7.18.三人の天使
「ちょ、ちょっとごめん! ウチカゲお爺ちゃん! ちょっと離席するね!」
「? ああ、構わぬが……」
バッと立ち上がってアマリアズを引っ張っていく。
明らかに不自然に見られるだろうけど、ちょっとこの話は他の人に聞かせられない。
庭の奥の方に行って誰もいないことを気配で確認し、詳しい話をアマリアズにしてもらう。
「で、どういうこと!?」
「そのまんまの意味だって……。前に言ったじゃん、三人の天使を私が作り出したって。その内の一人があれだよ」
「ど、どんな技能を持ってるの?」
「あ、そうか私知ってるわ……」
そこしっかりしてくれ!!
一番重要なところなんだから!
その不死身だとかどうだかの所をとにかくしっかり説明して!!
「最初に作った天使ってことは、それなりにヤバイ技能付与してるよね?」
「……してるわ……」
「で、それは……?」
「『
「ごこん?」
「五回死んでも復活する技能。で、同じ死因に成り得る攻撃は無効化する。死んで強くなる技能だね」
五魂。
先ほどアマリアズが説明した通り、五回死んでも復活する技能ではあるのだが、この技能にはもう一つの能力が備わっている。
それは死因無効。
一度目の死因が斬撃によるものだった場合、次の攻撃での斬撃は無効化されるというもの。
もう少し範囲を大きくすれば、死因となった“武器”を設定すれば、その武器からの攻撃はすべて無効化されてしまうのだ。
それが五回。
刺突、打撃、斬撃、殴打、圧殺などで殺した場合、本体である六つ目の魂を殺すのにはそれ以外の方法で倒さなければならない。
故に、一対一での戦いを挑めば確実に不利に追い込まれてしまう。
死因を武器に設定されてしまった場合、他の武器での攻撃は有効となるのだが……得意な武器が使えないというのは、圧倒的な振りを強いられる。
そしてこの五魂。
使用される魂は自分で回収しなければならない。
その方法は、人間の心臓を喰らう事。
鮮度が良くなければ回復するに至らないので、戦闘中に回復するということはさすがにないだろう。
とはいえその方法があるということは知っておいた方がいい。
「ていうことは……人間がいる場所での戦闘は……」
「絶対に避けた方がいいね。無限に回復される可能性がある。でもイウボラっていう奴は倒したって言ってたんだよね……。そう簡単にやられるとは思えないんだけども……」
「確かに。あ、それとその『五魂』ってどれくらいの間効力が続くの?」
「一ヵ月」
「……?」
え?
い、一ヵ月?
そんなに長い間効力が続くの卑怯じゃない!?
なーんでそんな長い期間に設定したんだよアマリアズぅ!!
「じ、自分の味方だったし……強い方が良いなって……」
「そりゃそうだけどー!! もう応錬さんとかじゃないと倒せないじゃん」
「ぶつかる時はその方がよさそうだねぇ……。多分アルテッツの奴、死ぬためにわざとイウボラと戦ったんだと思う。あと何回かどこかで死んでくるはずだから、今日から一ヵ月間の間……。この間に、何か事を起こすつもりだよ」
ま、まじかぁ……。
向こうも焦ってるのかな。
でも、なんにせよ攻めて来る期間が絞れたのは好都合だったかもしれない!
だけどどうやってウチカゲお爺ちゃんたちに話そうかな……。
さすがにアマリアズがイウボラの話だけを聞いて『五魂』のことを知ってたらおかしいもんねぇ~……。
「どうする?」
「うーん、疑われたくないから技能が明確になる瞬間までは隠しておかないとね。でも私たちだけでも一ヵ月の間に敵に動きがあるって分かってれば、今のところはいいと思うよ。あとは完全に悪魔の情報次第だね。それと応錬さんたち」
「だねぇ」
じゃあとりあえず技能についてはこれでいいか。
次……。
「アマリアズ。あと二人についても教えてくれるかな」
「ああ~……そうだねぇ……。つっても私も全部覚えてるわけじゃないけどいいかな」
「知ってることだけでも教えてくれればいいよ」
「分かった」
これは知っておいて損はないはず。
アマリアズが最初に作った三人の天使の情報……。
僕以外の人には今のところ言えないだろうし。
アマリアズはまず一人の姿を思い出した。
最も強い技能を付与した彼はさすがに忘れないし、応錬とほぼ同等の技能を持っている彼女のことも何とか思い出しす。
「オールニック」
「それは?」
「鳳炎さんと応錬さんの次に強い技能を付与した天使だね。その技能の名前は『
「聞いただけで嫌な予感がするんだけど」
「他にも何個か渡したけど、覚えてるのはこれだけ……」
「そっか。で、空震って?」
そう聞くと、アマリアズはコクリと頷く。
「文字通り、空を振動させる技能……。まずザックリ説明すると……。鳳炎さんの『絶炎』並みの力がある」
「……当たったら勝ちってやつ?」
「そ」
「うそじゃん」
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