第3話 初めてのスクーリング

スクーリングと言う合宿的なものがあるらしく、それに行かないと単位は取れない。


私はあんちゃんやかなたくん、他にもみいちゃん、ゆうちゃんなど友達が増えたころだった。


男の子の友達もそれなりに増えてきた頃、彼氏にかなり嫉妬された。


「なぎ、最近男の子と仲良くない?」


私は彼氏が異性と宅飲みを繰り返していることを知っていたため、言い返した。


「はあ?彼氏くんなんて女と飲みに行ってんじゃん。私は彼氏くんとしかお酒飲んでないしデートだってしてない。」


「だってあいつは同じ研究室でゼミ仲間だから…。」


「それで言うなら、私の友達だって同じ学年で同じクラスだけど?」


「彼氏くんは、私との未来を言う割にやけに女先輩と仲良くしてるじゃん。」


「…ごめん。」


「そんなん言うなら、この部屋(私のアパート)から出てって。」


「ごめん、言い過ぎた。あいつとは気を付ける。」


「私もごめん。でも、やましい話や行動は一切してない。ラインだって見せられる。」


交際期間が長いとか短いとか関係なく、こういう喧嘩は絶えないものだった。


少しぎくしゃくした中で、スクーリング期間に入り、私は集合場所まで彼氏に送ってもらった。


駅の広場前、新幹線入口。


彼氏君と何も考えずに手をつないだまま集合場所に向かう。


彼氏君の手の力がどんどん強くなり、私は不思議に思った。


「どうしたの?」


「これから4日会えないの、つらいなって。」


「あんなわがままを彼氏君にぶつけたのに?」


「いいんだよ、お互い様だし。」


私はリュックを背負いながら、右手は彼氏君の手。キャリーは彼氏君が持っている。


友達のかたまりが見え始めて、そろそろ手を離す時。


彼氏君は手を離してくれず、キャリーも渡してくれない。


あんちゃん達と目が合い、ああやばいなと思った時にはもう遅かった。


「行ってらっしゃい。」


軽く抱きしめられ、黄色い声援が響き渡る。


私は瞬間湯沸かし器のように恥ずかしくなり、顔を赤くした。


キャリーを渡され、手も離した。


「ありがとう。行ってくるね。」


「気を付けるんだよ。」


彼氏君が見えなくなるまで、私は見送った。


踵を返して集団へ向かうと、あんちゃん達がきゃーきゃーしていた。


そこからは質問攻めである。


私は面倒なことは嫌だったため、全て適当に受け流した。



3泊4日は無事終わり、駅につくと普通に真っ暗。


私は彼氏が迎えに来てるから、とその場で離れた。


「どうだった?」


彼氏君の運転に身を任せながら、私はスクーリング中のストレスを一気にぶちまけた。


「それはつらいわな、よく頑張ったよ。」


赤信号の時に頭を撫でられ、私はほっとした。



私のアパートにつくと、彼氏君は実家に帰った。


「よく休むんだよ。デートはまた今度疲れが取れたらね。」


「ありがとう。」


私は荷物を適当に散乱させて、お風呂に入った。


久しぶりの1人お風呂だ、なんて思いながら、スマホをいじると通知が来た。


『かなたくん:おつかれ。家着いた?』


かなたくんは電車で実家に帰っているはず。もう着いたのかな?と思い、返事をした。


『私:お疲れ~。家着いたよ。疲れてると思うしゆっくり休んでね。』


『かなたくん:あれ、誰?』


『私:あれってどの人?』


普段はあまりレスが速くないのにどうしたのだろうかと疑問に思いながら返事を返していた。


『かなたくん:駅でイチャコラしとった相手。』


『私:見てたんだ。彼氏。』


『かなたくん:見てたもなにも、見せつけるようにしてきたんやろ?』


いつもと違って少し怒っているような文面に少し戸惑った。


『私:見せつけてないよ。前日に喧嘩してたからってだけ。』


『かなたくん:彼氏さん、こっち見てたで。』


『私:そうなんだ、知らなかった。』


『かなたくん:なんか牽制されたわ(笑)。』


『私:かなたくんと仲いいって話をしたんだ(笑)。』


『かなたくん:余計なこと言うなや(笑)。だから牽制されたんやろ(笑)。』


『私:別にやましくないからいいの!』


『かなたくん:(笑)。』


可愛い男の子だなあと思いつつ、私は彼氏に連絡を取り、眠りについた。



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