適当に生きる。

シヨゥ

第1話

「適当に生きていたいのに、それが難しい」

 友達はそう言う。

「やらなければいけないことが多すぎるんだ」

 そう言って頭を抱えてしまった。

「じゃあ本当にやらなければいけないことを考えないとな」

「いやいや今やっていること全部が大事なんだよ」

「大事だと思っているってことは執着しているってことだな」

「執着?」

 友人が顔を起こす。

「そう。こだわっているんだよ。衣食住、この3つ以外を大事だと思うのは執着だ。適当に生きるってことは何にも縛らるずに生きるってことだろう?」

「ああそうだ」

「だったらまずは衣食住以外で執着しているものを少しずつ減らしていかないと。そうやっていけば本当にやらなければいけないことが見えるはずだ」

「そういうもんか?」

「そういうもんさ。縛られず適当に生きる。難しくても出来ないことはないんだよ」

 友人は考え込むように俯くと、

「分かった。考えてみる」

 そう言って顔を上げた。その顔は少し陰りが薄れているように見えるのだか大丈夫だろうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

適当に生きる。 シヨゥ @Shiyoxu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る