第5話 親友の役割
▲▽▲
ハッピーエンドにキノを向かわせるには、どうすればいいかーー攻略対象とさっさとくっ付けてしまうのが一番簡単だ。
「ねぇ、みんな。ところで最近学校内で変わったこととかなかった?」
「うーん、最近だとーー」
ーーという訳で、ボクは今日も今日とてリサーチに性を出していた。
昼休みの他クラス教室にて、最近仲良くなった子たちのグループに混ざり、様々は
前世の記憶を、この世界が乙女ゲーの世界であることを認識しているボクが、何故ゲーム進行の為にこんなことをちまちまやっているかというとその答えはいたってシンプル。
詳細な攻略情報を、ボクは知らないのだ。
このゲームをプレイしていたのはあくまで妹であり、僕ではない。
ボクが知っているーーというか覚えている攻略情報というのは、実際は案外少ない。
こんなことになるなら、もっと真剣に妹の話を聞いておくべきだった。
もっとも、当時のボクに
結果、ボクはかろうじて覚えている範疇の
一見効率が悪そうなこの方法だが、実は案外馬鹿にできなかったりする。
この学園に入学してからこの手の情報を得る為のコネクション作りにいそしんできたわけなんだけれど、これが不思議なほど上手くいっている。
いや、不思議なほどというより
例えば、たまたまあるグループのリーダー格の少女と同じ委員会になって仲良くなったり。
例えば、ぶちまけたプリント類を拾うのを偶然通りかかったボクが助けた結果、噂話が大好きな先生と親しくなったり。
とにかく、何故か他の生徒や学園内の情報を得やすい人物と仲良くなる機会に恵まれすぎるのだ。
そしてこの不自然な偶然の数々を体験して、ボクは一つの可能性を見出した。
もしかしてこれは、ボクが
つまり、この世界はゲームでありボクは「主人公をサポートする親友キャラ」であるから役割に沿ったある種の
それなら少し納得できる部分もあるが、いかんせんソレを検証する方法なんて思いつかない。
不確かな要素ではあるが、まぁ利用できそうなら利用するさという精神で、今日も頑張っている。
「--って色々はあったんだけど、ここ数日だと剣道部に入部した
その名前を聞いて、この話題を出した子にぐいっと迫る。
「ちょっとその話詳しく!」
普代という余り聞き馴染みのないその苗字。
まさしくそれは一番知りたかった情報のひとつ。
この乙女ゲーの攻略対象のひとりだ。
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