第14話 『子猫亭』改装計画②

2日後、俺は子猫亭の改装に手を付ける事にした。

最初にしたのは、ミケール一家の部屋を一時的に別の場所に移す事で、その場所は

畑のド真ん中である。


『ユートさん。本当に此処なのですか?』


「ここなら、問題ないと思うが? 良いじゃん、キャンプしているみたいで」


『いやいやいや、畑のど真ん中でテントを張って暮らせって言っても.....』


その場所は敷地の中心にあるミケールの畑の中央の場所でテントを張ったのだ。

宿をぶち壊して一回更地にしてから建築する予定だ。


「ここしかないんだ。宿自体を修繕しても何年後にはまたボロボロになるので新築にしたら良いかと思う。それと、外壁を先に作らないと防犯にはならないからな?」


『そんなもんですかねえ?』


「そんなもんですわ。調理道具とかは俺が作ってやるからな? 後になるけど」


『おまかせします.....はあ』

呆れた顔のミケールを無視して改装に取り掛かるとしよう。

子猫亭の広さは日本での小学校がある広さでその8割が畑なのだが


「先ずはこの広さの外壁を作るとするか、俺の建築技術でなんとか出来るはずだ」

俺は土魔法で高さ5メートルの壁を作り、子猫亭の敷地を囲んで行った。

そして、外壁にある工夫を行う。

一個目は外壁にミスリル鉱石と鉄鉱石を粉末にして混ぜ合わせその粉を外壁全体に塗りつぶしたのだ。

ミスリルは魔法伝導が良い為、魔法剣や防具にも使われる。

鉄鉱石はある物質を伝導させる為に行った物だ。

何故、ミスリルと鉄鉱石が沢山あるかって?

それは.....簡単、俺が子猫亭に来てから毎日森の奥で狩りをした時に偶然見つけた洞窟の中にミスリルと鉄鉱石を見つけだしたのだ。

俺の錬金で純度100%のミスリルと鉄鉱石を道具箱アイテムボックスに入れていたのだ.....おかげで魔力(MP)増大に繋がって一石二鳥なのだ。

外壁に掛かった日数は......3日で終わり次に移行するとするか?

これは意外と大変だったぜ!

三日後、俺は次の作業に取り掛かった。


「次は建物を壊して....更地にするか? 俺の魔力だと1日で終わる」


俺は宿を更地に変えて行った。

宿の中の物は粉々になり、廃棄物は道具箱アイテムボックスの中に入れた。


『こんな......私の宿が.....平地になってしまった.....』


「良いじゃん、新しい建物になるから問題ないぞ?」


『それはそれでいいですけど......』


「まかしておけ」


夕ご飯を食べながら全員テントに寝るのであった。

この日は此処で終了って事で、明日から大変になるからな!

次の日、遂に宿を建てようと思う。

前の宿は3階の木造建築で細長い物でしかも階段も底が抜けている所が多かった。

俺は4階の基本木造だが一部を改良して「大工」のスキルで建てて行く。

俺が建てている所をミケール一家には見られて欲しくないので「隠蔽」スキルを使って見えなくして作業をして行くのであった。

俺が使えるスキルをフル利用をして.....3日後には宿が完成。

その2日後には追加の建築をして、1週間後には宿が完成したのである。


そして、ミケール一家に完成披露をする事にしたのだ。

実は外壁に結界をかけて周りから見えなくする様にしていたのでバレてはいないはず....。


ミケール一家全員揃った所で俺は話を始めた。


「おまたせしました! これが新しい「子猫亭」じゃあ!」

俺は隠蔽を解除して宿全体を見せた。


『『『『.............』』』』

ミケール一家はアングリした口を開けて全員固まっていた。


『なんですか! これは!』


『これが私達の宿なの.......』


『こんなに大きいなんて......』


『あの看板可愛いにゃあ』


「どうだ、すごいだろう?」


『『『『すごいより.....ビックリした!』』』』


「説明するから聞けよ?」

俺は説明を始めた。

建物は木造ではなく、俺が錬金で作った『コンクリート』を使用したいわゆる鉄筋コンクリート4階建てにして色々と工夫を行った建物だ。


「先ずは中に入ろうか?」

そう言って俺はミケール一家と一緒に中に入り説明をした。


「入口には宿の受付で隣の通路で食堂とお風呂場とある場所に直結している」


『あのう....階段が無いのですが....』


「階段は後で言うから食堂に案内するぞ?」

食堂に到着すると全員再び固まった......。


『調理施設は?』


「そこにあるカウンターの後ろにあるぞ?」


『座席の数は?』


「座席は4人がけで10席、カウンター席で15人入るので合計55人から60人入るぞ?」


『前の食堂は.....座席は10人しか入らなかった....』


「此処の食堂は昼と夕方に一般のお客さんに開放する事になるので今までのメニューではなく新しいメニューで勝負するのだ。そのメニューは俺が考えたのでミケールさんは作って欲しい」


『ユートさん、分かりました....私達で大丈夫だろうか?』


「それは俺が後で教えるから、次はその奥に向ってくれ」

俺は食堂から出て奥の部屋に着いた。

此処には.....俺が自慢の場所であるのだ!


『これは....お風呂ですの?』


「しかも男女別にしているので問題ない。そしてこの奥には....サウナがあるのじゃあ!」


『サウナって.....上流貴族しか入らないサウナですか?』


「上流貴族のサウナよりは小さいが面白いだろ?」


『ええ、これが目玉なのですね?』


「それは最後に説明するから、お風呂場を出よう」

お風呂場に出た俺達は横の扉を開けると其処には5人程が入る小部屋になっていた。


『この小部屋は何ですか? あ! 扉が勝手に閉まった.....』


「扉の隣にある4つの色の魔石は....まあ、試しに赤色に手を触れて見てよ?」

俺の言いつけにミケールが代表に赤色の魔石に触れると赤色の魔石が輝き、床に赤い魔法陣が光って小部屋が上に上がって行く。


『ユートさん、上に上がっているのにゃあ』


「これは自動魔導昇降機エレベーターだ。赤色は2階、青色は3階、黄色は4階まで昇って、白色は1階に降りるようにしている。この宿ではこれを内部に使ったのだ」

俺は2階と3階と4階を見せてあげる。

2階は一人部屋のみ配置していて、その数は8部屋で一番端にスライムトイレを設置している。

以前の部屋の大きさは畳3畳分の大きさだったが、5畳の大きさにしてベットとクローゼットを配置していた。

3階は2人から4人が入る部屋で、その数は4部屋あり、部屋の中には同じくスライムトイレが配置している。

以前だと畳6畳だったが今は12畳の広さになっており、2段ベットが2か所配置して、共有のクローゼットを部屋の奥に配置した。中央には丸形折り畳み机と折り畳み椅子を置いて此処でパーティが相談出来るようにしておいた。

4階は畳24畳の広さの会議室にしている。

無論スライムトイレを2基配置している。

収容人数は8人まででこれはパーティ組んだ時の最大人数を想定して作った部屋なのだ。

各部屋には、部屋の扉の横に防音&防御結界の魔道具を埋め込んでいるので魔力を込めると約1日の効果があるのだ。

お客様を起こす時には天井にある音声魔道具から声が聴こえるようにした。

それは、後で説明するとするか?

宿の中を見て回ったミケール達は気になった事を俺に聞いた。


『宿の中身は解りましたが....私達の家族の家は何処になるのですか?まさか....今いるテントですか?』


ミケールさんよ....俺はそこまで鬼畜じゃないぜ!


「一旦外に出よう。それで解ると思うぞ?」

俺達は宿の外に出ると食堂の隣に家が建っていた。


「そこにあるのがミケールさんの家だよ? 部屋は4つで台所とトイレと家族風呂があるのだ」

ミケール達の家は日本で言うと4DLKの間取りで作っている。

ダイニングキッチンの横に小さな扉と大きな扉があり、小さな扉は宿の食堂に繋がって、大きな扉は玄関になっている。

最後にミケール達の家の隣に3階建ての建物がある。

それは後で説明するので今日は此処まで説明して、明日は色々と俺が手配している事を話するとしよう.....。


そして、宿が完成して1週間後に新しい子猫亭をオープンするのであった。



~作者より~

次回は子猫亭のその後を話です。

お楽しみ下さい。

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