第3話 エロゲ仲間との再会

何故こうなってしまったのだろうか。

学校1の美少女の蒼井翠子が.....エロゲキャラになっていく。

エロゲキャラに染まっていく。


信じられないのだが。

何?説明?

いやその説明してほしいのはこっちの方だ。

何がどうなっているのだ。

訳が分からないのだが。


「お、美味しい?」


「それは.....うん。美味いね.....」


「そ、そうなんだ。えへへ。良かった」


「しかしお前さん.....冗談抜きで止めた方が良いと思う。その。キャラになるのは」


「私は決めたの。え、エッチなゲームのキャラクターになるって」


俺に向く蒼井。

何でそんなに決意が固いんだ。

そもそも一体お前さんを何が駆り立てている?


俺は赤くなりながら見つめる。

すると蒼井は口をモニュモニュさせながら俺を見てくる。

シチュエーションも全部似せないとね、と言いながらであるが。

俺は真っ赤に染まる。


「お前さん.....本当に何を.....!?」


「私は.....私自身がそうしたいの。だからこうしている」


「本当に何がお前さんをそこまで駆り立てているんだ!?」


「私がそうしたいから」


ただそれだけ。

と言いながら真剣な顔で外を見つめる蒼井。

俺は、?、を浮かべながらその姿を見る。


そして蒼井はニコッとした。

髪の毛を触りながら、これ茶髪にしないとね、と言う。

確かに雪子ちゃんは茶髪である。

俺は真っ赤に染まる。

これ以上無いぐらいに。


「止めてくれ。そこまで似せる必要は無いぞ」


「あるんだよ。私にとっては」


「.....???」


「私にとっては絶対にね」


真剣な顔をする蒼井。

俺は顔を歪めながら、???、と浮かべる。

それから俺は盛大に溜息を吐く。

意味が分からないな、と思いながら。

するとチャイムが.....。


「あ!マズイ!」


「5時限目のチャイムだね.....ゴメン」


そして俺達は慌てて駆け出す。

それから教室に飛び込んだ。

本当に何が蒼井を変えているのだろうか。

そんな事をゆっくり考えながら席に腰掛けた。

そうしてから外を見る。



「よし.....帰るか」


俺はそう呟いて考えながら立ち上がる。

そうしていると.....そそくさと遠くの方から蒼井が寄って来た。

それから、帰るの?、と聞いてくる。

俺は赤面しながら、そ。そうだけど、と言う。

そして蒼井を見ると。


「じゃ、じゃあその。一緒に帰らない?」


「教室で言うな.....お前。マズイって」


もう数人しか残ってない教室だが。

ヒソヒソと会話したり。

凍りついたり。


そりゃそうだろうな。

だって学校1の美少女がモブと帰るだ?

そんな事あってたまるか、って感じだろうな。

俺は考えながら苦笑する。

赤くなる。


「シチュエーションをクリアしたい」


「.....いや。それは俺と一緒でなくても.....」


「駄目。男の子と一緒じゃないとそんなシチュエーションも無駄になると思うから」


「いやいや.....」


そして俺は教室の視線にハッとしてからそのまま蒼井を引き摺ってから。

そのまま教室からログアウトしてから下駄箱に向かう。

それから.....俺は下駄箱から靴を取り出す。

蒼井も一緒に、だ。


「今日はコスプレグッズ見に行かない.....かな。一緒に」


「え?それ.....は。俺だけでいいかもしれないが」


「.....そんなに私の事嫌い?」


「嫌いって訳じゃ無いけど.....恥ずかしい。本当に」


「私は平気。君が居るから」


ガッカリしながら俺を見てくる蒼井。

俺は額に手を添えながら、分かった分かったから、と言いながら、付き合うよ、と言ってみる。

するとガッカリした顔が一気に晴れやかになった。

俺は顔をまた引き攣らせながらその姿を見る。


「じゃあ今から行こうね」


「.....マジで?.....え?」


「で、デートだよね?」


「デート.....いや。付き合うつもりは無いから.....違うよ」


「そ、そうだけど.....」


そこは配慮して欲しかった、などと呟いている気がしたが。

小さな声で気が付かなかった。

俺は、?、を浮かべながら蒼井を見るが。

蒼井は切り返してしまった。


「じゃあ行こうか」


「マジか.....」


俺は赤面しながらそのまま昇降口から出る。

それから歩いて近所のコスプレ専門店に向かう。

その道中の事だが.....蒼井は俺の手をチラチラ見ていた。

何のこっちゃ、と思ったが。

意を決した様に俺に向いてくる。


「手を繋ごう」


「.....何で?」


「雪子ちゃんは主人公と手を繋がるのを趣味にしていたから。だから」


「そうか.....いやいや!!!!?」


リアルと現実を混同するな!

俺が握れる訳がない。

そもそも女の子の手を、だ。

真っ赤になる俺。


「駄目だ。恥ずかしい」


「シチュエーションの為に付き合ってくれない.....かな。再現」


泣きそうな顔をする蒼井。

俺は盛大に溜息を吐いてからそのまま手を繋ぐ。

そして息を呑んだ。


積極的過ぎる。

何で振ったのにこんな感じなのだろうか.....。

考えながら俺達はコスプレの道具を売っている店に向かう。

それから店内に入ると.....。


「あ.....」


「.....?」


店内に入ると。

目の前に服を見ていた同じ学校の女子生徒が居る。

俺を見てハッとして.....そして赤くなる碧眼の金髪の女の子。

それから意を決して顔を上げた。

何だ?


「.....もしかして飯場クンですか?お久しぶりです」


「.....そう.....だが?君はもしや」


「私です。.....キャリー・ホワノールです。.....その。飯場クンと同じ学校に転校したのでいつか声を掛けようとは思いましたが」


「え?マジで!?.....相当に久々だな。1年ぶりぐらいか?外国に帰っていたよな?」


「はい!」


ニコニコするキャリー。

この娘だがエロゲの.....その。

公式アカウントのやり取りと打ち上げとかで仲良くなった女の子。


まさかこんな美少女がエロゲをやっている仲間とはな。

と思うぐらいだが。

そして18歳未満なので.....年齢を偽っているが。


「.....」


何か。

凍てつく視線を感じた。

俺はハッとして背後を見るとそこに困惑した様な顔の女子が.....居る。

蒼井が俺達の関係に悲しげな顔をしていた。

仲が良いんですね、と言いながら。


「いや。単純にキャリーとは色々なゲームのゲーム仲間だよ。.....恋とかそんなのは関係無いぞ」


俺は考えながらキャリーを見る。

キャリーは、はい、と言いながら頭を下げる。

蒼井はそれでも不安なのか胸に手を添えていた。


あくまで俺は誰とも付き合わないつもりだぞ、とも言うが。

蒼井は、そうだけど.....、と言いながら見る。

俺はその姿に目をパチクリする。

蒼井には説明したよな?付き合えないと。

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