三角関数と君

澪凪

第1話 一目

転校初日、周りは全員年下で同じ学年という複雑な立場で迎えた。


私は周りと年齢が違うことをとても気にしていて、教室に案内されても一歩踏み出せなかった。


扉の前で少し戸惑っていると、女の子が声をかけてくれた。


あんちゃんという子だった。


優しく、気配りのできる良い子で、私を迎え入れてくれた。


「名前は何ていうの?」


「神奈川です。」


「下の名前!」


「なぎさです。」


「じゃあなぎさちゃんだね!」


「初めて学校に来たから、分からないことだらけで…。」


「大丈夫!すぐ慣れる!」


「ありがとう。あなたの名前は?」


「私はあん!」


「あんちゃん、可愛い名前だね。」


「ありがとう!これからよろしくね!」


「こちらこそ。」


あんちゃんと握手をして、1人知り合いができたことに安堵していると、男の子を紹介された。


「かなた!!」


あんちゃんに呼ばれた男の子は、私の方へやってきた。


「新入りなん?誰?」


「今日からなんだって!ね?」


「うん。初めまして。」


「初めまして。」


「神奈川なぎさって言います。よろしくお願いします。」


「よろしゅう。俺はかなた。」


かなたくんは、すらっとした細い体形でかわいらしい顔立ちをしていた。


「みんなで仲良くしようね!」


あんちゃんの可愛い一言で、その日は穏やかに過ごすことができた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る