第23話 マスターと新作
ベアさんは翌日ラキーバに帰った。
名残惜しかったが、仕事もあるし仕方ない。今度はみんなでラキーバに行くと約束し、再会を約束した。
まだボーナス休暇中だったので、マスターの店に行く事に。
マスターの店での事はオーナーも知っていて黙認されている。
もちろん、こっちにも教えるのは忘れるなとは言われてるが。
「マスター早くにごめんよ」
「お!ユーイチ良く来たな!」
ニカっと笑顔のマスター。
今日は休みで付き合えると伝えると、なら昼の営業は休みだなとやる気満々である。
「今日の夜は、試作も込みでタダにするから家族も連れて来い」
「太っ腹だな。なら私も頑張るよ」
「ああ!貰ったマヨネーズ?だったか、あれもいい。色々試したいからアドバイスを頼むぞ」
「任せて。オーナーの店で新しく入る食材も少し持って来たから_ 」
台の上に出した食材を、2人で手に取り意見を出し合う。
マスターと仕入れや使いやすさを考え、いくつか見繕ってメニューを考えよう。
うーん、定番は外せないし芋料理からかな。
見た目さつま芋なんだけど、少しだけ甘いジャガイモなんだよなこれ。
「マスター、油ある?できたらラードじゃないの」
「あるぜ。バーチは近くに草原があるだろ?そこの花の種から、たくさん油取れるから街中はみんな使ってる」
ウキヨじゃ少しゴマっぽかったが、これならいけそうだ。
早速油を加熱。その間に揚げ物についてレクチャーする。
油の危険性もしっかりと念を押しとく。
いい温度になったとこに、くし切りにしたイモを投入。
きつね色になったとこで、盛り付けて塩をまぶして完成。
ポテトフライは定番で間違いないよね。
ウキヨで試した揚げ物は風味が強くてくどかったから、こっちの油なら色々試せる。
油を大量に使い出して恐い顔してたマスターも、ポテトフライを食べてもうキラキラ目を輝かせてる。
油も使ってるし、次は唐揚げにしてみる。
下味は塩胡椒でさっぱりだけど、マヨネーズを付けてもらうからいいかな。
衣をまぶした肉を油に投入。
マスターの圧が凄いけど…全部食べそうだな。
軽く二度揚げして、カラッとなったのを皿に移す。
うん、揚げたてだからこのままも美味いけどちょっと物足りないな。
マヨネーズはマストにしてもらう。
その後も野菜を薄切りにしてチップにしたり、
トマトソースはあったので薄切り肉をカツレツにしたり揚げ物料理を量産。
ベチャッとなったり、火が通ってなかったりはマスターに頑張ってもらうしかない。
何度が最適とか、揚げ時間とかそこまでの知識はないからね。
細マッチョのマスターには、太るから食べすぎないように言ったけどしばらくは自重出来なそうだ。
かわりに野菜中心のレシピを、あれこれ考えましたとも…
結構な時間が経っていたので、仕込みと試作をしたいマスターにまた夜に来ると言ってお開きとなった。
「さて、どうしようか…」
まだ日も暮れてなかったので、散歩がてらフラフラする。
何となく知識で色々広め始めたけど、手の届く範囲の生活なら意外となんとかなるし楽しいもんだな。
そんな事を思いながら地味な異世界生活を振り返る。
さすがに、拉致された時はカタコト神?には頭来たけど…
スキル?もなんか地味だし、死にかけてばかりだったし…
「まぁ、もういいか」
今が楽しいし、それが大事だ。
その夜は3人でマスターの店に行って、新作の試作メニューを堪能した。
ナナとサンサは山のような料理を食べて毎日食べたいと言ってたが、揚げ物とマヨは太るからねと言うと早く言ってと怒られた。
毎日じゃなければ大丈夫だから、運動すれば大丈夫など宥めるのが大変だった。
女の子は難しい…
喜ばせようとお菓子がわりに揚げパンみたいなのを作ろうと思ってたが、しばらく後にしようと決めたおっさんである。
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