第7話『優しさと厳しさ』

『今、どこ?』と航太と連絡をとり合流した。「ごめんね、勝手な事して」と申し訳なさそうに言うと、「凛さん、無理してます?俺、そんな凛さん見てられないっす」と優しく心配している様子だった。「もう大丈夫、私さ、勝手に舞い上がってたの!組長の顔に泥を塗る事はしないって言ったのに、反対な事してる自分が時々嫌になる……」と今思ってる事を話し始めた。「凛さん……」「さん付けはやめて?凛でいいよ!だってこれから相棒になるんでしょ?」と心配そうな航太に対して明るく態度を取る凛。

「なら……凛」「なんか恥ず笑」と照れると二人で笑いあった。


そして、組長が幹部や下っ端を集め計画の情報共有の場を設ける事となり、凛と航太も参加する事になった。

「皆、集まったな。ではまずは凛、知ってる情報を教えてくれ」と言われ柊について知ってる事を話し始めた。「彼の名前は柊、私よりも年上で酒好きのダメ男です。仕事はせずに小屋と彼の義母が経営するスナックを行き来している様子でした。いつも電話が来るとスナックへ行く様です。私の知ってる情報は以上です」と淡々と話す。「そうか、ご苦労だった」と組長が言った後に「お嬢、そんな事は既に分かってるんですよ?我々は知りたいのはいつ奴を仕留めるかです。もう少しできる方だとおもっていましたよ」と幹部の一人に言われた。組長はそのやり取りを聞いているだけだった。集会が終わろうとしていた時、「あの、俺にやらせてもらえませんか?俺が奴を仕留めますからその代わり、凛さんを普通の生活に戻してあげてくれませんか?」と航太の発言に動揺する組員たち。「何言ってんだよ、お嬢に普通の生活がある訳ないだろ?この家に生まれ組長の娘として生きていくんだよ」「でも、それは凛さんの為なんですか?凛さんが望んだ事なんですか?なんで生まれた家の思い通りに生きないといけないんですか?」「はぁ?てめぇ入りたての新米が偉そうに口答えしてんじゃねぇぞ」と航太の胸ぐらを掴む幹部。周囲はざわつくがそれを止めたのは、凛だった。

「いい加減にしてよ!何が私の為?普通の生活に戻れない?二人とも勝手に分かった様な事言わないでよ。それに柊を仕留めるのは私、もう柊が嫌いになった、だからいつでも仕留める準備は出来てる」と腹をくくった事を告げる。「凛の気持ちは分かった。でもこいつらみんなお前の手を汚さない為に自分なりに守ってんだよ、だからその意思は理解してやってくれるか?」と優しく納得させるように言う。集会は終わり、航太と二人で園庭にいる。

「ごめんね、航太……ありがとう」「凛の事、本気で守りたいって思ってるからさ」と初心な二人の会話だった。

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