第2話 青チャ
あんちゃんが休みのため、私は一人で学校に向かった。
教室は何個かあり、授業が行われていない部屋は自由に入退室できるようになっている。
まあ少しスマホいじって帰ればいいかな、なんて思いながら教室を外から見ると、かなたくんが勉強していた。
かなたくんと一緒にいればいっか、と思い教室の扉を開けると、かなたくんから挨拶をしてくれた。
「おはようさん。」
「おはよう。」
かなたくんの後ろか隣に座るか悩んでいると、無言で後ろに座れと合図をしてくれた。
「かなたくん何してたの?」
「見りゃ分かるやろ。勉強や。」
「偉いね。私は勉強から逃げてる(笑)。」
「やらんとあかんもんはやらんとあかんからな(笑)。」
「正論ね(笑)。」
「なぎさ、でええんか?」
「いいよ。」
「なんでここに来たん?」
転校してきた理由を聞いていることは分かったため、事情を話した。
「ほんまなん?」
証拠を見せると黙った。
「ほんまやな、ごめんな。」
「いいよ全然。」
「勉強できるんなら、教えてーや。」
かなたくんは参考書を見せて、ペンで指した。
そこは私の大嫌いな三角関数で、どう教えたらいいのか迷った。
それに、どこまで勉強ができるのかは未知数で、塩梅が分からない。
「かなたくんはどこまで解けるの?」
「ここまでなら分かるわ。」
例題のページを出した。
「解き方もここまでなら分かる。」
私の聞きたかったことが言わなくても伝わることが嬉しかった。
そして私よりも頭の回転が速いことが伝わった。
ギリギリ教えることのできるレベルで良かった。
私は時間をつぶすために登校したため、筆記用具を持っていなかった。
「ごめん、かなたくん。」
「ん。」
シャーペンを貸してくれ、白いルーズリーフの紙もくれた。
私は直角三角形を書き、公式を書いた。
「綺麗な字やなあ。」
「そう?」
「書き方が理系やわ。」
「何それ(笑)。」
「頭のいい書き方っちゅうのがあんねん。」
「へえ~。」
「相手に分かりやすく書けるのは頭のいい証拠や。」
「私は頭が良いの?(笑)」
「いいに決まってるやろ。何言うてんねん。」
説明を書き終えて、説明しようとするとかなたくんは止めた。
「ここまで綺麗に分かりやすく書いてあれば、あとは自力で解ける。」
「よかった。」
「解き終わるまで待っててえな。」
「分かった。」
私はスマホをいじりながら、かなたくんのペンを走らせる先を見つめた。
「なんやねん、手が止まってるやん。」
「いや、分からないとか言ってたけど解けてるじゃん。」
かなたくんの手が止まり、こちらを見た。
「当たり前やろ、俺が初めて友達に質問したんや。解けなきゃ相手に失礼やろ。」
「解けなくても解けても、かなたくんじゃん。」
「言わせんなや、俺はなぎさの勉強ができるところを頼ってんねん。」
「嬉しい。」
「もう解く気分じゃなくなったわ。やめや。」
その後はお互いの話で盛り上がった。
帰りはホームまで送ってくれて、バイバイをした。
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