第22話 久しぶりの我が家と再会

「やっと着いた…」


 馬車に揺られる事数日、バーチの街の門をくぐる。

 すぐに家に帰りたかったが、オーナーに報告しなくてはいけない。


 コンコン


 「どうぞ…おお!ユーイチ!良く戻った!」


 オーナーには手紙で経過報告をしていたので、追加の報告とこれからについて話をした。


 良くやったと労いの言葉を頂き、ボーナスまで用意してくれていた。

 その場で現金報酬はやっぱり嬉しいものだ。


 その後数日のまとまった休みももらえる事になって、事務所を後にする。


 

 久しぶりの街を見ながら家に向かう。ウキヨの華やかさも良かったが、私にはこういう穏やかな雰囲気の方が合ってる。


 途中行きつけの店に行き、マスターにマヨネーズをプレゼントし物凄く喜ばれた。

 おっさん同士抱き合う姿は好きですか?


 ちゃっかり後でレシピを教えて欲しいから、食べに来いとも言われた…。


 

 寄り道をしつつ久しぶりに家に着いた私は、緊張していたのかノックをする。


 「はーい」


 懐かしいサンサの声だ。


 「何か御用ですか?……あっ」


「や、やあ。ただいま…?」


 久しぶりでなんて言ったらわからなくなって、おかしな物言いになる。


 「ユーイチ!!おかえりなさい! なんでノックして入るのよ。あたしビックリしたじゃない…」


「久しぶりでね。どうしていいか分からなかったんだ。はは…」


 「もうっ!ナナはまだ食堂なんだけど…って、ユーイチ!お客さんが来てるのよ!」


「お客さん?」


 そう言われて奥に目をやると、大きな人影が見えた。

 あれからだいぶ時間は経ったが、忘れた事なんてなかった。

 懐かしくて、悲しくて、辛かった気持ち色々込み上げてきた。


「べ、ベアさん…?」


 「ユーイチ!無事だとは聞いたが、顔を見れてほんと良かった! 頑張ったな…」


 そう言われて我慢出来ずにポロポロ涙が溢れてしまう。


「うぅっ…あの時大変で…戻りたくても戻れなくて…でもベアさんの…忘れた…なくて…」


 顔をぐちゃぐちゃにしながら、話したかった事をひたすらに話した。

 サンサは事情を知らなかったので心配していたが、察してくれたのか部屋に戻っていった。


 「あぁ…聞いてる。俺もすぐにこっちに来たかったんだが…。ハクサンとかいう奴が捕まるまでは、ユーイチも安心出来ないと思ってな」

 

「…解決…したのか?」


 「あぁ!」


 それから落ち着くまでの時間、ベアさんは優しく相槌を打って話を聞いてくれた。

 見た目は毛むくじゃらの大男で山賊も真っ青なんだが…


 「ユーイチ…改めて頑張ったな。困っていたらラキーバの街に戻って来ないかと思ったんだが、こんな可愛い彼女が居たんじゃ無用なお世話だな。はははっ」


「ち、違うって!サンサは家族で…」


 「そうか…」


 サンサを助けた経緯やベアさんに救われた身だからと説明する。


 照れたような、良くやったというような…そんな顔で聞いてくれる。


 私が拉致されて少しして街に様子を見に来ていたらしく、行方を探していたところに事件の知らせ。

 それでも、近隣の村やバーチにも探しに来ていたらしい。

 私が逃げ情報を提供したので、事件が進展した時も警備隊と揉めてまで提供者が私らしいとこまで突き止めたそう。


 その後は話した通り解決まで見守り、解決した事で私の所在を教えてもらって来てくれたのだ。


 そんな男に認められるのは素直に誇らしかった。


「まだ街にはいるよね?泊まっていって欲しい。家族も改めて紹介したいし、話したい事もたくさんある。」

 

 「そうだな、お言葉に甘えてそうしようか」


 そうと決まれば、今日はお祝いだ。ナナもサンサも賛成だろう。


 サンサを呼び、買い出しとナナに伝言を頼み宴会の準備だ。

 ウキヨで貰った物もあるし、喜んで貰いたい。



 その夜、

 ナナは久しぶりで泣いていたり…


 ベアさんに助けられた時の話で恥ずかしくなったり…


 ナナ&サンサの私を褒め讃えに戸惑ったり…


 ウキヨで開発したレシピにみんな箸が止まらなかったり…



 それぞれ眠くなるまで楽しい宴会は続いたのであった。

 


 

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