焼き鳥を食べる休日

ヴィジラント

とある休日に

 今日は焼き鳥を食べながらお酒を呑む。


 冷蔵庫から鳥のモモ肉を取り出す。


 これは、スーパーで買ってきた唐揚げ用のやつで、ちょっと焼き鳥にしては大きいサイズが6個入っている。そのパックを2つ。


 ボールやらお皿やらに出すと洗い物が増えちゃうから、パックから出さずに、日本酒と塩コショウをかけて軽く揉んでから、100均で売ってたステンレス製の串に刺す。


 今日は、春らしい気温で、天気も良い。


 ベランダに、キャンプ用の椅子やテーブルを出して、風除けを立てて、焼き鳥用のカセットコンロで焼く。


 カチッ

 ボッ


 そんな音を立てて火がつく。


 温まってきたら、皮から焼く。


 少しずつ、皮が引き締まっていく。


 しばらくすると、ジュッと音がして煙が上がる。


 焼き鳥のいい匂いだ。


 唐揚げ用の鳥肉だから、焼けるまで時間がかかる。


 ビールを飲むことにする。


 350の缶をプシュッと開けて、グラスに注ぐ。


 注ぐ時は、高めの位置から炭酸を抜くように。

 すぐに泡だらけになる。が、それでいい。

 泡が落ち着くまで待つ。気長に待つ。

 泡が3分の1くらいになったら、今度は、そっと注いでシュワっと感を調整。


 グラスを掲げる。ビールと泡、4:1。

 パーフェクト。


 乾杯!


 ちょっと泡を啜りながら黄金を呑む。


 ゴクリと一口。


 昼間に呑む酒ほど美味いもんはないと実感する。


 ジュッと音がして焼き鳥に呼ばれる。


 ひっくり返してあげて、またしばらく黄金を楽しむ。


 景色を眺めながら呑んでいると、時間がゆっくり進んでいるような気になる。肉が焼けるのが待ち遠しい。


 やっと我慢比べが終わり、鳥肉がいい感じに焼けてきた。


 時折ジュッと油が落ち、いい匂いを上げて、キラキラ輝く鳥肉に、塩をかけて出来上がり。


 鳥皮は、焼き目が付きこんがりしている。

 

 一口かじる。


 口の中で、パリッと音がする。


 そして、アツアツの肉汁がジュワッと広がる。


 そのまま、ビールをグッと。


 アツアツを中和しながら、肉を味わう。


 美味い。


 そのまま、ひと串目をビールとともに完食。


 飲み物が終わってしまったから、冷蔵庫から、レモンサワーを取り出す。


 ふた串目、レモンサワー。


 もう言葉にならない。パーフェクト。



 まだまだ、時間も肉もある。

 お酒もハイボール缶が冷蔵庫で出撃待機中だ。


 たまには、ゆっくりした時間を過ごそうと思う。


 

 ジュッと音がするなか、春らしい気温と焼き鳥の煙に包まれて、最高のひと時を得た。

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焼き鳥を食べる休日 ヴィジラント @vigilant

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