4.2.本当の話
さすがにその言葉を聞いて固まった。
というより、何を言っているのか理解できない。
いや、理解はできる。
アマリアズがが元神様って言ったってことくらいは分かる。
だけど、それが本当のことだとは到底納得できなかった。
ぽかんとした様子を見て、アマリアズは小さく笑う。
「どうかな? 信じる?」
「いや無理」
「そこをなんとか!」
「ええ……」
そこをなんとか、って言われてもなぁ……。
普通そんなの信じられるわけないし……でもアマリアズが言ってることだから、全部が全部嘘ではないってことは分かる。
だけどやっぱりこれは……。
でもなんか信じないと話進まなさそうだし、とりあえず全部話してくれるって言うんだら話してもらおうかな。
とりあえず話合わせとこ……。
「うん、良いよ信じる信じる」
「絶対信じてないけど、まぁいいか」
呆れた表情を見せたあと軽く笑って、アマリアズは腕を組む。
信じる信じないに関わらず、話はしてはくれるようだ。
手の中に『空圧剣』を作り出す。
それを様々な刃物に変形させ、地面に突き刺していく。
「君に昔説明したのはほとんど嘘ってのはなんとなく分かってるよね」
「うん。アマリアズ嘘つくの意外と下手だもん」
「……えーとね」
僕の指摘は無視して話を進めるらしい。
本当のことだったんだけどな……。
一つ咳払いをして手に『空気圧縮』を作り出したアマリアズは、それも変形させて武器の形にした。
「私は技能を作った神様。ま、これを覚えている人は誰一人としていないけどね」
「うんうん」
「で、私の目的は天使を何とかすること。多分それがウォーゼンに頼まれた仕事……。要するに、この世界を元に戻す方法だと思うんだよね。まぁ私のせいで天使が生まれたわけだし」
「うんうん。……うん?」
「まぁ作ってしまった存在の抹消は必要だろうからねぇ~。鬼や悪魔はいいとしても、あの空間で私が作ったものは何とかしないと」
「ちょ、ちょっと待って?」
え?
天使を作ったのが……アマリアズ?
ちょっと待って何を言ってるのかさっぱり分からない。
「天使を……? え? どういうこと?」
「まぁ誰も知らないことだし教えたとしても『応龍の決定』で思い出せないようになってるから、誰に言ったとしても意味のない事なんだけどさ。私が闇落ちしてる時に世界に干渉する方法の一つとして、新しい存在を作っちゃったんだよねぇ~」
「げ、元凶は……アマリアズ……?」
「う~ん、そうとも言えるし、そうでないとも言える……。私だってあいつらの目的が何なのか分かってないもん。ていうか信じる?」
「いやそれは無理」
「んじゃそんなつっかかんなよ!」
いや、もうこの話は戯言にしか聞こえないけどさ……。
想像力豊かですねぇ、って言いたい。
まぁ、万に一つもないだろうけどこれが本当の話だったとして?
……そうなると……今までアマリアズが技能に詳しいのは納得できるし、天使のことを知っていたっていうのもなんとなくわかる。
自分が作っちゃったんだもんね?
じゃあ……じゃあ天使の対処方法とか知っていても良いんじゃないの?
「そこんところどうなの?」
「対処法ねぇ……。今のところ……ない!!」
「なんでぇ!!」
い、いや……知ってたら最初っから教えてくれてるよねそりゃ……。
ていうか技能持ってるってことは四百年前以上の話だよね?
……あ。
そういえば僕、邪神の話知らないや。
でも今聞くのか……。
いや、今聞くしかないか。
「じゃあそれはいいや。邪神について僕聞いたことないんだけど……教えてくれる?」
「ああ、そりゃそうだよね。君、霊亀の息子なんだから。邪神の子供って教えるのは無理だっただろうし」
「え、本当なの?」
「本当だよ」
真顔で、まだ信じられない僕に向かってアマリアズは面と向かってそう言った。
今までの軽い感じは消え去り、至極真面目な回答をしてれたのだと分かる。
アマリアズ自身の事ではないので、その話には信憑性があった。
他の様々なことについて、アマリアズはよく知りすぎているから。
地面に突き刺した『空圧剣』たちをすべて解除し、消し去った。
手に持っていた『空気圧縮』の姿を変え、亀の姿を模す。
それを僕に見せて来た。
「君は霊亀の息子。邪神四体の内一体の……子供だよ」
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