第2話『すれ違う二人』
それから2人は小屋で会うようになり、名前も知らないが深い絆で繋がる関係となった。
出会って2週間頃に会いに行こうと準備をしていると父親が部屋に来た。
「凛?どこか行くのか?」「うん、ちょっと風に当たりたくてさ」と言い家を出た。
だがこの時から下っ端の組合員に監視させていた事も知らずにいた。
その頃、柊は『分かった、今から行くよ』と誰かと電話をしており、そのまま小屋を出るが、凛とはすれ違いとなってしまった。
「あれ、いないのかな?どこ行ったんだろ」と思いながらも柊を待ち続けた。
日も暮れており、気づくと辺りは暗く夜道を歩く事になった。
ネオンが輝く場末のスナックで酒を飲まされていた。「ちょっと!柊、そのくらいにしときなさい」と女の声。ここにいる女は男と逃げた凛の母親だった。
「うるせぇな。来いって言ったのそっちだろ、酒飲ます為に呼んだのかよ笑」とすでに酔っていた。
すると女は柊の隣に座り、「あたしも寂しいのよ。あの人が先にいくから……」と柊の父親は2年前に不慮の事故で命を落とした。柊は父親を失い、スナックの女と暮らすよりはマシだとあの小屋で暮らす事にした。それからも女は柊を呼び出しては寂しいと柊に抱かれる関係となった。
「知らねぇよ、寂しさなんか酒でどうにかなるだろ……おいっ」と女が柊を押し倒した。
「だから、柊……あなたが欲しいのよ」と深いキスを交わす。柊も愛なんてくだらないと思って生きてきたからなのか、どんな事でもしてきた。好きでもない女を抱いて、いや好きという感情すらなくなる程のろくでもない人生だった。今日もこの女を抱く。少し前に出会った凛の事すら考えずに寂しみの道具に過ぎなかった。
その日から凛と柊はすれ違いが続く。
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