第7話 異世界で酒池肉林(逢坂陣視点)

 半裸の女を椅子にしてふんぞり返る。

 大きな葉で団扇のように扇いでもらうのも、汗をかいた身体に気持ちいい。

 複数人の女性と一緒に運動をしたのは初めてだが、こんなに快感だとは知らなかった。


「ハハハハハハッ!! 異世界至極最高ぉスねぇ!!」


 王様から最低限の説明をされた後、広い部屋に案内された。

 そして、何か必要な物があれば何でも仰って下さいと言われたので、酒と女と飯を頼んだら、本当に用意してもらえた。


 口に合わない酒や食べ物は一口口にしただけで、女達に与えた。

 宛がわれた女達は俺に絶対服従だということもあるが、まともに水や食事を与えられていないのか、脇腹が浮き出ている連中が多く、床に落ちたものでも一斉に群がった。


 あまりにもその様子が滑稽で面白かったので、今度は自分の足に酒をかけて試してみる。


「ほら、飲んでいいッスよ」


 女性二人が俺の意図をしっかりと理解したようだった。

 俺がわざと脚に零した酒をチロチロと、舌を蠢かして爪先から上へと隈なく舐めていく。

 女性二人が脚を胸で挟み込み、固い部分も揉んでくれる。

 圧倒的支配感が全身を巡り、熱くなっていく。


「……申し訳ありません、お忙しいところ。勇者様」

「ああ? なんだいたの?」

「すいません、何度もノックしたのですが」


 顔が赤くなっている俺の世話係の女性が、視線を漂わせている。


 今まで相手にした女共は明らかに慣れている女ばかりだったが、こういう色欲に疎い女を俺色に染め上げたくなる。

 身体着きも自分好みだった。


「つーかーさー。獣の耳ついた女の子ばかりなんスけど、なんで?」

「彼女達は奴隷ですから。奴隷のほとんどは獣人です」

「へぇええええ」


 鉄製の首輪や手枷をつけているから、奴隷の可能性は考えたが本当に奴隷いたのか。

 だとしたら猶更面白いことができそうだ。

 色々なプレイを楽しめる。


 親子丼が好きだから、探してみるのもいいかも知れない。

 家族連れの奴隷なんかいたら、親の前で嫌がる娘を堪能するのも乙なもんだ。

 日本じゃできなかったことを、ここだったら何でもできるってもんだ。


「そういえばあいつ逃げたんスんよね!? 本当使えないッスわー。前の世界だって使い物にならなくて、ゴミだったんスよ」

「あいつとは?」

「無職のあいつッスよ、あいつ。勇者じゃなかった先輩のことッスよ」

「ああ、はい。そのように聞いています」


 勇者じゃなかった崎守先輩は、第三王子のフラスコ王子によると逃亡したらしい。

 この世界から逃げたくなったんだと。

 今頃、魔族に襲われているかも知れないと、心配そうにフラスコ王子は言っていたが、俺からすれば願ったり叶ったりだった。


 昔の自分を知っている奴は消えていい。

 コンビニでしみったれた生活を続けていた頃より、今の輝いている自分の方が何倍も好きだ。

 今の自分こそが本来の自分なのだ。


「勇者様、そろそろ旅の支度をお願いします」

「はあ? 何で? レベル上がって意味ないんスよね? 武器に強さが依存するんだったら、強い武器を持ってきて貰えればそれで済むんじゃないんスか?」

「……それが……。強い武器を完全に扱うには、『共鳴』しなければならないんです」

「共鳴……ッス……か?」

「はい。武具と使用者の共鳴率を上げることによって、武器本来の力を発揮できるんです」

「……いや、説明聴いても意味わかんないッスわ」


 よく分からないが、ここでずっと座して待っているだけでは駄目らしい。

 面倒極まりないが、言う事は聴いていた方がいい。

 この生活を失うなんて考えられない。


 ちょっと命令に従って、サボればいい。

 俺はいつだって効率的な生き方をしてきた。

 馬鹿正直に真面目にやっていても、誰からも評価なんてされない。

 報われるはずがない。

 そんなの、崎守先輩を見ていれば明らかだ。


「……まあ、どうでもいいや。でも、武具は揃っているんだよね?」

「はい。勇者様に扱って欲しい武具は取り揃えています」


 武器は揃えている。

 仲間も既にいる。

 ステータスも最強。

 こんなの、強くてニューゲームみたいなもんだ。

 楽勝過ぎる。


 魔族やら魔王がどれだけ強いかは知らないが、勝てなかったら白旗を上げればいい。

 命を懸けてやる義理なんて、この世界の連中にはない。

 甘い汁だけ啜らせてもらう。


「あと旅に出るにしても、必ず女用意して。色んなタイプの。それが駄目なら俺、旅出ないから」

「了解しました」


 服をはだけた女から、果実を貰う。

 そのままグイッと引き寄せると、お互いの舌の上で果実を転がし合って潰す。

 舌に吸い付くようにして果実の甘味を堪能すると、胡乱な目つきをした女の胸を弄る。


 今日の飯は自分の手で食べていない。

 全部女の手から食べさせてもらっている。

 自分で食べた方が早いが、そんなの問題じゃない。

 ただやらせているだけだ。

 支配している実感が欲しい。


 少しでも嫌がった奴がいたら、どれだけ殴ろうが蹴ろうが文句は言われない。

 泣き叫ぶ顔を見れればそれはそれで、愉しめる。


「あっ、ああ……」


 酸素を求めるように喘ぐ声で、また激しい運動がしたくなってきた。

 お世話係の女の恥らんだ顔を見るのが目的だったのに、やる気になってしまった。


「旅に出ろって具体的にはまず何をすればいいんスか?」


 予想通り気まずい顔になっている世話係を見て、唇が歪む。

 理由を付けて、いつかこいつの尊厳も踏みにじって、まともな言葉が喋れなくなるまでグチャグチャにしてやりたい。


「まずは、冒険者ギルドへ行って、冒険者登録をしてもらいたいのです」


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