第1章
第1話 人間の街での誘拐事件
そこは人間の街、そこで人間が経営している酒場だ。ブサメン魔王こと俺、ゼオン(前世の名前とかいらんから捨てた)は酒を飲んでツマミを口にしていた。
白ティーシャツに下は紺色のジーンズ、何故か黒マントを羽織ると言うクソダサファッションのオッサン、それが今の俺の姿だ、魔王として転生した時のまんまの姿である。ファッションには興味もないのでほったらかして着ている。
俺はあの股クサ女神に異世界転生されるときにこの世界の情報をあらかた頭に不思議な女神パワーで入れられた。だからこの世界の事情はある程度把握している。この世界は人間とその他様々種族(要は魔物)とが世界を半々に分けて争っているのだ。
戦争に興味もない俺は魔王城から財宝をくすねた後は人間側の領土に魔王パワーで空を飛んで移動、戦線からかなり離れた場所に逃亡したのだ。
そこの酒場で1人酒盛りをしてるのが現在の俺である。流石にここまで来れば魔王軍の残党が財宝を返せと言ってくる事はないだろう。ちなみに既に軽く1ヶ月は魔王軍が解散してから経っている、くすねた財宝のお陰で食う、寝る、起きるそして飽きたら別の街へってな具合の旅人生活をしている俺だ。
日本じゃ日々社畜として負け組人生を生きていた反動か、この世界では全く働こうだなんて思えない。ダメ人間で、すまんねフッフッフッ。
「しかし酒場だってのに冒険者的なガラの悪い連中が1人もいないとは、案外治安がいいのか?」
っていうか俺と酒場の店主以外誰もいない、麦酒はあまり冷えてはいないが代わりに香りも良くツマミも十分に美味しいと思うんだけどな?。
すると酒場の店主も暇なのか俺の疑問に答えてくれた。強面のハゲだが良い笑顔をしてるオッサンだ。
「ハッハッハッ!ソイツには理由があんだよ」
「理由?」
「ああっ何でもこのガンマの街を治める領主様のひとり娘が……魔物に攫われたらしいんだと」
「誘拐ねぇっ魔王軍は解散したってのにバカやる魔物はこんな田舎にもいるんだな」
魔王軍解散のニュースは既に世界中に響いている、しかし魔物達は世界各地で好き勝手してるらしく世界の全てが平和と言う訳ではない。それでも大分マシになったと言う話ではあるのだが。
「全くさ、どうせ戦線から逃げ出した小悪党がって話だが領主のアガン子爵はカンカンだ。自前の騎士だけでなく傭兵から冒険者からを領地から集めまくってその魔物の一味をぶっ潰すって息巻いてるよ」
「子爵も子爵で血の気が多いな、まあそう言う世界なんだろう」
俺はカウンターに銀貨を3枚置く、約三千円が今回の食事代だ。この世界には税とかないから計算がしやすくて助かる。
「毎度あり!お客さんは何処へ行くんで?」
「もちろんその領主様の所に売り込みだ」
まっ血の気はないが人間と魔物と戦いとか見てみるのも面白そうだし、行ってみるか。
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