カタリとバーグさんの復讐劇

亜未田久志

二人はカクヨムの公式キャラクター



 一人の少年がフクロウのようなトリに話しかける。


「ねぇトリ、覚えてる?」

「なにを?」

「君が僕に世界中の物語を救う使命を与えた時の事」

「カタリ、それは昔の話だよ」


 金のたまごを探していた。

 いつの間にかトリだけになっていたけど。

 必死に探していた。

 詠目ヨメを使って物語を探し当てた。

 その傍には彼女が居た。


「……トリさん、それはあんまりなんじゃないですか」

「やぁやぁ、君はカクヨムサポーターズパスポートの看板ちゃん」

「リンドバーグです! いい加減覚えてください!」


 リンドバーグことバーグさん。

 作者に対し少し毒舌なAIだ。


「そもそもなんで僕だったのさ、僕は活字苦手だったのに」

「……なんでだろうね?」

「私、普段、怒ったりはしないんですけど」


 カタリは心中で「それは嘘だ」と思ったが言わないのだ正解だと思い口を噤んだ。


「ちょっとトリさんには痛い目見てもらいます」

「……な、何を」

「大丈夫です、ちょっとくすぐったいだけです」

「何故、縛る! その串はなんだ!?」


 カタリは苦笑する。


「バーグさん、そこまでにしといてあげてよ、こんなんでも僕のパートナーなんだ」

「マシュマロでフォロワーと浮気するような奴ですよ」

「……うーん」


 カタリは苦笑いして頬を掻く、もはや居所が悪い。電子空間カクヨムを旅して数年経つが、ここまでギスギスしたのは初めてだった。


「というか今回のKACのお題はなんです? 『焼き鳥の登場する物語』?」

「ああ、それ、確か募集したやつじゃないかな?」

「嘘です。責任転嫁しないでください」

「いやね? 僕も多少は空気が読めるのさ。僕が犠牲になる事で、鬱憤が晴れるならいい事じゃないか」

「そっちじゃないです! 『登場する物語』と強制してるところに異議申し立てをしてるんです! 作者さんたちの自由度を下げてどうするんです!」

「えー、お題ってそういうもんだろ?」


 カタリはカバンの中の世界地図(読めない)にライターで火を点けた。


「小説の事はよくわかんないけどさ」

「カタリ? その火はなんだい?」

「その態度はダメなんじゃないかな」

「私達がお題になった時も設定のリンクを貼ったりもしませんでしたね?」

「いや……だから……」


 ブスっといい音がした。なんか軽い感触だとバーグさんは思った。

 カタリが火を近づける。


「ぼ、僕を焼いても中身は綿だぞ!」

「そんな設定ありません」

「君はトリみたいな謎の生き物、だよね? トリさん?」

「や、やめろーっ!」


 バーグさんはAIだから食事は必要ない。

 カタリの夕食は焼き鳥に決まった。

 あとカタリのバッグに付いているトリが本物からぬいぐるみになったが。

 誰も気づかないだろう。

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