第82話 道路交通法を違反する者
子供の頃
あれってさ
絶対に警察に捕まるよな。
なんて会話を楽しんでいたことを思い出しました。
ロックグラスにシングルモルトを入れて
ハムチーズなどを食しながら
それを大人になった今なら
捕まったライダーと警官の会話が浮かぶのです。
ブォンブォンフォッフオーン
ウウーウウー
「前の改造単車、左に寄りなさい」
改造単車、左により停車する
「あんたねー、一体さ、何キロオーバーしてるか分かってるの?」
「あ、はい、ちょっと急いでいたもので・・・。」
「急いでるって何よ?」
「えーっと、地獄の軍団がですね、現れたみたいなので・・・。」
「はぁー? それ犯罪組織なの? それ解決するのは警察の仕事なんだけどねぇ。それにさ、何かあった時にスピードオーバーしても良いのは警察だけなの、わかってる?」
「警察だけですか?」
「そう、それ常識、救急車も火消しも、法定速度を守らないといけないの」
「救急車もですか?」
「当たり前でしょうが。それに何? そのヘルメット、顔全部隠れてるじゃない。犯罪者だよ」
「あ、これ、ちょっと訳がありまして・・・。」
「訳って何よ? それに何? そのライディングスーツ? 防弾チョッキに見えるけど」
「あ、これ、ちょっと変身しておりまして・・・。」
「変身じゃないよ、変装でしょうが、どこ行くつもりだったの? それとも犯行後の逃走中?」
「いえ、地獄の軍団が・・・。」
「馬鹿言っちゃいけないよ、とにかく免許証見せなさい」
「あ、どこ行ったっけ、ちょっと探します」
「あ、そう、で、仕事は何してるのよ」
「えーっとですね、定職についていなくって、その・・・正義の味方っていうか・・・」
「正義は警察にしかないんだよ。あんた、仕事やってないの?」
「いえ、アルバイトはやっているのですが・・・。」
「それを無職って言うんだよ」
「あ、はい」
「で、免許証は?」
「変身すると何処にしまったのか分からなくなって」
「はぁー? 変装でしょうが。それに何? この改造単車、異常だよ。チャンバーにカフェの付け方。あんた最高の暴走族だよ。ちょっと署まで付き合ってくれる?」
「いえ、あの、急いでるんです」
「ますます怪しいよ、今からパトカー呼ぶから、そこで待ってってくれる」
「・・・・・・・・・。」
「とにかくさ、その全面を覆ってる覆面みたいなヘルメット脱いで顔を見せなさい」
「・・・・・・・・・。」
「脱ぎなさいって」
「・・・・・・・・・。」
「顔を見せなさいって言ってるの」
「・・・・・・・・。」
「あんた、何してんの!」
「・・・・・・・・。」
「ちょっと、あんたー!」
「ライダァァァー、キィーック」
「何、白バイ蹴飛ばしてんの! あんなに遠くに飛んでちゃったじゃない! 公務執行妨害だよ! こらこら、ちょっと待ちなさい!」
ブォンブォンフォッフオーン・・・。
酔っ払いは
今夜もおかしなことを妄想して
一人で笑っているのでございます
・・・・・・・・。
https://kakuyomu.jp/works/16816927861126375292/episodes/16817330657315541600
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