第28話 【元魔王の雑談部屋】含む2
指示を出した後はすかさずにコメントを入れる──
34:元魔王
迷える暇人よ、本来デーモンは出ないのか?
すまん、デーモンが溢れて来たので、返事遅れる
35:迷える暇人
王……戦闘中なのに大丈夫なのか?
あの後、覚えてる奴らの情報を集めたんだけど──5階層のダンジョンで魔物は死霊系、ボスはドッペルゲンガーだったはずだぞ?
36:導き手
確かに。我らは各々情報集めをしましたが、似たような情報しか得れませんでしたね
返事はゆっくりで構いません
37:黄昏のニート
だね。まぁ、死霊系にせよ、デーモンにせよ、聖属性を付与した武器とかあればやりやすいかもよ?
38:名無しの勇者
父クレイは最後、アークに継承させて相打ちしているが、これは相打ちという表現なだけで、実際は自分の血をアークに与えて死亡したようなものだな
(ふむふむ、なるほどこれはかなり有用な情報であるな……書き込みたいが──今は無理だな。明らかに敵が増えすぎておる。殲滅するか)
我は魔力を込めて魔法陣を形成していく──
「一旦全員引っ込め──『
均等に魔法陣で周りを埋め尽くし──
連鎖するように爆発を重複させていく──
爆発音が終わる頃には3階層にいたデーモンは血肉に変わり果てた。
試しに使ってみたが、案外いけるものだな……そんな大した魔法陣でもないからか?
「「キャァッ──なにこれ!? 血と肉がぁぁぁッ!?」」
「あぁ……アーク様ぁぁ……さすがです……」
双子メイドは飛び散った肉片などが降り掛かり叫び、ソアラは我の必殺技の凄さにうっとりしておる。
「なぁ……アーク様ってスキルないんだよな?」
「スキル無しの無能と聞いてますね……」
「これも魔道具?」
ウェル、セレナ、ノラの順で3人は驚愕している。
「うむ、我の秘蔵魔道具である」
我の言葉に「こんなの国宝級……」とか聞こえてくるが、納得したようだ。
魔道具の一言で片付くのはありがたいな。
まぁ、実際は魔術だがな。
魔力が大分減ったが、これで落ち着いて『ネット検索』を使えるな。
「よし、これでしばらくは集中出来るな……全員しばらく休憩だ」
我はそう告げてコメントを再度書き込む──
39:元魔王
とりあえず、一掃してきた
それで、調べた感じでは5階層のボスはドッペルゲンガーではなかったぞ? ピエロがおった。魔物も3階層まではデーモンしかおらぬ。
40:迷える暇人
殲滅早くね?
デーモンしかいないか……違うダンジョンなのか? しかもボスがピエロ??
41:導き手
ミラと王太子の婚約話は出てますか?
42:名無しの勇者
王よ、そのダンジョンはスカーレット領か?
43:黄昏のニート
余裕があればソアラちゃんの他の写真おなしゃす!
(質問のオンパレードであるな)
44:元魔王
婚約話は出ておるし、我のいない間に会いに来るみたいだな。まぁ、ミラや母上にはボコるように伝えているが。
ダンジョンはスカーレット領だ。ボスっぽいピエロがいたが、今の我であっても簡単には倒せそうになさそうだ。
現在、休憩中の写真を撮るからちょっと待て
45:導き手
スカーレット領のダンジョンであれば近況にあった継承エピソードですね
46:迷える暇人
だな。確定だ。しかし、これ既に物語のルート違うくないか?
47:名無しの勇者
ボスが違う事と、婚約話が引っかかる
48:黄昏のニート
王ってかなり強いと認識してるんだが……それでもピエロに負けるの?
ぶっ飛んだ話になるけど、まるで王を物語が始まる前に殺すように仕向けているような気がするんだけど……
写真わくわく
(やはり物語のルートとズレておるのか? 父上は我に継承──血を与えなければ死なぬのはわかっておったが、このダンジョン構成では全滅しかせぬ。黄昏のニートの言う通り、我を殺しに来ているのか? それに名無しの勇者の事も──王太子の件も考えようによっては我を引き離して殺す為という風にも取れる……)
とりあえず──
「──ソアラよ、笑ってくれぬか?」
「──はいッ!」
我は良い情報を得れたので報酬用に先に写真を撮る。
うむ、良い笑顔だ。
デーモンの血肉が付着して、若干ホラーちっくではあるが良かろう。
写真を貼り付ける──
49:元魔王
大義であった。報酬である
50:黄昏のニート
ありがたきッ!
……これ見るとヤンデレに見える……いや、まぁヤンデレって聞いてるけどさ……
51:名無しの勇者
確かに……少し怖いな……夜中とかに刺されそうだな……
52:迷える暇人
可愛いのに変わりはないが──
それより背景のデーモンの死骸が木っ端微塵なんだが?!
何したんだよ!?
53:導き手
グロいですね……本題が消し飛ぶぐらい衝撃映像なんですが……
(今度はそこまで好評ではないな……そこそこ時間も経っておるし、4階層を少し威力偵察して帰るか)
54:元魔王
これから更に強敵のいる4階層に降りる故、これにて
また助けてくれ
55:黄昏のニート
はは〜(平伏)
56:名無しの勇者
死ぬなよ
57:迷える暇人
我ら王と共にッ!
58:導き手
ご武運を
我は『ネット検索』の使用をやめて、ソアラに声をかける。
「ソアラよ、明日に渡そうと思ったがこれを渡しておく。魔力が回復しやすい魔道具だ」
我はソアラに魔力自動回復効果のあるネックレスを渡す。
4階層はこのメンバーでは厳しいだろうしな……魔力回復薬も飲んでる暇はないかもしれぬ。
我も気が抜けぬ。
「アーク様……ありがとうございます……嬉しいです……しかも、凄い速度で魔力が回復してます」
もう少しムード良く渡したがったが、そんな事言ってられんからな。
「さて、4階層に降りるぞ」
「「「え?! もう?!」」」
ソアラ以外が顔面蒼白になった──
四天王と話して、家が気になってきたな……。
向こうはそろそろ王太子が来る頃であろう──
────元魔王が離席した後────
59:迷える暇人
なぁ……これ、リアルじゃね?
60:黄昏のニート
少なくともCGではない
61:名無しの勇者
本当に異世界の説が浮上したな……
62:導き手
ですね……私達は凄い経験をしているのかもしれませんよ?
63:迷える暇人
だな……
とりあえず、王が死なないように願うわ
64:名無しの勇者
デーモン木っ端微塵にしてるぐらいだし、大丈夫じゃね?
65:黄昏のニート
王ならきっと、フラグなんか折ってくれるよ。
とりあえず早くフィーリアちゃんと、ミラちゃんの写真が見てみたい……
66:導き手
私達は出来る事は大体終わりました。後は祈りましょう
────
────────
────────────
◆
全く、アーク様は滅茶苦茶ですね……僕の名前をノラに変えたり、魔道具を使って馬鹿みたいにダンジョンを進んでいくし──
余所見しながらでも、ちゃんと僕達を守ってくれる。
短い時間しか話したりしてないけど、アーク様はとても優しい。それだけはわかった。
怖いのは変わらないけど……。
でも、守る為に容赦はしない──その心構えは見習わなければならない。
僕は盗賊に慈悲を与えなかった時に噂通りの人だと思った。簡単に命を奪う人なんだと……でも、ちゃんと理由はある。
呪いのせいで変な誤解を受けやすいけど──
この方がいれば、この国は安心だ。
今回のダンジョン攻略も簡単に終わりそうな気がする。
でも──
最悪の事態が起こって、危なくなったら──
僕はアーク様を守る為に王太子レオン様から頂いたこれを使う。
レオン様は言った──
『これは戦況を変える事が出来る魔道具だ。危なくなったらアークをこれで頼む』
──と。
レオン様も国防を担うアーク様のご心配をされていた。
わざわざ、出発前に訪れるぐらいだから。
アーク様がいればこの国はどんな脅威からも守ってくれそうな予感がする。
そんな事を思いながらボケッとしている僕にアーク様が声をかける──
「ノラ、余所見してる場合ではないぞ。ここではデーモンより強い魔物しかおらぬ」
「え、あ、はい」
そんなアーク様の言葉に僕が思ったのは──
『そんな事言いながら簡単に真っ二つにしてるじゃないかッ!』
──だった。
細切れじゃないか!
それに向こう側で魔法を撃ちまくって
僕、ウェル、セレナ、双子のメイドさんもアーク棒を投げて戦線を維持出来ている……。
うん、余裕で攻略出来そうだ……。
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