そろばん!

小春かぜね

そろばんの出会いと別れ

 僕が小学校三年生に進学した春……

 母親からの命令で、僕はそろばん教室に通わされることに成った。


 これは後から知った話しで有るが、そのそろばん教室は、スパルタそろばん教室で有名な所だった!!

 そんな所と僕は知らずに、この日の為に母親が用意してくれた、新品のそろばんが入ったそろばんケース持って、スパルタそろばん教室に通うことに成る。

 これが……そろばんとそろばん教室との出会いで有る。


 ☆


 僕にとってそろばんは、楽しいや面白いとかは感じなかったが、そのそろばん教室には学年一の美少女で有ると同時に、僕の片思いの女の子も通っていた。


 僕にとっては、その女の子と仲良く成れる大チャンスなので、そろばんの上達より女の子に逢うために、学校がある日はそろばん教室に通った……

 クラスも一緒で有ったが僕はイケメンでは無いし、スポーツも出来る方では無いので高嶺の花で有った……


 スパルタそろばん教室の影響(お陰)でライバルも全然居なかったし、それに片思いの女の子も、同級生が少ない事から僕でも仲良くしてくれた!!

 習い始めた頃は難しい計算式も無かったし、スパルタと聞く割には、僕はつまずくこと無く進んで行ったので、大きな問題は無かった。


 却って、その片思いの女の子と隣の席に成れたり、年に一回で有るがそろばん教室主催の遠足が有るので、僕はこのそろばん教室に通えている事が嬉しかった!!

 学年一の美少女と遠足で堂々と遊んだり、そろばん教室の帰りも一緒に帰れるのだから!!


 あの時は本当に楽しかった……

 片思いの美少女と急接近出来て、このまま恋人関係まで発展出来るかもと、お○んちんを大きくしながら考えていた夜も有った!? 

 けど……時が進むに連れて、その順調なそろばん教室にも変化が訪れてしまう。


 ☆


 僕の片思いの女の子と、僕が通うそろばん教室の時間帯が、有る日からいきなりズレてしまった!!

 このそろばん教室は一日三回教室が開くので、好きな回に出席すれば良い方式と成っていた。

 その女の子はそろばん教室以外にも習い事が有ったり、成績も優秀だから学級委員などもしていた。


 その関係で、その女の子との距離が少しずつ離れ始めた……

 その子も通い始めた時ほど、僕との積極的な関わりを控える様に成っていた……その子は思春期を向かえたからだ。


 好きな子とそろばん教室では毎日逢えない、そんなそろばん教室に僕は渋々通っていたが、僕の方でも問題が発生してしまう!!

 そろばんの級が上がるにつれて、当然複雑な計算式が増えて行くのだが、僕は有る級でつまずいてしまう!!


 先に進めなく成ってしまったのだ!!!

 此処から一気に転落を迎える……


 その日に出される課題を合格出来ずに、僕は不合格に成ってしまうが、当然スパルタそろばん教室で有るから、その日の課題が合格出来るまでは、家に帰らしてくれない……

 ここで……スパルタそろばん教室の本性がさらけ出す!!


『こんな問題も出来ないのか!!』


『おつむてんてんして上げるよ!!!』


 怒鳴る様に言いながら、水性ペンの後方側で僕の頭を小突いてくるおつむてんてん、初老の男性!?

 僕はそろばん問題が急に解けなく成ったのと、この暴言と暴力の恐怖で、僕のメンタルは直ぐに崩壊してしまった……


 そろばん教室の時間が近づいて来ると、体が拒否反応を起こす様に成ってしまった!!

 お腹が痛くなったり、吐き気を感じたりと、体が完全そろばん教室に拒否反応を示していた!!


 それを理由に、そろばん教室を休む日が一気に増えた!!

 登校拒否ならぬ、そろばん教室拒否で有った……


 それでも母親は、僕をそろばん教室に通わせようとしたが、僕は本当に体が拒否反応を示していたので……最後は母親が諦めて、僕はそろばん教室とそろばんに別れを告げる事と成った……


 ☆


 今思い出しても……嫌な思い出の方が大きい。

 片思いの子は片思いで終わりを迎えたし(相手にしてくれない)、今の時代そろばんの役目は、とうの昔に終えてしまっている……


 これが、僕の出会いと別れで有る。

 僕は二度とを持つことは無いだろう……






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