第6話『新たな出会い』

翌日、組長に呼ばれ部屋に行くと、知らない若者がいた。「おはよう、凛!紹介しよう、彼は航太、少し前にうちの組に入った。今日から凛と共にしてもらうからな!」と突然の言葉に唖然とする。「よろしくお願いします、凛さんっ!」と組合員とは似ても似つかない爽やかな青年だった。「どうも……」と素っ気ない返事をし、部屋を出て外の空気をすいにと航太がついてきた。


「凛?」と聞きたくない声だったが、立ち止まり声のする方に向くとそこに居たのは柊だった。

「凛さん?」と不思議そうに呼ぶ航太に「行こう」とその場を去ろうとしたが、腕を取られた。「おい、凛!どういう事だよ?こいつ誰だよ?」ときっと昼間からお酒を飲み少し酔っている柊、「お前なんだよ!凛さんから離れろよ!」と航太が対抗的な態度を取る。「航太くん、どっかで時間潰してて、また連絡する」と柊の怒りを止めるように間に入る。「いや、でも……」と納得いかない航太に「お父さんには私が言うから、じゃあ」と柊とどこかへ行った。


小屋に行く途中も着いた後も沈黙が続いた。すると静かな小屋に電話の音が響く

「出ないの?」と凛が最初に言葉を交わすも柊は出ようとしない。仕方なく凛が出ると「柊、あんたまだ来ないの?まってわよ?ちょっと柊?聞いてるの?」と耳を疑った。なぜなら、聞こえてきた声は小さい頃に出ていった母親だと分かった。

「お母さん?」と話すと切れた。

柊に電話の女が自分の母親である事、柊に対して情報集めの為に近づいた事などを話し始めた。「そんなの俺に言っても仕方ねぇだろ笑 最初に言ってたろ?俺らは名前も知らないでふらっと会ってまたいなくなるって関係の方がよかったって事だろ?今更そんな話をした所でこの関係がどうにかなるの?お前はこれからどうしたいか、愛なんてくだらないもんにすがってもなんの意味のないからな」と淡々と話し始め、本当に最後かのように凛を抱きしめると「もう帰れ、航太って奴が待ってんだろ?」と突き放す。凛は何も言えず、二人が会う事はなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る