第8話 15歳になったので孤児院を出て冒険者になります
ユートはこの後、15歳になる間、週初めから4日間、魔物討伐と薬草最初で職業レベルを上げ、次の1日で孤児院の整備を行い、残り2日は休みとして行く。
そのお陰で、孤児院の生計は豊かになって、子供達も色々と勉強する事が出来た。
シスター達は、自分がしたい研究を行った。
特にシャコタンシスターであるクリスは料理の特訓をしたおかげで孤児院の中で一番の料理が出来る人になっていた......マジでビックリしたわ!
こうして充実の時を過ごしたユートは遂に15歳の誕生日を迎えた。
誕生日の朝、ユートはクリスに起こされようとしていた。
『ユート君.....起きなさい.....もう、今日は私の胸で....ぎゅううう!』
「このバカ! 苦しい.....って言っているだろう! ズドン!」
『いた~い! ユート君! また頭に脳天チョップ叩いて!』
「今日でこう言うのは最後になるから......俺は嬉しいぞ!」
『うううう......。そうだった....今日でユート君此処から出ているのね.....くすん』
「いいんじゃない? お前を慕っている子供達がいっぱいいるから大丈夫だろう?」
『それはそれで嬉しいですけどお......。』
「さあ、着替えて朝食を食べに行くぞ!」
『わかりました......くすん』
二人は服を着て一回の食堂に降りて朝食を食べた。
その後、ユートは冒険者の服に着替えて玄関に向かうとそこに、孤児院のシスター達、子供達が待っていた。
「院長先生、今までお世話になりました。では行ってきます。たまに此処にお風呂に入りくるのでよろしくお願いします。」
『ユートさん。ありがとう』
『『『『『ユート君、頑張って!』』』』』
「シスターの皆さんもお元気で!」
『『『『『ユート兄ちゃん! がんばれ!』』』』』
「お前達もがんばれ!」
ユートは孤児院から出て行く。
....これからは一人で生きて行かないといけない.....まあ、何とかなるか?
確かクリスから聞いた冒険者ギルドの建物は少し歩いた先にあると言っていたな?
先にギルドに行って冒険者登録をしてから宿を探すとするか?
ザクソンの街は6つの区画で分かれており、入り口の門から入ると中央に商業&宿泊区画、その西に一般市民区画、東には商人&下級貴族区画、北には領主宅と騎士団区画、そして、入り口付近に教会や孤児院がある信仰区画だ。
冒険者ギルドは中央の商業&宿泊区画の中にあり、俺はそこに歩いて行った。
クリスから聞いた三階で赤い建物が見えて来た....そう、ここが冒険者ギルドだ。
「さて....着いたぞ。一階は魔物の解体場と冒険者同士の憩いの場である酒場で二階が受付で、三階がグギルドマスターの執務室と相談室って言っていたな? 取り合えず中に入るとするか?」
扉を開けて中に入ると手前に酒場で奥に解体場が見えて来た。
「上に行くには....あった、この階段だなあ」
ユートは階段を昇って二階の受付場に入る。
其処には多くの冒険者達が掲示板を眺めながら依頼を探していた。
「でけえ! ここが依頼がある掲示板かあ.....。左からC、D、E....色々なランクの依頼があるなあ。新規受付ってどこだ?」
ユートが新規受付を探していると一人の女性が声をかけて来た。
『其処の坊や? 何か探し物かな?』
「はい。俺、冒険者になろうと思いまして新規受付を探しているのです。お姉さん、新規受付って何処かわかりますか?」
『それなら、奥のカウンターがあるでしょう? そこが依頼の受付だよ? 新規はその隣にあるから、ちょっと待ってね?』
その女性は新規受付の方に向かい
『おーい! リンダ! 新規希望に来た坊やだよ?』
『はーい。ヒルダさんじゃありませんか? そこにいる可愛い坊やが新規登録者なの?』
『そうだ。おーい、坊や。こっちに来なよ? この人が新規受付のリンダって言うんだ』
「初めましてユートと言います。よろしくお願いします」
『こちらこそ、よろしくね。では、登録するので今、申し込み用紙を渡すので書いて私に提出してね? 氏名、年齢、出身場所、職業と職業レベルは後で確認するから』
申し込み用紙を貰ったユートは、用紙に書き込んで行き、書き込みが済んだのでリンダに手渡した。
リンダは用紙の確認をして行く。
『え~と、名前はユートで歳は15歳。うん成人しかばっかりだね? 出身場所は、孤児院か......。それじゃあ、このステータス魔道具に手を触れてくれない?
これに触れると、本人確認と職業と職業レベルがわかるから』
「はい、手に触れますね」
ユートはステータス魔道具に手を触れると、魔道具から光輝いて、リンダは魔道具に新しい紙をかぶせると紙に文字が浮かびかがるのだった。
その内容は以下の通りになる。
氏名 ユート 15歳 男 人族
身長180センチ 体重60キロ
職業
固定スキル 身体強化
基本スキル なし
犯罪履歴 なし
『......これは.......職業が無職?って.....職なしの事かしら? 後は固定スキルが...身体強化しかないわ....貴方、これは本当なの?』
「はい。本当です(本当は全く違うけどね.....。上手く隠蔽操作が出来ているなあ)」
隣に立っていたヒルダもその内容を見て驚いた。
『君って、この能力で冒険者するかな?』
「そうですけど?」
『君の『無職』って『職なし』の職業だから、諦めたら良いかと思うよ?』
リンダとヒルダの言う事が正解だ思ってユートに諦めようと進める。
「俺は孤児院出身なので、しかも、一応ゴブリンとか倒していますから問題です」
『ユート様、一人でゴブリンを倒した事があるのですか?』
「そんなには多くありませんが......10匹程度ですよ?(本当は5000匹も討伐しているけど、さすがにそれはマズい。)」
『それで、一人で冒険者をするつもりか? 君ではもしも冒険者として行くならパーティを組んだら良いかと思うが....さすがにこの職では....来ないか』
『リンダの言う通りだ。ユートのような『職なし』でも冒険者は出来る。しかし、一人では無理だ。『職なし』は『職あり』より圧倒的に低い。一応見た所、レベル25だから、一般の冒険者に近いと思うが....』
「それでも、冒険者になりたいのです! 冒険者になったら他の土地に行けると思っているので!」
ユートははっきりと答えると奥から沢山の冒険者達が大笑い始めた。
「お前! 大丈夫か? 他国に行くのはCランク冒険者だぞ?」
「そうだとも、それも基本職でレベル50以上でパーティ組まないと行けないんだ。」
「お前がCランクになるのには10年かかってもなれねえって!」
「「「「「「わははははははははは!」」」」」」
大笑いするその場にいる冒険者達、すると大きな音を立てた人がいる。
『何か文句があるのか! お前達! そこにいるお前達は全員Dランクばっかじゃないか!』
そう......ヒルダである。
『ヒルダさん。あんたもこいつは無理だって言っているんじゃないか?』
『言っても、本人が覚悟しているのなら、私は文句は言わない! ユート、それで冒険者になる覚悟はあるのか?』
「もちろん、あるに決まっている! だから此処に来たんだ!」
『分かった.....。リンダ、このユートの冒険者登録をしてやってくれ。私が保証人になるから。それでいいだろう?』
『ヒルダさん。良いのですか?』
『ああ。このBランク冒険者で『氷のヒルダ』が保証する! リンダ、分かったら即手続きをしろ!』
『はあい。ユート様、少し待って下さいね?』
リンダは席を外して奥に行った。
10分ほど、1個のネックレスを持って戻って来た。
『おまたせ、ユート様。これがギルドカードです。ネックレスになっているので必ず身に着けて下さいね?』
「はい。これがギルドカードか......薄い金属が中心になっているネックレスかあ。金属に「F」の表示になっているのは?」
『それは、『F』ランクのギルドカードです。それとこれが冒険者ギルドの入会説明書です』
これが....入会説明書...って結構分厚いじゃん!
一体何ページあるのだ?
どれどれ.....20ページもあるのか....これを読むのに一晩かかるなあ......。
「ありがとうございました。リンダさん、ヒルダさん。それとリンダさん。初心者向けの宿はありませんか?」
『あるにはあるけど.....そうね....此処から15分歩いた所に「子猫亭」ってあるわ。結構安いけど....余りおすすめしないわ』
「『子猫亭』ですね? 目印はありますか?」
『『子猫』が書いてある看板があるわよ?』
「そうですか? ありがとうございます。それでは失礼します」
ユートは冒険者ギルドを出て行くと、ヒルダはリンダにユートの事を話すのであった。
『リンダ。ありがとう』
『いいえ、良いのですか?ヒルダさん』
『ああ。問題ない。面白い奴だと思ってな....。』
ヒルダは思った.....。
あのユートは
あ! 例の英雄の職は確か同じ職だったはずだ...まさか...あの英雄と同じだと思うわけないか......。
ユートの事を思いながらヒルダもギルドを後にするのであった。
~作者より~
ユートが冒険者登録しました。
今後のユートの冒険者活動が気になります。
次回は冒険者についてと『子猫亭』の話の回になります。
お楽しみ下さい。
面白いと思った方は是非とも評価ポイントをお願いします。
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