青空と神隠し

八草秋水

プロローグ上

人生何があるか分からない。

何があるかなんてわからない。

これがわかるようになってくることが大人に近づくってことだと昔僕は父さんに言われた。

どんな経緯でそんな話なったか覚えてないがその言葉だけを覚えている。

つまり色々な経験をしたそれが大人っということだろう。

人生何があるか分からない。

何があるかなんて分からない。

その意味を今日僕は、真の意味で知ることになった。

今までただ僕はそれでもある程度予想は、できるし

その予想できる範疇内のことを越えることはないと思っていた。

違った。

その予想こそが間違っていた。

僕の幼なじみ 形宮 恵(なりみや めぐみ)

が消えたのだ。

ただ消えた。つまり失踪とか転校とか誘拐ってわけじゃない”記憶”から消えたのだ。

みんなの記憶から。

まるで最初からいなかったように。



最初に違和感を感じたのは、朝のHR時だ。

「鳥羽」

「はい」

僕の名前が呼ばれ返事をする。

その次に形宮のはずだった。

朝から姿を見ていなかったからいつも通りギリギリに教室に入ってきてセーフとか言ったクラスを沸かせるのだとそう思ってた。

「新島」

「はい」

先生は、形宮をとばして次の生徒の名前を読んだのだ。

「えっ」

そう情けない声が朝の静かな教室に響く。

「どうした鳥羽急に?」

そう担任の先生がそう言った。

「いや何でもないです」

「そうか忽滑谷」

「はい」

その時は、先生も疲れているのだろうと思っていた。そして時間は、進み昼休みになる。



僕の違和感は、確信へと変わった。

僕からすると形宮は、このクラスの人気者だ。

それは、僕以外のクラスメイト10人に聞いてもYESとそう答えるだろう。

この昼休みというと時間になるまでずっと色々な人に聞き耳を立てていたのだが形宮という単語が出てこない。

違和感しかない。

気持ち悪い。

このクラス全体が突然いじめをはじめてしまったかと思った。我慢ならなかった。そうだとは、思っていない。ただ絶対におかしいのだ。

だから僕は、その違和感に決着をつけるために声をかけたのだ。

声をかけたのはいつも形宮がいるグループの一人。

向坂だ。気の弱そうなように見えるがこのグループにいるということは、このクラスの一軍僕なんかよりも断然格上いや僕なんかと比べる事自体がおこがましいくらいである。

「お話中すまないが向坂少し話たいことがあるちょっといいか?」

そう言って僕は、親指で廊下を指す。

「うんいいよ鳥羽くん」

ちなみに向坂は、小学時代からのこの学校では、数少ない友人でもある。それは、形宮もだが。



廊下に出て向き合いそして話題を切り出す。

「形宮からなにか聞いてないか」



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