『四季は流れる』

舞った桜に顔隠れるその瞬間、春を感じて恋をする。

春風に体を委ねて流れゆく。また繰り返す。

照った日に目を細めるその瞬間、夏を感じて恋をする。

夏至夜風に吹かれ道を一人練り歩く。また間違える。

降ってきた葉をはらい落とすその瞬間、秋を感じて恋をする。

秋風を感じ肺に息をためる。また涙ぐむ。

積もった雪に跡をつけるその瞬間、冬を感じて恋をする。

冬の冷たい風は何も感じない。

四季で変わりゆく私の体に、だれも触れてこない。

四季で変わりゆく私の心に、だれも問いかけない。

上からのぞく景色はどの季節も美しい。

そしてまた、私のいない、春がくる。

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