プロローグ下
「なり、、みや、、?ごめん何も聞いてないというより私の知らない人」
そう少し小さな声で言った。
「そっか」
僕は、そう言って床を見る。
目に熱いものを感じたからだ。しかしそれをくっと堪えて僕は、ちゃんと前を見て
「向坂ありがとう」
そう言ってその場をあとにしようとする。
「ちょっと待って」
向坂が少しキツくそう言った。
僕は、口からえっと声が漏れる。
「ごめんサキちょっと話してくる」
「いってらー」
そう言うと僕の腕を持って
「ちょっとこっち来て」
そう言ってズルズルと僕を引きずっていった。
引き続けられついたのは、図書室だった。
昼休みということもあり若干数の人がいる。
なので僕達は、図書室の一番奥の机に対面で座る。
そうすると開口一番向坂は
「覚えてたんだねめぐちゃんのこと」
「お前覚えて、、、」
少し大きな声が出てしまう。
そうすると向坂は自分の口元を人差し指で押し
「ちょっとここ図書室だよ」そう小さく優しく言った。ごめんとそう言いそっと後ろを見ると図書委員がこちらをジトッと見ている。すいませんでした。
「覚えてたのかよかった僕だけおかしくなって形宮っていう架空の幼なじみを創り出してしまったのかと思った」
「そんなわけないでしょ、、、めぐちゃんと私と鳥羽くんはもう切っても切りきれないような縁なんだから」
「最近はそんなこともないだろ」
「けどこの縁切れる?」
本当はあるべきものがない。
ずっと一緒に過ごしてきた親友ともいえる形宮がいない。いたことさえ誰もが覚えていない。
向坂はどんな気持ちだったかそれは僕同様に辛かっただろういや僕以上に辛かったはずだ。
勝手に切れてしまった見えない縁を僕達は探してる。
「切れるわけないだろ、、、切れても探すよもう一度その縁を、、、」
といったところで昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響く。
僕達は学生だから教室に戻らなくてはならない。
もう昼休みも終わるしまた放課後できたら話そうっとそう僕が言うと
またここでいい?っと向坂が言った。まだ話し足りないらしい僕もそうだが。
「そうしようじゃ教室に戻るか」
図書室を出るときにもう今さっきこちらを見ていた図書委員の子はいなかった。
さっきのことを少し謝ろうかと思ったのだがまぁ放課後に行ったらいるかもしれないしまたそのときに謝ろう。
廊下に出る。いつもなら活気溢れる話し声の中に一際通る形宮の声が聞こえるが今は聞こえない。
教室に入る。
向坂はいつもの気の弱そうな向坂に戻っていた。
昔とは、違う僕のあまりの知らない向坂だ。
友達の顔を覗いながら愛想笑いをうかべるそんな向坂に戻っていた。
昔のような抜身の刀のような誰これかまわずバッサバッサと正論で黙らせる向坂はもういない。
席につき次の授業の準備を始める。
日本史の授業だ。
ゆっくりと午後の時間を過ごせそうだ。
授業中僕は、昔の思い出を振り返っていた。
僕がまだこの高校のある街にでてくる前まだ出る前の田舎の同学年が僕と向坂と形宮だけの小さな村の
思い出だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます