第50話 Eランクダンジョン『砂丘の墓地』
今日も一狩り終えて、冒険者ギルドで受付嬢に戦利品の査定をしてもらった。
すると、
「本日の査定額は一万五千ギルドになります」
「おっ、多いですね」
「フロアボスの素材もありましたから」
何回もダンジョンに挑んでいる中で、コツも掴んできたと思う。
どの辺にモンスターが生息しているのか、どこが弱点なのかとか詳細が分かって来た。
同じダンジョンに絞って探索をしたお陰だろう。
「随分と今日は早いお帰りでしたね」
「まあ、苦戦してないですからね……」
フロアボスが食人植物で、岩肌も溶かすほどの胃液をブチまける敵だったけど、真面目に戦ったら瞬殺だった。
レベルを維持できるということがかなりのアドバンテージになっているみたいで、相手が可哀想なレベルだった。
「というか、フロアボスって倒してもまた出現するんですね」
瞬殺できた理由はレベル差もあったけど、一度戦った相手だったからというのもある。
今のところフロアボスは大型で、それまでの階層にいたモンスターとは比にならないほど強いっていう共通項がある。
そういうボス系の敵は、一度倒したらもう出現しないイメージあったけど、普通に同じモンスターが出て来たな。
ステータスに微妙な違いがあったから別個体であることは確かだろうけど。
あと早く帰還できたのも、フロアボスを倒してウィンドウが出現して『ダンジョンから出ますか?』みたいなテキストが表示されたので、『はい』を選択したらすぐに脱出できたからっていうのもあるな。
「ええ。ただ、フロアボスの縄張りを恐れて隠れていたモンスターが、次のフロアボスになるので、すぐに倒してしまっても素材の価値が低いモンスターであることが多いので、サキモリ様には物足りない相手だったかも知れないですね」
「なるほど、そういうことだったんですね……」
道理でフロアボスの割には弱かった訳だ。
同じダンジョンに潜っていると、どうやら俺のことをモンスターが認知するようで逃げ出すモンスターも出てくるようになった。
気が付かない内に戦い方を監視されているのかも知れないけど、モンスターが寄り付かなくなってしまっているので、素材を入手するのが難しくなってきた。
せっかく慣れて来たのに、圧倒的に勝ち過ぎるのもよくないかも知れないな。
できればもっと色んなダンジョンに挑んだ方がいいんだろうな。
「それで何ですが、サキモリ様には昇格試験のご案内をさせてもらいたいんですが……」
「しょ、昇格試験!? ってことは……」
「はい。Eランク冒険者になるための試験です」
「……早くないですか?」
「確かに昇格試験を受けるのは異例の早さかも知れませんが、こうしてモンスターや植物の戦利品を大量に手に入れ、賞金首まで捕まえているので実績としては十分だと冒険者ギルドの方で判断致しました」
「うーん……」
一瞬、喜んだけど、少し考えてしまう。
こんなにも早く昇格試験を受けられるとは思わなかった。
絶対に受けた方がいいと思うけど、資格試験の時みたいに変な試験だと難しそうだ。
実技試験みたいな奴だったら受かる気しかしないんだけどな。
「前回の試験はかなり特殊でしたし、仮に落ちても何の罰則もありません。受けるかどうかは自由ですよ」
「でも、受けた方が探索できるダンジョンの種類は増えますよね?」
「はい。リスクは勿論大きくなりますが、リターンも大きくなりますね」
Eランク冒険者になったら、行けるダンジョンの範囲は広がり、Dランクのダンジョンへ向かう事もできるはず。
新しいダンジョンへ行きたいと思ってい所に渡りに船の提案だ。
「いつになりますか?」
「試験日は明日です」
「明日!? またですか!?」
「え、ええ……」
試験開始日を教えられるのは、いつだって急すぎる。
俺がこんなにモンスターを狩って来ると冒険者ギルドも思っていなかったのか。
まあ、賞金首を捕らえたのもたまたまだったし、そう考えると突然昇級試験を提案されるのも普通なのか。
きっと、資格試験の時と同じで頻繁に開催できると思えないし、日程の調整は個人の都合じゃできないんだろうな。
「開催する場所は? またこの近くですか?」
「いいえ、今回は少し遠くで開催になりまして、現地集合になります」
「現地集合ですか……」
「はい。Eランク昇格試験の試験会場はEランクダンジョンの『砂丘の墓地』になります」
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