2人の世界

第5話 蒼井の世界、ミーシャの世界

散々な目に遭った。

思いながら俺は頬を掻きつつコスプレを撮った写真を見る。

俺と蒼井とミーシャが一緒に写った写真だ。

記念に撮影したのである。

俺達はその中でミーシャと別れて帰っていた。


「飯場くん」


「.....どうした。蒼井」


「今日はとても楽しかった。全然違う空気を吸えた。ミーシャさんともお友達になれた。だからとても嬉しかった。有難う」


満面の笑顔で見てくる。

そんな言葉に俺は赤面する。

それから写真を仕舞い込んでから頬を掻く。

そして蒼井を見た。


「いや。俺は殆ど何もしてない。お前さんが進めたじゃないか」


「いや。きっかけを作ったのは君だよ。.....だから心から感謝してる。また明日.....会おうね」


「.....ああ」


そして蒼井は俺の手を何を考えたか握ってくる。

それから俺を見上げてきた。

そうしてから真っ赤になって手を振って去って行く。

何だ?、と思いながら心臓を高鳴らせてしまう。

全く誤解する様な行動をしやがって。


「.....でも楽しかったから良いか」


俺は考えつつ歩いて帰る。

その足取りは何だか軽やかな気がした。

何故かは分からないが、だ。

そして家に帰ってからエロゲをしていると。

交換したアドレスでミーシャからメッセージが。


(今日は有難うね。ワタシみたいなのを相手にしてくれて)


(ああそういや。お前って嫌われてたよな。俺以外のゲームのオフ会の時に。別に大丈夫だからな)


ミーシャは仮にもアメリカ人と日本人のクォーターである。

つまり.....日本人の中では浮いている。

そして女の子がエロゲなんぞ、的な感じだったのだ。


年齢も10代だったしな。

ではミーシャは何故そんな場所に来たのか。

それはミーシャが友達が欲しかったのだ。


その為に初めてのエロゲオフ会の時に仲良くなれなかった所を俺が手を差し伸ばした感じになったのだ。

ミーシャは俺と仲良くなって。

そして何故か告白までされてしまったが。

俺は考えながら当時を懐かしく思い出しながら。


(ミーシャ。気にすんなよ。楽しかったぞ。久々に)


(ワタシが邪魔だったんじゃないかなって気になっていたから)


(何で邪魔になるんだよ。お前の事は好きなのに)


(それはつまり恋愛対象として?)


違うっつってんだろ。

俺は真っ赤に赤面しながら否定する。

そして苦笑した。

それからミーシャにメッセージを飛ばす。

ミーシャ。今何やっているんだ、と話題を変える様に、だ。


(今?今はエロゲやってる)


(そ、そうか)


(何でそんな敬語口調なの?君もやっているでしょエロゲ)


ご指摘の通りで何も否定しないけど。

本当にまあそうなんだけどさ。

女の子がエロゲと平然と言うのはやっぱり慣れない。

俺は思いながら顔を引き攣らせる。

するとミーシャは、でも今日は楽しかったなぁ、と書いてくる。


(ワタシあんなに楽しいの本当に久々だよ。蒼井チャンのイキイキな顔が本当にグフフ)


(お前さん?もしもし?何か間違った考えをしていませんかね。蒼井はそんなキャラクターじゃないぞ)


(そうだねぇ。そんなキャラクターじゃないかもしれないけど何か熱意を、というか一生懸命な姿が良いねぇ。必死にキャラになりたい気持ちが伝わってくる)


(まあそうだけど。何であんなに没頭したいのか全く分からないけどな)


それはまあ色々あるんじゃないかな。ウフフ、と言うミーシャ。

俺は、まあそれならそれで良いけどな、と苦笑いでスマホの画面を見る。

それから、お前が楽しめたなら良かった。本当に、と送る。

するとミーシャは、そうだね、と送ってきた。


(でもミーシャ。何で俺みたいなのを好きになった?)


(おや?そんな点に興味があるのかな?飯場クンは)


(単純に不思議に思っただけだな。こんな俺を好いても仕方が無いぞ。頭もアホだしな。エロゲ脳だし)


(君には君だけにしかない良い点がある。だからワタシは君が好きなんだよ)


俺は見開きながらその言葉を見る。

そして、そうか、と返事をした。

ミーシャは、うん、と返事をくれる。

それから、だからワタシは君が好きだよ、と言ってくる。

そんなに率直に言われると恥ずかしいのだが。


「俺にしかない.....点か」


それで蒼井も俺が好きになったのかな。

だけど振ってしまったから.....何とも言えないけど。

思いながら俺はスマホを置いてからスマホの画面を見る。

ミーシャは、じゃあそんな感じでまた明日、と送ってきた。

俺は、ああ。また明日な、と送り返す。


そうしていると.....今度は蒼井からメッセージが来た。

蒼井は、今日は楽しかったよ。有難う、と送ってくる。

俺は、そうだな。楽しかったけどお前さん暴走しまくってたな、と送る。

すると、わざとじゃ無いから、と送ってくる。


(私はキャラクターになりきりたいからね)


(そこまで没頭する理由が分からないがまあお前がやりたいならやったら良いんじゃないか)


(うん。それでその。お願いがあるんだけど)


(何だ?)


(え、えっちなゲームを貸してくれないかな。)


唾が飛び散る。

噴き出したから、だ。

何を考えている!?

俺は、そんな事出来る訳ないだろ!?、と送る。

すると、駄目?、と送ってくる。


(流石にそれはマズイ。雪子になりたいのは分かるがやり過ぎだ)


(じゃ、じゃあ一緒にえっちなゲームをしよう)


どんな罰ゲームかな?

俺はますます困惑しながら答えを考える。

泥沼に嵌っていく気分である。

さてどうしたものかな?

俺は必死に考える。


(蒼井。落ち着け。マジに分かった。ゲームを貸す。貸すから)


(あ、有難う)


(一緒には出来ない。恥ずかしくて死ぬ)


(そ、そうだね。私も何言ってんだろうって感じだから)


アハハ、と恥じらう様な笑みの文章を送ってくる。

俺はその言葉に、やれやれ、と送る。

すると、でも、と文章が送られてくる。

それから、何時も有難う、と送ってきた。


(何だよいきなり)


(私は孤独だった。ずっと成績だけが全てって思っていたから。そんな世界を壊してくれたんだ。君が)


(え?そうなのか?)


(うん。君がまあ言い辛いけどえっちなゲームを持っていたから。だからその事を知ってコスプレをして世界が変わって見えたよ)


複雑な感情を見せる蒼井。

俺はその文章を見ながら顎に手を添えて考える。

そして、ふむ、と思う。

それからこんな事を書いた。

じゃあこれからもっと違う世界を見せてやりたい、と。


(飯場くん。有難う)


(気にするなよ)


そして俺達は一応そこで話を切った。

それから俺はある程度ゲームをしてから。

そのまま勉強をして寝た。

少しだけ蒼井の言葉を思い出しながら、だ。

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