補習 : 高坂千代
私のクラスの生徒が、卒業式に半分以上死にました。
私の、何がいけなかったんでしょうか? 私の指導の仕方? クラスの雰囲気? いくら問うても答えてくれる人は誰もいません。
誰もがこんな悲劇になるとは思ってもいませんでしたから。勿論、私も。
……だって、中学生活を殆ど共にした子たちが卒業式という晴れ舞台で、急に飛び降りたんですよ?
私には……わけが分かりません。何が起きたのか、今になっても分からないままです。
私には教師が向いてなかったのでしょうか。向いてなかったからこそ、こんなことが起きたのかもしれません。
でも、残ったクラスの子は、先生は悪くない、の一点張りです。……それは、本当なんでしょうか?
私は、あの時から何も分からないままです。
何も分からないまま教師を辞めました。
ただでさえ、クラスの半分以上を自殺させた教師というレッテルを貼られるんです。
勝手につけられたレッテルほどすごく苦しいものはないです。
あぁ、でも私はまた、3-Bの子たちに先生って呼ばれることを望んでいます。先生、先生って……。
卒業式の点呼、感動したなぁ……。一人一人の名前を呼んで、すごく嬉しかった。
私が先生だって認められた気がしたから。
私が先生になってよかったって思えた瞬間だったから。
私が3-Bの担任をしてよかったって思えたから……。
でも、もう、だめです。
マスコミに追われ、自殺をしてしまった親御さんに暴言を吐かれて、……テレビはもうつけられません。だって私を非難してる声が聞こえるから。
もう、だめです。
出来るなら、3-Bの子らに先生ってもう一度呼ばれたかったなあ。
……。…………。
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