異世界流刑少女刑に処す。 出会いと別れ

土田一八

第1話 出会いと別れ

 ウィズの謀略を暴き、雉の姿に変えられていたイラトリアはジュリアの解呪により無事に元の姿に戻った。

「ごきげんよう。ジュリア。これが私の本当の姿なのです」

 私の目の前には雉の羽の髪飾りを付けた可憐な金髪碧眼美少女が裸で立っていた。雉さんではない。声は同じだけど。

「わお。ジュリア様が2人いる」

「似ているけれど非なるものよ」

 ファナはイラトリアの本当の姿を見て目を見張るが、スロナは冷静に違いを指摘する。いつまでも見ていたいけれど、いつまでもイラトリアを全裸のままにする訳にはいかない。私は自分のマントをイラトリアにかける。

「ありがとう」

「服が用意できるまで貸してあげる」

「うん」

 イラトリアは満面の笑みで笑った。

「えへへ」

 イラトリアは私に抱きつく。

「な、なあに?」

「私はジュリアとイチャイチャしたい」

「え?どうしたの?」

 私は可憐な美少女となったイラトリアに少しドキドキする。

「妖精さん達みたいにジュリアとイチャイチャしたいなぁ」

「………」

「まあ」

「……」

「ねえねえ」

 イラトリアはそう言って私にまとわりつく。

「ん~。お風呂に入らないと……」

「えへへ。やったぁ」



「えへへ。身体洗ってあげる♡」

 イラトリアはウキウキ気分で私の背中や髪の毛を洗ってくれる。


 むに。


「え?ちょっ⁉」


「エヘヘ。ジュリアのおっぱいって大きいね♡」


 イラトリアは楽しそうに私の胸をモミモミする。割と大きな手だ。私の手のサイズは高校生の時と変わらず下手をすると女子よりも小さい手だ。アテナは大きさついては手を加えなかったようだ。イラトリアの胸が私の背中に押し付けられる。彼女の胸だって私と大きさや形はそう変わらない。な天然の美貌の持ち主なのだ。付け加えるなら色や形も柔らかさも。

 イラトリアの手はだんだん下の方に移動する。


「ちょっと?そんな所まで⁉」


「前だけじゃなくちゃんと開いて指で仲と奥も丁寧に洗わないとね」


「くう」


 イラトリアの指は私の敏感な所で行動している。お尻の穴まで洗われ接見の泡を洗い流すと私はそそくさと湯舟に入る。この世界は湯舟に浸かる風習があるのは助かる。妖精達に洗われて慣れてはいるが、他人に触られるのはちょっと気が引ける。お風呂とベッドなどとは心持も異なるものだ。

「そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに…♡」

 私が逃げてしまったのでイラトリアは自分で髪や体を洗う。

「王族の場合、やっぱ、そういうのって臣下がするものなの?」

 私はイラトリアに質問する。

「その家…その人によるんじゃないかしら?尤も私の場合は、幼い時は使用人に洗ってもらっていたようだけれど、物心がついてからは自分で洗っているわね…」

「ふーん」

「でも、私はジュリアに洗ってもらいたかったなぁ」

 イラトリアは私の方をチラチラ視線をやりながら思わせぶりに言う。

「でも、私が洗うのは髪の毛と背中だけね」

「え~?」

 イラトリアは不満そうにするが私は無視する。第一私はそっち路線の趣味はない。自分の解呪の為に仕方なく割り切って相手をしているだけだ。これとて保証は無いとアテナに告げられてはいるが。


 お風呂を出て身体を拭き服を着る。髪の毛を乾かしながら櫛を通す。これはやってもらった方が早い。イラトリアは楽しそうに私の髪を整える。私もイラトリアの髪を整えてあげる。


「じゃあ、寝室に行きましょう」

「うん」

 私とイラトリアは手を繋いで寝室に行く。心なしかドキドキ心臓が高鳴るが、それはイラトリアも同じのようで耳が赤い。散々私の身体をまさぐっておいて今頃赤くなるのか。寝室に入り2人は服を脱ぎ下着も外す。お互い全裸で向かい合う。

「ねえ、見つめ合うのは恥ずかしいからサッサとベッドに行こう?」

「クスクス。ジュリアのそういう所、カワイイ♡」

 イラトリアはそう言って笑うと私に抱きつく。イラトリアの大きく柔らかい胸が私の大きく柔らかい胸に押し当ってお互いを押し付け合う。さっきは背中越しだったけれど温かい。イラトリアは私の背中に両手を回したので私もイラトリアの背中に両手を回す。2人の胸はさらに押し付けられる。こうすると背丈は少しイラトリアの方があるようだ。イラトリアは私に頬ずりをしてからそっと頬にキスをする。そして見つめ合う。さっきとはまた雰囲気が異なる。もう、全身の血が熱を帯びて流れ、その熱は皮膚まで到達する。そしてイラトリアとその熱は融合する。2人は瞳を閉じて唇を合わせた。そして離れる。青い瞳を見つめ合う。私は少し腕に力が入ってしまう。イラトリアは頭を私に預ける。チョットくすぐったいけれどなんだかうれしい。

「ベッドに行く?」

 私はそっと耳打ちのように小声で言う。

「うん」

 お互いの身体は離れる。私がベッドのそばに立つとイラトリアは背後から私を押し倒し私に覆いかぶさる。イラトリアの胸が私の背中に密着する。


 エヘヘ。


 それから2人はじゃれ合う。そのうちにイラトリアは私のおっぱいをチュウチュウ吸う。

「あん。…そんなにおっぱいが好きなの?」

 私はイラトリアの頭をナデナデしながら訊ねる。

「おっぱいは誘うより吸う為にあるのよ」

「ふうん」

 イラトリアは委細構わずに私の乳首を吸ったり舌で転がしたりして私の反応を愉しんでいる。

「んっ。もう…そんなにチュウチュウ吸ったってお乳出ないよ?」

 私は夢中でおっぱいを吸っているイラトリアをからかう。

「むう。うるさいわねぇ…」

 夢中で私のおっぱいを吸っていたイラトリアは集中できずに口から私の乳首を離してムッとして文句を言う。

「隙アリ」

 私はイラトリアごとゴロンと転がって体勢を逆転させる。

「きゃぁ」

「今度は私がチュウチュウ吸ってあげる」

「ひゃあ」

 イラトリアは悶えだした。

「ふっふっふっ。私の本気を見せてあげよう」

 イラトリアは私の舌技と指技によって悶える間もなくたちまち絶頂の波にもまれて行った。ふっ。最後は秘技赤貝合わせで幸せの間に導いた。



 チュンチュン。


 もう朝になった。


 2人の金髪碧眼美少女は満足そうに抱き合って寝ていた。



 それからイラトリアは秘密裡にかつ精力的にイールランド中に散ったかつての家臣を訪ね歩き軍を編成する。その数約千五百。私もイラトリアに同行したが一瞬驚きはするものの、大抵二つ返事で同意を取り付けて行った。会った時は酒に溺れて落ちぶれているような輩であっても指定された期日に馳せ参じて来るのだから大した人望というか人徳だ。

 さすがに兵を集めて1か月で王宮もこの動きに気が付いたらしく正規軍を以て討伐に動き出した。


「報告!敵の数、およそ八千!」

 鷹使いの斥候がイラトリアに報告する。およそ4倍の兵力差だ。しかし、それを聞いて我が陣営に動揺する者はいない。

「して、敵の陣容は?」

「歩兵約三千、騎兵約二千、銃兵並びに砲兵合わせて約一千!」

「魔導師団は?」

「その姿、数名であります!」

「敵将に帯同しているのか?」

「御意にございます」

「敵将は確認できたか?」

「はい。敵の大将は、ジョージ アークス卿であります」

「戦う程でもない。侯爵。私をマントに乗せてもらいたい」

「分かった」

「ピーコック。留守を頼む」

「御意」

 私はマントを外して宙に浮かせ私とイラトリアはマントに腰掛ける。

「では行って来ます」

 マントは敵陣に向かう。

「スロナとファナは空中待機。防御と援護を頼むわね」

「了解」

「あいよ」

 スロナとファナは妖精の羽で飛んで別行動をする。

「敵陣に乗り込むなんて敵将と知り合い?」

「うん。父親代わりの人よ」

「そう…」


 一方で空飛ぶマントを目撃した敵陣は混乱した。

「敵か⁉」

「本陣の方に飛んで行ったぞ!」

 兵達は騒ぎ出す。

「静まれ‼」

 隊将は兵達を宥める。

「敵襲‼」

「待て」

 アークス卿は部下達を制止する。マントは敵将の前に降り、私とイラトリアは地面に立つ。そしてイラトリアは前に進み出る。

「ジョージ」

「イラトリア殿下。死んだものとばかりに」

「ちゃんと地面に足がついているわよ?」

 イラトリアは地面を踏んで見せる。アークス卿は馬から降りてひざまつく。

「殿下。ご命令を」



 それから2か月が経過した。イールランドはイラトリアによって掌握され、イラトリアを陥れた者と加担した者は処断された。


「侯爵。此度の働き、感謝致します」

「それは良き事です」

 私は今日、アルグラルドに帰国する。


                             完

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