4本目の剣

 学校には不思議がいっぱい

 あそこもここもどこかに不思議

 あれとこれを合わせて7つ

 2つと5つを合わせて7つ

 いろいろ混ぜ混ぜ結局7つ

 1つ巡ると日が暮れる

 2つ巡ると人が消える

 3つ巡る頃には忘れて帰る

 明日は忘れて学校へ

 いつの間にやら元通り

 7つあれども全ては知れず

 これが世に言う"学校の七不思議"なりて


「アーサーは学校というものに行ったことがありません!」

『しかしだなアーサーよ。王たるものが学校などというものにうつつをぬかすわけにはいかん。諦めてくれアーサー。』

 アーサーが膨れていると

「王よ。報告したいことが。王都のすぐ近くにある村で剣が発見されたと。」

『そうか。アーサー。学校など行かずともお前は博識だ。さあ、剣を抜いてくるがいい。』

「!。王よ。今学校と?確か兵士長は村に昔からある学校に剣があると。」

『なに?アーサー。知っていたのか?』

 アーサーはふるふるとくびをふり

「父上。偶然です。」

『またか...アーサーの直感とはなんなのだ。仕方ないアーサー。行ってまいれ。近くの村なら一日でよい。』

「横暴です。いつも通り3日くれればいい報告ができますが。」

 アーサーと元王の喧嘩は珍しく、普段怒らない人ほど怒ると怖いというのをアームドパルトに知らしめていた

「王よ。アーサーは我が息子に看過されたのではと。ここは我が顔を立ててもう1日猶予を。」

『・・・よかろう。では2日だ。行ってくるがいい』


「アーサー。村は1週間ほど離れた場所にあるらしい。往復で2週間。1日ぐらいずれても誰も文句は言わんだろう。」

 アームドパルトは策士か...

「アームドパルト。なんのはなしですか?またアーサーとイタズラの算段でも?」

 パーシバルは天然か。

 何はともあれ村へむけて北を目指して。

 アームドパルトの部下が2人ついて来て。

 人も集まりゃ時間も経つもの。

 あっという間に村へと到着。

 村でアーサーは自由行動...とはいかず、

 アームドパルトの部下の1人が監視やくをかってでたのだ。

「アーサー様!学校というものは村の中央にあるとこの男が!」

「そ、そうですか。いってみますか。」

 男の言った方向に向かうと柵がありこの先立ち入り禁止の文字。

 ならばと近くにいた老婆に聞くとここは村の端っこで学校は少し戻った所にあるらしい

 老婆に言われた道を行くと山へとぶち当たった

 アーサーは吹き出しそうになりながらついていった

 アームドパルトの部下について行くと沼にあたり、林にあたり、最後は一面畑にたどり着いた

 と、アーサーは吹き出してしまった

「すみません。最初に村に入った時に見えてた建物がそうなのでは?」

 アーサー達が戻って見ると確かに学校らしき建物が。

「やはりここですね。」

 アーサーは笑いすぎて喋るのもやっとだった

「ではあの木に刺さってるのがそうでしょう。

 抜いてください。アーサー王。」

「それは無理なんです。剣は名前を付けないと私でも抜けません。」

 部下は少し考えると

「宿はこちらです。」

 と、宿へいこうとするので

「貴方は剣のことを知らずに名前をつけるのですか?名前をつけるからには剣を知らなくては。」

 アーサーの言うことにとうとうHPが0になった部下は1人宿へ向かっていった

 が、アーサーが1人になる頃には日が暮れていたので宿へととぼとぼ歩いて行った


「おや。アーサーも風呂ですか?ここの風呂は小さいので早いもの順ですよ。早く行っては?」

「お風呂はいいです...。なんか疲れました。マッサージを所望します。」

「なら風呂場にマッサージチェアというものが有りました。それで。」

「一日中歩き回った上司に労いの心はない...っていない。」

 マッサージチェアとはなんなのか試してみる価値はありそうだ

 アーサーは風呂の前の椅子に腰掛けるとスイッチを押した

「あがががががががががががががががががが」

 アーサーにはまだ早かったようだ

 アーサーは動き続けるマッサージチェアをGを見るような目で見つめつつ部屋に戻った。

 アームドパルトの部下。その片割れは女性だったこともあり2=3で部屋をわけた

「アーサー様。布団フカフカで気持ち良きですよ。」

「すみませんが、扇風機こっちに向けてください。あつぃー。」

「アーサー様は学校に行ったことがないとか。学校は良きですよ。子供のオアシスです。」

「あ〝あ〝あ〝ーーーー。そーうーなーんーでーすーかー。」

 アーサーは扇風機を独占して満足気だ。

「私の通ってた学校では怖い話がありまして。」

 アーサーが急に真面目に振り返って

「くわしく。」

「はい。では。学校の図書室の本棚に幽霊あり。学校のトイレいずれかに大蛇がすまう。子供いぬところこれすなわち迷宮。こんなところでしょうか?もっとあるらしいですが私はこれしか。」

「なるほど。さて、寝ましょうか。」

 アーサーはふかふかの布団に驚嘆しつつ夢見心地。

 朝になっても起きてこなかったので昼過ぎになってしまった。

 学校へお越しの方はこちら

 という看板が早くも立てられていた。

 学校の中はアーサーの考えより広かった。

 アーサーが来た頃は丁度夏休みだったので校庭には子供はいたが、建物に入ってくるやつなどいない。

 一部屋一部屋入って吟味して

「やはり学校はよきですね。広くて子供が学ぶ場所としては快適です。」

 部下がいうことはみんなうなづいていた。

 理科室、校長室、図書室、保健室、職員室、給食室、そして教室。

「これで全部か。上がったり下がったり子供も大変だな。」

 アームドパルトの所感はいい。

「なるほど。わかりました。では剣を抜きにいきましょう。」

「アーサー。貴女ならもう少しとかいうと思いましたが。」

「。」

 アーサー無視!パーシバル痛恨の打撃!

 ショックを受けているパーシバルを無視し剣へ

「・・・」

 剣を眺めて数秒。アーサーは剣を掴みこう言った

「汝の名。エニグマ!我がつるぎとなせ!」

 スッと抜いて見せた。

『おおーーー!』

 校庭の子供と部下たちが声を上げた。

「恥ずかしいので一旦建物に入ります。」

 アーサーにぞろぞろと列ができた。

 先生とおぼしき女性に仕事だからとたしなめられバラバラと散っていった。

「アーサー。この後は?」

「図書室に行きます。あそこは特に空気がいいです。」

 図書室はたしか3階奥右に曲がって3部屋目。

 アーサーは何の用事が?

 本を眺めているパーシバル。実際に読み始める部下。ついてこなかったアームドパルト。アーサーについてる部下。行動は様々。

 アーサーはしばらく外を眺めていると、

「さて。」

 アーサーはパーシバル達に見つからないように図書室をでた。

「さてさて。」

 次は給食室へ

 当然給食はなかった。

「さてさてさて。」

 次に理科室、次に職員室、次に校長室、次に保健室へと辿った。そのつどアーサーのさて。がひとつづつ増えていたが気にしない。

 校庭ではアームドパルトが眠っていた。

「アームドパルト。そろそろ暗いので風邪ひくよ。」

 アーサーは満足してアームドパルトを起こした

「ふあー。なんだ?終わったか?」

「今日はね。明日の夜まで自由行動です。」

「なら宿で寝る。本来なら今日帰る予定だ。パーシバル達にそのことをつっこませるな。」

 そういうとアームドパルトは宿へとことこと歩いて行った。

 昨日お風呂に入ってなかったので今日は入って寝ることにする。

 風呂はパーシバルの言う通り狭く、民宿の風呂という感じでやっぱり狭かった。

 だが、風呂に入るのはやはり気持ちよくてのぼせるまで入ってしまった。

「アーサー様。お風呂にあまり長時間入られるのは推奨しません。」

 と部下がうちわで扇いでくれた。

「そう言えばアーサー様。風呂の出入り口のこーひーぎゅうにゅうとやらは無料だそうです。一本飲みませんか?」

「そうですね。じゃあいただきます。」

 アーサーは座り直し部下の持ってきたこーひーぎゅうにゅうというものをグイッと飲み干した

「なんでもこの飲み物はここら辺の名物だとか。これを飲むためにこの村にくる客もいるらしく、アーサー様?」

 アーサーはねむっている!

 コホン。アーサーは不覚にも眠ってしまったためアームドパルトに抱えられ部屋でそのまま眠りについた。

 その日の夜は蒸し暑くアーサーは目を覚ました

 夜にもかかわらず熱気がまとわりついてなかなか寝直す事もできず宿の散策をすることにした

 リーン。リーン。リーン。

 アーサーは虫には興味ないためナゾの音がして怖くなってしまった。

 リンリン。リンリン。リンリン。リンリン。

 別の虫が鳴き出した。

 ーーーーー。

 するとふと沈黙が訪れた。

 アーサーはねむくなった!

 眠くなったので部屋に帰ることにした。

 部下を起こさないよう布団に潜り込んだ。

 布団に残った自分の温もりで眠気が頂点に達して眠ってしまう。

 zzzz...

 誰かが呼んでる気がする

 zzz...zzz...zzz...zzz...zzz...

 いい加減起きなきゃいけない気がしてきた

 がばっ!

 アーサーが勢いよく起きると

「アーサー様?」

 どうやらもう夕飯時らしい。

 大丈夫。予定は夕飯の後だから。

 部下に夕飯のあとは学校へ集合。と伝え食堂へ

 夕飯はハンバーグをパンに挟んだハンバーガーというものだった。

 パーシバルは2つアームドパルトは4つ部下はそれぞれ3つずつアーサーは10個食べた。

 アームドパルトが学校に着く頃にはすっかり日は沈み、静けさが空間を支配する。

「アームドパルト。学校の許可は?」

「ああ。鍵は預かってきた。アーサーの頼みなら。だそうだ。」

 アームドパルトが鍵を開け中に入るとヒンヤリ冷えた空間が開かれた。

「アーサー。夏とはいえ夜だ。これを着ろ。」

 アームドパルトにジャンバーを着せられ中へと歩を進める。

 そしてアーサーは語った。

「部下に聞きました。学校には怖い話がつきものだと。しかしそれはすべて説明がつきます。

 図書室では喋ってはいけない。なので本を読む合間に視線が泳ぐ。その視線を感じ目をやる。しかし視線の主はすぐに本に戻るため幽霊がいるように感じる。子供が居ないつまり職員室です。子供には全て大きすぎる。子供にとってはまさに"迷宮"というわけです。こんなものが6つ存在する。すべて説明しましょうか。写真から抜け出した人が彷徨う。写真があるのは校長室、音楽室。校長室で写真をみて学校をめぐるうち忘れたとき音楽室の写真が目に入る。あとから考えると写真を2回見ている。そこで脳は二回目を写真ではなく人に置き換えてしまうわけです。階段から足音が聞こえる。学校に夜中にいくなら1人なわけがない。不安なときに足音が響くような階段にはいる。すると自分ともう1人の足音が響く。足音は2つ。しかし不規則に反響する足音が誰かいない人の足音に思えるのです。トイレには大蛇がすまう。これはつまりそういうことです。と思いますか?違います。これは水道の音です。トイレに水道管はたくさんあります。夜中に使う人はいないので水道の水が時たま奥の水と入れ替わります。この音が正体です。最後。服飾室の動く人形。人形は動きません。しかし動かす人間がいればどうでしょう。小さい子供にとって人形は興味の対象です。こっそり遊ぶのは当然ですよね。人形で遊ぶ子を見て大人が人形が動いていると勘違いしてしまう。これくらいでしょうか。」

 アーサーが語りながら学校を案内して回った。

 しかしアーサー以外はある疑問があった。

「アーサー様。学校の怖い話は6つではありません。7不思議といって7つある物なのです。つまり1つ足りません。」

「知っています。しかし本当に7つあるのでしょうか?」

「アーサー。どういうことだ?」

「大抵の人は一つか2つ知ってるだけです。どうやっても7つ集めることはできません。つまり最初から7つではなく6つしかなかった。しかし語呂的に七不思議とよばれる。だから7つあると思われるが実際には6つ。これが真実です。」

 なるほどー。アーサー天才!

 やはりこの日も宿へと戻り、次の日馬車へと乗り込んだ。

「しかしアーサー。剣はいいのか?七不思議はわかったが伝説は作ってないだろ。」

「父上殿は2日でどうにかしろと無理難題を言いました。しかしアーサーは3日あればいい報告ができますと言いました。実際3日使おうが関係ありません。文句は父上殿にいってもらって。」

 アーサーはそれだけいうと荷台に剣を置こうとした。そのとき剣がいつものように光り崩れ、てはこなかった。逆に大きくなり形を変え、重くなった。アーサーは怖くなり手を離した。

 剣は人型になり地面に落ちる寸前アーサーに抱きとめられた。

 目をパチパチと開く"剣だった者"にアーサーは

「あなたはだれ?」

「えにぐま。」


 学校の怖い噂。それは鬼か邪か。だれもいない教室に謎が生まれるのは当然と彼は言った。

 そこで命が失われることがある以上怖いのは当然のことだ。問題はそれに向き合うか否か。


 4本目の剣読了。

 Thi・5本目の剣を始めますよろしいですか?







 魔眼名:迷いの魔眼(きまぐれ)

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