出会いと別れ
影神
花の種
「今日のお客さんは、、?」
「キョウハ、、ワカイ。
ジョセイ。」
「そうか。」
剥き出しの日本人形は。
私の問いに応え、口を動かして語りかける。
電気を消し、ゆっくりと布団へ入る。
目を閉じ。
深く深呼吸をする。
「ふう、、」
この仕事をしてから。
人が人生で体感する以上の事を経験して来た。
仕事。とは、
私がそう、呼んでいるだけで。
どちらかと言えば、
"使命"
みたいなモノなのだろうか。
沢山の想いに。
沢山の出会いと別れに。
私は立ち会って来た。
人1「頭。
、、大丈夫ですか?」
人2「何らかの精神の疾患をお持ちで?」
人3「変な宗教。
もう、、関わらないで。」
人知の及ばない。
不思議な能力。
人はそれを目の当たりにした時。
恐怖を覚える。
受け入れる者もいれば。
受け入れられない者もいる。
人4「ありがとう、、
君のお陰で。
前に進めそうだよ、、」
人5「そんな事は。有り得ない。
だって。
神様なんて、居ないのだから。
仮に、神様が居るのならば、
不幸な人等。
つくる訳無い。
だからそれと同じく。
君は、変な幻想に。
囚われてしまったんだよ。
"ただの頭のおかしな人"
だ。」
日本人形「キニシナイデ」
「ありがとう、、」
私の心を読み取り。
乱れた心を、宥めてくれる。
ゆっくりと。
私は其処に、導かれる。
其処は、私が知らない。
花の綺麗な場所だった。
花のいい香りがし。
公園の様な場所を歩く。
「いい匂い。」
しばらくすると。
花を見つめ、涙を浮かべた男の人が居た。
「こんばんわ。」
挨拶が合っているのかは、微妙な所だ。
何せ、現実では夜中なのだから。
ここは、昼間。
日の光が暖かく。
遠くで子供様な声がする。
男の人「こんばんわ、、?」
居るハズの無い者に。
少しびっくりされがらも、
本題に入る。
「あの、、。
引き出しの奥に。
花の種と、手紙が入っているそうです。」
男の人「、、え?」
男の人は不思議そうな顔をする。
当たり前だ。
だが。
そう、長くは居られない。
「前に。
宝探しをした場所だそうです。」
男の人は何か分かった様な顔をした。
伝わった様で、良かった。
ここは、男の人の夢の中。
彼の記憶の中の夢に。
私が居る。
男の人「君は、、?」
中には、ぼんやりとしている人もいれば。
はっきりと。
現実かの様に、接する人もいる。
「私は、、。
何なんでしょうね?
分からないです。
ただ。貴方の事を心配している人が。
私を通して。
貴方に伝えたい事がある様で、、
記憶に。
お邪魔させて貰いました。
でわ、、。」
帰ろうとした時。
男の人に、声を掛けられた。
男の人「彼女は、、」
涙を拭いながら、心配そうな顔をする。
「大丈夫です。
心地の良い場所から。
貴方を見守っています。
ですが。
あまり、心配させない様に。
してあげて下さい、、」
男の人は、再び。
泣きながら、微笑んだ。
「そうか、、
そうだよな。。
ありがとう、、」
私は、自分の身体に戻される。
「、、。
涙が。。」
この世に。
いや、、想い人に。
伝えたかったであろう。
『最後の言葉』
その人を再び目の前に見れて。
伝えられて。
皆。
涙を流す。
日本人形「オカエリナサイ。」
「ただいま、、」
彼が起きて。
きちんと覚えているかは、分からない。
ただ。彼に伝える事は出来た。
機会がくれば。
例え忘れてしまっていても。
ふとしたきっかけで。
思い出すのだろう、、
男の人「ありがとう、、
夢の人。」
出会いと別れ 影神 @kagegami
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