第15話 波はcos
「ねえ、どう思う?」
某コーヒーチェーンのゆずティーを飲みながら、私はかなたくんに問うた。
「良かったんちゃう?なぎさ的にはどうなん?」
「んー、まだ分からないな。別れたいって言ったばかりだし。」
「せやな、まあそれもそうか。」
彼に別れを告げたあと、私はかなたくんに電話をかけて、現状報告をした。
すると、駅で会うことになり、自然と2人で集まった。
「なあ、今は体調とか大丈夫なんか?」
それは体調と見せかけた心の調子のことを聞いているのだろう。
かなたくんなりの優しさだ。
「大丈夫、かもね。」
ちくちくとした心に鍵をかけながら私は微笑んだ。
「無理に笑うなや。」
やめてよ、そんな優しい言葉言わないでよ。
「心配したいからしてんねん、だから気にするな。」
言われたことないよ、そんな言葉。
「少しは俺を頼ってもいいとちゃうん?」
待ってよ、私にだってプライドがある。
矢継ぎ早に声をかけられて、私は黙りこくった。
なんて言うのが一番正解なのか分からなかったから。
頼れるなら頼りたい、でもよくわからない。
頼るって何?今まで誰かに頼りたくても頼れない生活をしてきた。
あなただって重荷になったら捨てるんでしょう。
心はもやもや、ゆずティーだけが間を繋いでくれた。
「今は、整理がついとらんかもしれんけど、ついたら教えてくれ。」
「なんで?」
「ようやくこっち向いたな、なぎさ。」
「そんな泣きそうな顔するなや、大丈夫や。もう終わったんや。」
「整理がついたら、それを教えてくれさえすればみんな安心する。だから教えてくれ。」
そう言われて私は、みんなに迷惑をかけていたことに自己嫌悪の波に襲われた。
「みんなはしたくて心配してんねんから、間違っても自分のせいで〜とか思うなや。」
「分かった。」
ゆずティーを置いて、手をつくとそこには私よりはるかに大きくて骨ばった手があった。
年下でも男の子なんだと理解するのに時間はかからなかった。
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