第27話 【元魔王の雑談部屋】含む1

「あぁ、楽しくて仕方ありませんッ! アーク様と一緒に戦えるなんて本当に夢のようですッ!」

「「ソアラ様、1人で行かないで下さいッ?!」」


 相変わらず、敵を魔法で薙ぎ倒しておるソアラである。

 双子メイドが可哀想であるな……。

 たまに1人で暴走しよる……まぁ、危なくなれば我が斬り伏せておるから問題あるまい。



「アーク棒の試作品まで使えるなんて幸せ……」

「「セレナ?! ちょッ──」」


 こっちもこっで色々大変そうではある。

 セレナが大層感動しておったので色々な属性付きのアーク棒を渡したら、こちらも暴走しておる……。



 さて、これならデーモン如きならこやつらで十分対応可能であろう。


 我は撃ち漏らしを始末しながら、四天王との約束を守るとするか──


 我は周りを見ながら『ネット検索』を使用する。


 スレ立てと──



 1:元魔王

 我、降臨!


 2:黄昏のニート

 ははぁ〜(平伏)


 3:導き手

 お待ちしておりました。どうしましたか?


 4:迷える暇人

 どうした?


 5:名無しの勇者

 事件か!?


(3回目ではあるが……こやつら本当にいつでもおるな……上司として私生活が心配だぞ?)


 6:元魔王

 いや、写真の約束を守ろうと思ってな


 7:黄昏のニート

 ふおぉぉぉぉぉッ!!!!!


 8:迷える暇人

 写真あるのか!?


 9:名無しの勇者

 王、やるじゃないか


 10:導き手

 我らの為にありがとうございます


(凄い楽しみにしとったのだな……おっと──)


 その時、ソアラの魔法を掻い潜りデーモンが襲う──


「──ソアラよ、あまり離れるでない」

 我はソアラに迫るデーモンの首を刎ねる。


「はいッ!」


 うむ、では画面に戻るか。



 11:元魔王

 だが、問題がある。どうやって載せれば良いのだ?

 というか、我現在戦闘中なので返事は遅くなる


 12:黄昏のニート

 え?! どういう状況?!


 13:元魔王

 いや、前に話しておったダンジョンの攻略に来ておる。今は威力偵察中である。


 14:迷える暇人

 え? もう攻略開始してんの?!


 15:導き手

 とりあえず、ここへ書き込んでるという事は余裕があるのでは?


 16:名無しの勇者

 だな。なんせ王だからな。

 とりあえず、書き込む画面の端っこに四角い印があるだろ? それを押したら写真出てこないか?


(端っこか……確かにあるな──おぉ!? ソアラの写真が出てきおった!? とりあえずこの素晴らしい笑みを浮かべるソアラを選択して決定ボタンを押してみるか──)


 我は写真を載せる──


 17:元魔王

 どうであるか?


 18:導き手

 凄い美人……


 19:迷える暇人

 この年で既に巨乳……眼福……


 20:黄昏のニート

 日本人じゃない……


 21:名無しの勇者

 銀髪似合いすぎだろ……


 22:元魔王

 おぉ、ちゃんと見れたようで何よりである


 23:名無しの勇者

 王よ……お願いがある! 王の写真を貼ってくれないか?


 24:元魔王

 しばし、待て


(我の写真か……その為には撮らねばならぬな。自撮りとかいうやつか……自分を画面に写して──!?)


 その時、セレナが1人でガンガン前に進む姿が目に入る。しかも魔法を撃たれる寸前だ。


「ノラとウェルよ、戦場で気を抜くなッ! セレナをしっかり守らんかッ!」

 2人を叱咤しながら、セレナに迫る闇魔法攻撃をビームサーベルで切断する。



 我は自撮りした写真を確認する。


 ……今ので写真の背景に大量のデーモンが写っておるが、仕方あるまい。よし、載せるぞ──



 24:元魔王

 少しデーモンが大量におるが、真ん中にいる人族が我である。


 25:導き手

 イケメンッ!!!! あぁ、こんな彼氏が欲しい……


(導き手は女性なのか……他はさっきの反応で男であろうな……)


 26:黄昏のニート

 これはお似合いだな……


 27:迷える暇人

 いや、イケメンなのはわかったが……背景の悪魔っぽいのが凄く気になるんだが……


 28:名無しの勇者

 てめぇ、ふざんけんなッ!(血涙)


(ふむ、我イケメンは確定らしい!)



 嬉しくてにやにやしていると双子メイドが声をかけてきた。


「「アーク様がにやにやしてます」」

「うむ、少し嬉しい事があってな」


 イケメンとは格好良いという意味のはずだからな。嬉しいに決まっておろう。


 そんな会話をしていると、間髪入れずにソアラが話に入ってきた。


「浮気ですかッ!? 浮気なんですね!? 私がいるのに浮気なんて!!!!」

「ソアラよ、我はちゃんとソアラを愛しておるから安心せよ」

「……愛してる……」


 戦闘中なのに緊張感が皆無であるな……まぁ、我も人に任せて言うのは間違っておるが……。


 さて、書き込むか。



 29:元魔王

 まぁ、戦闘中であるからな……デーモンばっか現れよる。

 とりあえず報酬は払ったのである。

 ちょうど良いので聞きたい事がある


 30:導き手

 ありがとうございます(涙)

 なんなりと!


 31:迷える暇人

 次はフィーリアやミラの写真を頼む。

 というか、ダンジョン攻略中なんだよな?

 あの件のダンジョンはデーモンは出ないはずなんだがな……


 32:名無しの勇者

 王を一発殴りたいが、今は我慢だ……


 33:黄昏のニート

 これCGじゃないよ……

 色々見たい……


(うむ、好評のようだし、また撮ってやるか……名無しの勇者の嫉妬が凄いのであるな……──というか、気になるワードがあったぞ?)


 コメントを記入しようとすると、ノラの声に意識が引き戻される。


「アーク様ッ! 敵が異常に増えていますッ!」

「うむ、気を緩めるなッ! セレナはそのまま殲滅を続けろッ! ウェルはセレナを守れッ! ノラも遠慮せずアーク棒を投げんかッ! 渋れば死ぬぞッ! 双子メイドはソアラにデーモンが近付くまでにアーク棒を投げよッ! ソアラはそのまま広域殲滅魔法で盛大に行けッ!」

「「「はいッ!」」」


 指示を出した後はすかさずにコメントを入れる──

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