第3話 スネーク・イン
そんな彼を監督は一筋の光へと導く。
「中折れするにはまだ早い。これも田原総一郎という男の壮大な計画の一部だったんだ」
「計画の一部? 国に逮捕されることがですか?」
「そうだ。"スネーク・イン"だよ」
「ス、スネーク・イン?」
「現在進行形で話を進めている議題に違う議題を挟み込み、全く違う話へ持ち込む、いわば業界のやり口だ」
「全く違う話へ? ま、まさか……異世界での乱交パーティーは田原氏の本当の目的を隠す為の戦略だったてことですか?」
「フリセを広めれば国は治安の乱れだと言い、何かしらアクションを起こすと踏んで田原氏は事を起こした」
「なんて大胆なんだ。さすが伝説のジャーナリスト。でも捕まったからって国王とは繋がりができる訳じゃないですよね?」
「その通り。まず田原氏は看守と取引をしたんだ。内容は『乱交パーティーで知り合った女の子を紹介する』というものだ。看守は二つ返事で返し取引に応じた」
「なんて解りやすい看守だ」
監督は持っているコンドームを力いっぱい引っ張りながら力説した――――。
田原氏はこの世界の王政に危機感を持った。
王の言葉や言葉を代弁した先触れの話は、姿勢を正し正座で聞く。
王の生誕祭には必ず感謝の祈りと貢ぎ物を献上せねばならない。
王が病に伏せれば国民は、自粛を求められ外出を控えなければのらない。
まるで国民は王の奴隷のような扱いだった。
これがいかに国民の自由を奪い国を崩壊させかねない状況かを、王に納得させなけれぱのらない。
しかし、相手は一国の王。
ただでさえ牢屋に入れられた罪人で別の世界から転移したよそ者だ。
王へ直訴するには平坦な道は通れない。
が、田原氏の計画はここで実を結ぶ。
実は王宮に従事する者の中には、お忍びで田原氏の乱交パーティーに参加していた者もいたんだ。
それを王にバレることを恐れた人間は、田原氏の提案を受け入れるしたなかった。
王宮の官職の者は田原氏が王へ直談判出来るよう便宜を図った。
そうしてついに、念願の王との話し合いへ持ち込んだんだ。
田原氏を異端者として見る王に対して、臆することなく田原氏は、国王と民主制について討論した。
それこそ朝まで徹底生討論だ。
そしてついに国王は田原氏の熱意に根負けして、民主制を導入した。
というより、朝まで討論したことで疲労と眠気が貯まった国王は思考が散漫になり、途中から田原氏の話が耳に入らなかった。
これは嘘か本当かわからないが、最終的に王の心を動かしたのは田原氏のある言葉だった。
――――民主制になれば、王様もフリーセックスが出来ますよ――――
そこから王の態度は一変。
田原氏がそこまで言うなら民主制とやらをやってみよう。
どうせダメだろうから、その時に取り止めればいい。
国王はそう考えたんだろう。
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