第8話『憎しみと知らない世界』
その頃、スナックでは……「柊、あんた女いるのね」と義母から話し出した。「はぁ?女なんかいねぇよ笑」と酒を飲みながら答える。「もし女がいるなら別れな!これはあんたの女としてではなく母親として言っとく」と母親としての忠告だった。なぜならあの日聞いた声が凛だと分かったからだ。「はぁ?今更母親ずらかよ笑 でもあいつはそんなやわじゃねぇよ笑」と微笑むもイラついた義母は「忠告よ!その女と近づいたら何するか知らないわよ」と殺気を漂わせる表情をしていた。だが、柊はなぜ義母が凛の事を気にするのか知りたいとも思わず忠告に従う事はなかった。
そんなある日、凛と航太は幹部たちと別の案件にお供していたが、二人は唖然とする。なぜなら闇の世界の真実を知るきっかけになったのだ。「お嬢、航太っ!これが大人の世界だ。怯えてるカモは使えばいいが要らなくなったらその場で消す事が出来る、それも表には出ず隠蔽工作って奴だ。二人はこれからもっとこっちの世界にも出入りする事になるだろうからな、組長の方針は正しいよ」と幹部の一人が淡々と話し出す。「やっぱ大人の世界は俺ら不良とは違いますね?」と凛に振るが「(こんな世界を知って何になるの?私は私なりの世界でこの道を生きていくのかな?)」と考え事をしていた。すると凛の携帯が鳴り出ると「凛、今から逢えねぇか?」とか細く怯えている声だった。颯爽と走り出す凛を航太だけは心配していたが、周囲は微笑んでいた。
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