5本目の剣

 アーサー!林檎の値段は知っているか?

 知らない?なら教えてやる。

 だがタダとはいかないなあ。

 よし。アーサーは今から御者だ。

 御者っていうのは馬車を引く人のことだ。

 アーサーは何も1人きりだったわけじゃない。

 最初と最後。それだけだ。


「ふむふむ。では剣の名前をエニグマと。そして七不思議を解き明かすことで伝説とした、と。いいですよ。おかえりください。」

 アームドパルトはその足でパーシバル邸へと向かった。

 途中アーサーと落ち合い裏口から入る。

「え〜まー!」

 アーサーが少女に駆け寄る。

「アーサー。えまとは?」

「エニグマと名乗らせるのはさすがにと思いまして。最初と最後をとってえま。」

「しかしだ。元王が次の剣だ。と言っている以上この子は置いていくしかあるまい。いつかは見つかる。どうだ。元王に相談するのは。」

「元が剣だ。危険すぎる。と地下牢に幽閉するのは歴史が物語ってます。パーシバルの兄をご存知ですか?いぬを間違って蹴ったことを王に咎められ西の果てへと行ったそうです。なのでえまには旅に付き合ってもらいます。」

「まあ子供のお使いのようなものです。剣を抜くだけ。それだけなら危険なことなんてないはずです。」

「ふー。その子も喋らん。意思があるかも怪しいな。」

「そんな子を1人にはできないでしょ?」


 馬車の揺れる中。

「えま。算数を教えてあげましょう。まずこの馬車の代金を銀貨3枚とします。」

 御者が声を上げて笑う。

「アーサー。子供の小遣いじゃありません。」

「パーシバル。仕方ないじゃないか。アーサーは箱入り娘というやつだからな。」

「むっ。えまにわかりやすい金額を述べただけで、」

 アーサーは考え込んだ。

「御者さん。いまから代金のことは言わないようにしてください。」

「いや。アーサー。いい機会だ。社会勉強するがいい。」

「いえ。これから暇つぶしをしようと思います。アームドパルト!賭けをしましょう!」

「アーサー!?どうしてそうなるんです!?」

「アームドパルト。ルールはこうです。私が銀貨の枚数をいいます。その枚数を3回まで間違えてもいいとします。そして3回のうちで残った回数分アームドパルトにペナルティとして金貨を払ってもらいます。」

「ハッハッハ!おもしろいじゃないか!それで?アーサーの負けた場合は?」

「3回とも間違えた場合。私は貯めているお小遣いから金貨1枚をアームドパルトに差し出します。」

「なるほどなぁ!それじゃあ俺はその金でウハウハなわけか!ハッハッハ!」

「ちなみに私の予想では8枚です。」

「アーサー?これは予想を言っただけとかいわないよなぁ?じゃあ一回目の答えは8枚!どうだ?パーシバル。お姫様に現実をみせてやれ!」

「正解です。」

「ハッハ...聞き間違いか?パーシバル。いま正解といわなかったか?」

「どうやら正解のようですね。金貨3枚お願いします。」

「ちょっとまて!おかしいだろ!なぜアーサーがそんなことを知っている?パーシバルがこっそり教えていたのではないか!?」

「パーシバルに正確な数字は聞いたことはありません。簡単なことです。パーシバルによると金貨は時期によるけど大体1枚で銀貨50枚分に相当するらしいです。そして一般では金貨1枚を一月で使うことはまずないとか。つまり御者の一月の給料は金貨1枚以下。それを踏まえてこの馬車の御者が提示した額。銀貨15枚ほどでしょう。しかし普通ならこの金額は高すぎると門前払い。なら、と御者は割引を提案します。12枚といったところですか。しかしそれでも高いものは高い。跳ね除けられます。御者はこれ以上下げられないと10枚のキリのよい額を提示してきます。ですがおそらくその金額を最初に出した御者がいたはずです。ですがこの御者も引けないわけです。9枚でアタックしてきます。しかし相手はパーシバル。9枚の馬車を探しあてているはずです。つまりこの御者は8枚で手を打った。」

「パーシバルどうなんだ。」

「寸分の狂いもなくその通りとしか。」

「ガッーーーーーーーーーット!!!!!」

「えま。あれがギャンブルの行き着く様です」

 うなだれるアームドパルトの頭をえまがなでなでした。


 目的地はちとややこしい。まっすぐ進むと壁のそびえる街にあたる。この街を通り抜けまた馬車にのる。正確に言うと壁まで10日壁の中を半日壁を抜けて3日。計13日半。

 つまり往復で一月近い長旅になる。

 壁の街ではアームドパルトからせしめた銀貨15枚でお菓子、うぅ〝ん。違った食料などを買い込んだ。えまには悪いけど食糧なんだなーこれが。と言いつつクッキーを買った。

 えまにクッキーを分けつつアームドパルトのご機嫌を。落ち込み半分信じられない半分だろうか?

 アームドパルトの機嫌は兎も角目的地についた

「目的の剣はっと。」

「剣?剣と仰いましたか?」

「ええ。我々は剣を求めて旅をしているものです。」

「おお。では彼の王が使したる騎士様ですか!」

 アーサーが疑問に思うと

「アーサー。この国は元王が懇意にしている国で剣のことで困りごとがあるらしく元王に頼み込んだそうです。と聞いています。」

 アーサー達を家に招くと老人は話始めた

「ことの始まりはアーサー王が剣を抜いて回ってるという噂から始まりました。アーサー王が剣を求めていると知ったものが我こそはと剣を抜きにきたのです。ですが、当然抜けるものなどいはしなく他の者が剣をぬくのを邪魔するようになり近づいたものを襲い始めたのです。」

「それで父上殿にたのみこんだと。」

 っと。しかしそんな場所にえまは連れて行けないなあ。

「ではこうしましょう。えまが寝しづまってから抜きに行くと。」

 そうしましょうと、宿をとりに宿屋へ。

 2対2で部屋をとった。

「えまはあそびを知っているんでしょうか?」

 思えばアーサーに黙ってついてくるだけでなにもしないしなにも喋らない。

「そうですね。遊びましょうか?」

 アーサーは外に出ると

「ルールはこうです。相手を隠れながら剣で狙う。かわして反撃してもいいし逃げてもいい。最終的に私に一撃食らわせるか、時間まで逃げきるかで勝ちです。いいですか?LADY...。」

 えまは理解したのか慌てて逃げ出した。

「ふーっ。」

 アームドパルトの吐く息が白かったのを覚えている。

 えまが疲れて眠ってしまったので宿屋へ運ぶ。

 ちなみに勝敗はえまの全勝。流石剣。だてじゃないぜ☆

 その夜、教会の裏にあるという剣を抜きに行くと、

「おっと。この剣は先約済みだぜ?」

 お約束とはこのことか

 気にしない気にしない

「君の名はオーガー!ふんぬ!」

 アーサーが軽々抜くとならず者達が襲いかかってきた。

 アーサーはいま引き抜いた剣でちぎっては投げちぎっては投げ。

 数時間かかったが、ようやく片付いた。

「はぁー。疲れまし」

 た、と言い終わる前に後ろに隠れていた1人が斬りかかる。

「うわっち!」

 アーサーが反応するより先にえまが飛び出していた。

「・・・。」

 えまはそれでもアーサーの手を離さない。

「えま。ありがとう。」

 アーサーの声に反応してか体が崩れ出す。

 ぱくぱく、ぱく。

 えまの口が何かを伝えようとして、消えた。

 呼応するようにオーガーも崩れさった。


 アーサーは1人じゃないよ?

 いつもいつもそばに君が居てくれる。

 かわりはきかない大事な声。


 5本目の剣読了

 Thi・6本目の剣閑話休題を始めますよろしいですか?








 魔眼名:惑わしの魔眼

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る