかっこ悪いから、な?カリオ!お前も人を一々怒らせない!子供じゃないなら言葉を少しは選びなさい!めっ!」
「……わーったよ、たくっ」
グリフさんがお母さんスイッチが入ったからなのか(オッサンなのに)、カリオは素直に従った。やはりオカンには子供は勝てないのだろう。
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