第17話 久しぶりに…

 同僚のカーセルとは相変わらず馬が合う。


 サンサと一緒に住む様になってしばらく経ち、久々に酒を飲みに出かける事になった。


 歳は離れているとはいえ、ナナ達に囲まれての生活は少し肩身が狭かった。

 嫌な訳じゃないが、子供はもちろん同棲もした事のない一人っ子育ちのおっさんには気を使う事も多いのだ。


 

 「ユーイチ、久々に飲めるな。ナナちゃんが来てから付き合い悪くて困るぜ。」


「すまないすまない。まぁカーセルも結婚でもしたら分かるさ。はは」


 元独り身としては、羨ましい気持ちも少しある。


 「そんな予定なんかあるかよ。まあ今日は付き合ってくれ。ユーイチのアドバイスで新しい料理も結構増えたんだぞ。当たり外れが多くて、試食するのも大変なんだけどなっ。」


 故郷の料理で〜と言う体で、あれこれ料理を教えたりしたからな。

 調味料が少ないこの世界じゃ再現も難しいだろう。

 当然ハズレも多くなるわけで。


 ともあれ気兼ねなく話せる男同士の飲みだ、楽しみで仕方ない。



 

 「「お疲れっ!」」


 注文もそこそこに、まずは乾杯。


「く〜っ」


 家で飲むのと違って美味く感じてしまうのは不思議だ。

 思わず唸ってしまう。


 「これこれ!美味いぞ?数少ない当たりだ。」


 出されたのはピザの様な料理。チーズはあったので、記憶を頼りにあれこれ説明した料理の一つ。

 ソースや生地は作り方も分からなかったのだが、マスターは頑張ったようだ。


「お?思ったより美味いな!」


 生地はモチモチでなく、少し粉っぽい。ソースも酸味が強めで少し違うな。

 それでも、乗せられた味の濃いソーセージと癖のあるチーズがなかなかイケる。

 今度2人にも食べさせてあげたい。


 「だろ?ユーイチもたまには役に立つ。」


 たまには余計だと、おっさん2人でバカ笑いしながら酒はすすむ。


 「それにしてもユーイチは羨ましい〜。ナナちゃんは可愛いし、サンサちゃんだっけか?美人だしな。」


 側から見ればそうなるのか。まあ悪くないから否定はしないが、見た目も良くて性格も良いが気苦労も多いのだ。


「いい子達だから助かってる部分も多いが、それなりに大変だぞ?」


 何だ何だと身を乗り出してくる。こいつの目当てはこれかと、溜息混じりに愚痴を吐く。


「まぁなんだ、生まれてこの方男所帯だったからなぁ。戸惑う事のが多いんだよ。」


 「へぇ〜」


 ニヤニヤしながら話のタネにされる。


 信頼が強すぎてなのか、無防備なのだ。


 ナナに性的な感情はなかったが、一緒に風呂に入って来たり着替えを手伝ってるとどうしていいか分からなくなる。

 ドキドキと言っても、警察に捕まってしまう、ニュースに顔が出るといったドキドキなんだが…


 サンサに関しては切実だった。


 家族として見ているのでどうこうはならないが、平気で着替えをしたり、風呂に入って来たりするのだ。

 年頃なんだからとか、狭い風呂だからとしぶしぶ納得させたのが記憶に新しい。


 獣族の扱いは特殊らしく、仲間内は歳関係なく男女一緒に水遊びをするようだ。

 人族からは異形扱いになるらしく、自分をそういう対象に見るのはほとんどなく、いても変態の部類だとか。


 私もナナも違う世界の人間なので、そういう感覚は全くない。

 むしろ、元世界の人の中には猫耳美女はご褒美案件である。


 カーセルに分かるよう掻い摘んで愚痴るが、苦労してるんだなと一言だけ。

 

(他人事みたいに…確かに他人事だけど、その疑いの目をやめてくれ!)


 愚痴って発散するつもりが、余計に疲れた気がした。


「もう今晩はとこと飲むぞ!カーセル帰さないからなっ」


 「ほ〜?望むところだぜっ」


 いつになく飲みまくり、その後はお約束のお姉ちゃんのお店へ消えて行くおっさん2人。


 スレンダーな美女との久々のバトルを終えた辺りで記憶がなくなる。




 ガンっ!


「いっ…」


 気がついたら既に日は登っていて、家の前で寝ていたようだ。


 半分開いたドアの隙間から、2人のなんとも言えない顔が見えていた…



_______________________


(久々に戦闘があったのでレベルが上がった)


【ユウイチ イチカワ】

種族 人間

スキル 順応

言語能力 識字能力 菌耐性1→2 筋力上昇3→4 疲労耐性3→4 物理耐性4 苦痛耐性3 気配察知1→2 気配遮断1 自然治癒2 恐怖耐性1 飢餓耐性1 精力増強3→4


※あまりステータスが生きない設定ですが、好きなので入れてます。


以前より仕事を頑張っていたり、大掃除、家でのラッキースケベ回避、美女とのバトルが反映。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る