第121話 悪役令嬢(Ⅱ)
「月乃さん、
彼女の手を堅く、それでいて優しく握り込み訴える。
信じてもらえる証拠なんて無いけど、私は悪役令嬢だけれども。
それでも月乃さんにだけは信じて欲しい。
私が大切な友達を傷つけていないということ、貴女
真剣に目を見つめて、みつ、め、て──?
「あの、月乃さん?」
「な、な、な、な、なにかな!?」
「なんか、顔赤くありません?」
「き、ききききのせいじゃないかなっ!?」
心なしか、さっきまでより顔が赤くなってる気がする。
それに何故か、全然こっちに目を合わせてくれない。
なんとか目を合わせてくれないかしら。
ほら、目を見て話さないと真意は伝わらないってお兄ちゃんも
ぐるーっと逸らした視線の先に回り込んで顔を覗き込む。
「ちょ、ち、近い近いよっ!」
パッと手を離されて、身体ごと避けられてしまった。
私、何かやっちゃっいました?
「も、もう、紫波さんって誰にでもこういう事する子なのかな?」
誰にでも?
こういう事?
いやいや、そんな訳ないじゃない。
私は、月乃さんに信じて貰う為にこう真剣かつ真摯に訴えているんだから!
「月乃さんにしかしないですわよ」
「──ホントに?」
上目遣いでこちらを見つめてくる月乃さんマジ可愛い。
ついつい私も釣られてイケメン風な表情を作って返す。
「ホントと書いて
「他の人にやったら、許さないんだからね」
──ん、んんん???
なんだろう、何か齟齬というか行き違いというか。
俗に言うアンジャッシュが起きてる気がするぞぅ!?
え、だってこれから学校行ってみんなに事情話さなきゃならない感じじゃなかったっけ?
それなのに「他の人にやったら、許さないんだからね」ってつまり、みんなに事情説明しちゃ駄目ってこと?
あー、うん。
けどまぁ、月乃さんの信頼は勝ち取れたっぽいし!
何よりやっぱり月乃さん可愛いし!
今はこれでいいや!!
「──なんか急に、百合百合してきたな」
運転席のフブキがなんか変なこと口走ってたが、そちらも気にしないことにした。
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