クラスと親友

 あれから一週間経ったが俺たちはあまりクラス内では関わることなく日々を過ごしていた。

 別に特に理由がある訳ではない。

 クラスで元々出来ている関係性や空気感を壊すのが面倒くさいというだけである。

 まあ、そんな事は置いておいて、時は4限が終わりお昼休みに入っていた。

「花憐~!一緒にお昼しよ!」

 なんて今日も今日とて美澤さんが目黒さんにダル絡みしている。

 目黒さんも目黒さんで苦笑しているがどこか嬉しそうだ。

 俺がそんな親友な姿を遠目で眺めながら、お弁当を食べていると目黒さんが美澤さんを連れてこちらへと来た。

「内田くんも一緒ににさ...食べない?」

 目黒さんのこの一言に和気藹々としていたクラスがざわついた。

 当たり前だろう、普段何も喋らない陰キャに男女共に人気がある目黒さんが昼食に誘っているのだ。

 ...めちゃくちゃ気まずい。

「別に良いけどさ、美澤さんは良いの?」

 ぶっちゃけ、どんなヤツかも知らない俺となんて飯を食いたくないだろう。

「わ、私も花憐が食べたいなら全然...!」

 美澤さんは少し気まずそうにしながらも了承してくれた。



「...で?二人ってどういう関係?」

 あれから俺たちは机を繋げ、各々が持ってきたお弁当を食べていた。

「親友...!だよね?」

 目黒さんは待ってましたとばかりに満面の笑みで呟いた。

「...うん」

 少し恥ずかしくて思わず素っ気ない返答になってしまう。

 だが、目黒さんはと言うと何故だが、ご満悦な様子なのでバッチグーだろう。

「なんでまた...?どうやって知り合ったの?」

 そして、美澤さんも美澤さんでこの手の話が好きなのか興味津々な面持ちだ。

「...秘密」

 流石に夜道で体育座りしていたら助けられたなんて言えなかったのだろう。

「えぇ!なにそれ~!キャー」

 これは薮蛇だったのではないだろうか...

 何か適当なエピソードをでっち上げた方が良かった気がする。

「...そんな事は置いておいて...!私が落ち込んでる時に、内田くんが『俺と一緒にいれば良い』って...言ってくれたの...!」

 目黒さんはトロんとした瞳で俺の袖をクイクイと引っ張りながらそう呟いた。

「ってことは...え!?何?付き合ってるの!?おめでとおおお!花憐にも春が来たんだね...!」

 このとんでもない誤解が解けるのに昼休み丸々かかったのだった。

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