果てにて

津田薪太郎

第1話

 砂に足を沈めると、柔らかい手指が足先に触れる

 空を見上げれば、月の他に何も無し

 ここは何処だ

 波打ち際に出て、海の水を掬ってやると、恐ろしい程に冷たい

 氷が手を刺す様に、命が尽きる様に冷たい


 足元を見れば、ひび割れた彫像が自ら顔を出し、私にこう言った

 我が名を知らば呼び給え 知らざれば踵を返すがよい

 私は呼びかけた

 あなたの御名は知らずとも、あなたこそが真の王者でありましょう

 彫像は笑うと黒々とした海に沈んだ

 私はその名を思い出し、星無き二つの海に叫んだ

 ああ、オジマンディアス。私はあなたの後を追うだろうか、と


 

 

 

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果てにて 津田薪太郎 @str0717

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