素材12 異世界で死亡・チート発現再スタート

俺はトラックに轢かれた。そして目が覚めたら、俺が異世界に転生したことを知ったのだ。

「いやぁ~それにしても、この世界はいいね! 最高だよ!」

俺は思わず叫んでしまう。

だってそうだろう? 何せこの異世界には『魔法』があるのだから! まあ、俺も最初は半信半疑だったさ。でも、実際に使ってみたらマジで使えたからな。

それからというもの、俺は毎日のように魔法を使って遊んでいた。

ちなみに今は、その帰り道である。

「うーん……やっぱり、もうちょっと強い敵と戦ってみたいよな」

そう呟きながら歩いていると、前方に大きな森が見えてきた。

あれが噂の森か……よしっ!

「行ってみるか!」

こうして俺は森の中へと入っていったのだが――それが間違いだと気付いた時には遅かった。

「グルルルルッ……」

そこには巨大な熊がいたからだ。

「……え?」

突然の出来事に固まっていると、熊が襲いかかってきた。

「ちょっ!? 待てって!! ギャアァァァ!!」

俺は必死に逃げ回った。だが、すぐに追いつかれてしまい―――グシャリという音と共に意識を失った。「……ハッ!?」

目を覚ますと、そこは見知らぬ部屋だった。

ここはどこだ? 確か俺は熊に襲われて……。

そこでようやく思い出す。

そうだ! あの熊に殺されたんだ! ということは……ここが天国なのか? そんなことを考えていると、部屋の扉が開かれ一人の女性が入ってきた。

年齢は20代前半くらいだろうか? 腰まで伸びた長い銀髪と整った顔立ちをしている美女だ。

女性はゆっくりと近づいてくると、ベッドの隣に置いてある椅子に座った。

「気分はどうですか?」

女性はとても優しげな声で聞いてきた。「大丈夫ですけど……」

「それは良かったわ。では、早速本題に入りましょうか」

「本題?」

「はい。あなたをここに呼んだ理由ですが、あなたの魂は少々特殊でしてね」

「どういうことでしょうか?」

「まずはステータスを見てみてください」

言われるままにステータスを確認してみると、「これは!?」

名前:コウキ・イナミ

年齢:15歳

種族:人族

レベル1 体力:100/100

魔力:50/50

攻撃力:25

防御力:25

敏捷性:25

精神力:25

知力:25 運:55 〈スキル〉 剣術Lv.1(剣を扱うことができる)

火属性魔法Lv.1(火の玉を出すことが可能)

水属性魔法Lv.5(水の玉を出すことが可能)

風属性魔法Lv.2(風の玉を出すことが可能)

土属性魔法Lv.3(土の玉を出すことが可能)

回復魔法Lv.1(傷の治療が可能)

身体強化Lv.1(身体能力を強化することが可能)

鑑定Lv.1(人や物の詳細を知ることが出来る)

「このステータスがどうかしたんですか?」

「いえ、特に問題はないんですよ。ただ、私の予想だと、恐らくあなたには特別な才能があると思うのです」

特別の才能……つまりチート能力を持っているということか? それなら是非欲しいところだけど……。

しかし、彼女は首を横に振った。

あれ? 違ったのか? じゃあ、一体何の能力なんだ

「実はですね、私もまだ詳しくは分からないのですが、おそらくあなたの持っている『称号』が影響していると思います」

「『称号』?」

「はい。例えば、私は女神なのですが、女神の称号を持っていますよね?」

「確かに持っていますね」

「他にも、勇者や賢者など、色々な称号を持った人がいます。中には複数の称号を持つ人もいて、その中にはユニークと呼ばれる珍しい称号を持つものがいるらしいのですが、そういった人は強力な力を持つと言われています。そしてあなたにも、そういった特殊な称号が存在するはずです」

「な、なるほど……」

「それで、どんな称号をお持ちなんですか?」

「それが、自分では確認出来ないみたいで……」

「そうなのですか……でも、心配しなくても大丈夫ですよ。今から私が調べてあげますから」

「えっ!? どうやってですか?」

「こうするんです」

すると、彼女の手が光り輝き出した。

「おおっ!?」

思わず驚いてしまう。

「ふむ……どうやらあなたの称号は、『無能』『役立たず』『ハズレ者』といったものみたいですね……」……えっ?……ちょっと待って。

なんか、とんでもないのが出てきたんだけど!?

「ちなみに、その効果は……」

「えっと……確か、あらゆる能力を無効化したり、相手の運を下げることが出来て、さらに、他人の運までも下げてしまうみたいです……」……うん。これは間違いなく俺に与えられたものだな。

だって、そんな効果ありすぎるもん。

「そう……ですか……」

さっき

「大丈夫ですよ」って言ってくれた時とは打って変わって、とても悲しげな雰囲気を醸し出している。

「そ、そうだ! 俺があなたの分も頑張りますから!」

「えっ?」

「だから元気出してくださいよ!」

「……ありがとうございます」

なんとか立ち直

「ところで、これからどうしますか? 元の世界に戻ることは出来ませんけど、もし良ければ別の世界に生まれ変わることも可能ですが」

「他の世界に!?」

「はい。といっても、あまりオススメできませんが……」

「どうしてですか?」

「まず、元の世界で生き返ることは絶対に無理でしょう。それに、異世界に行ったとしても、必ずしも幸せになれるとは限らないからです」

「……どういうことでしょうか?」

「それは……まぁ色々あるんですよ。とにかく、お勧めできないということです」

「うーん……せっかくだし行ってみたいな。ダメでしょうか?」


「……分かりました。では、早速準備をしましょう。こちらへ来てもらえますか?」

こうして俺は、新たな人生を歩むことになった。

「うーん…」

……ここはどこだ? 俺は確か、熊に襲われて……。

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