第3話 魔法使いグリフ
話し掛けて来た相手を観察する、耳にかかる位まで伸ばした茶髪。青のローブに杖を手にすると言う魔法使いとしか思えないアラフォーのオッサンだ。
変に髪を伸ばしてるのが癪に障るな。
「わたしの名はグリフ、見ての通り魔法使いの男だ。黒マントよ1つ聞くがお前も冒険者なのか?」
「俺の名はゼオン、少し前まで魔王をしていました」
グリフが微笑を浮かべたまま固まった。
「…………魔王?」
「魔王です」
「……うん?冗談とかじゃ……なく?」
「本当に魔王だったんですよ、まあもう魔王軍も解散しましたから今はただの………フリーターか無職ですね」
「…フリーターってなんだ?え?いやっ魔王のわけないでしょう?お前………アラフォーのオッサンだよ?黒マント羽織ってるマジでダサいだけのオッサンなんだよ?」
失礼なアラフォーで黒マントなら魔王じゃないってどういう了見だ。
「マジでダサいかどうかは関係ない。俺は魔王の力を女神から貰って異世界からこの世界に転生してきた男なんですよ」
(………何言ってんだコイツ)
「まっまあその話は後にしよう、仮にゼオンとやら。お前が魔王だとして戦闘ではどのくらい役に立てる?」
「強さだけなら先ず誰にも負けません。前衛も後衛も全部出来るし、回復もデバフも変わった魔法も大抵使えます」
「………ほうっ中々強気の発言だな、では1つ提案なのだが」
何を言う気か知らないが、俺は孤高のブサメン魔王。下らない戯れ言には興味がないぞ?。
するとグリフとかいう胡散臭さいオッサン魔法使いはずいっと俺に顔を近づけて口を開く。
「ぶっちゃけここにいる連中、みんなパーティー組んでる訳よ。ボッチとか寂しいからパーティー組んでくれない?オッサンって若い子に混ぜてって頼んでも秒で断られてシンドイのよ」
俺のコイツへの信頼度は上がった。少し話をしてみよう。
「…………………1つ、聞きたい」
「なんだ?」
「お前……いやっグリフは………女性にモテるか?」
「生まれてこの方42年、一瞬たりともモテ期なしだよ?」
「なら女は見る目がない馬鹿共だと思っているのか?」
「……まあこのグリフの実力も理解が出来ない若い女子が多い事は理解しているな」
「けどそんな若い女子達にチヤホヤされてモテまくりたいから冒険者になったんじゃないのか?」
「フッ………それ以外で、冒険者なんてなるヤツはいない。違うか?」
その通りだ、異世界に転生する野郎はすべからくモテる為だけに異世界に行く、成り上がりも無双もスローライフも口先だけの建前でしかないのだ。
この男は分かっている。大した
「………グリフ、いやっグリフさん。貴方は同士だ」
俺はグリフさんとがっしり固い握手をした。
「何やってんだお前らは……バカか?」
随分な物言いだな。今度は誰だ?。
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