第28話 初めてのレベル上げ⑥
——ツルンッ!
『フンゴオオオオオオオオッ!?』
「はい?」
「よし、ヌメったな!」
ブルファングを誘い込んだ場所には、ヌメルインセクトの体液が地面に大量に残っていた。
この体液だが、ものすごくヌメヌメしている。とんでもなくヌメヌメしているのだ。
そのヌメヌメがこの場には至るところに飛散しており、全力疾走で
それだけではない。そのまま俺とグウェインの前までススーッと滑ってきたのだが、その姿はブルファングの皮膚の中で唯一柔らかい、弱点であるお腹を
「これなら、俺でもブルファングを倒せるんだよ!」
『フ、フンゴオオオオオオオオッ!!』
片手剣を両手でしっかりと握り、切っ先を向けてブルファングのお腹目掛けて一気に突き刺す。
背中の皮膚とは違い、剣身がお腹の中へ簡単に吸い込まれていく。
『フゴ……ゴォ……ォォ…………』
「……すごい。ブルファングを、一撃で?」
ちなみに、突き刺す場所に関しても鑑定スキルの指示が出てきており、一突きでブルファングの心臓を貫くことに成功していた。
しばらくしてブルファングが動かなくなると、俺の体に不思議なことが起きた。
「……ん? なんだ、体が軽くなった? それに、力が
俺はすぐにステータスと口にすると、待ちに待った瞬間がやってきたと歓喜の笑みを浮かべた。
「……やった……レベルが、上がったぞおおおおぉぉっ!!」
「大げさだよ、トウリ。まあ、初めてのレベルアップだから仕方ないか」
苦笑しながらそう口にしたグウェインだが、俺にとっては初めてのレベルアップであり、異世界で生きていく中で一番重要なイベントでもあったのだ。
「はああぁぁぁぁ……ようやくだよ」
「うんうん、よかったね、トウリ」
「あぁ、本当によかった。これでレベル2かぁ。もっと頑張らないとな!」
「そうだね、レベル2になったんだから……え? レベル、2?」
「そうだけど?」
「「…………えっ?」」
話が噛み合っていないと感じて振り返ると、グウェインと目が合ったもののまばたきを繰り返すだけで、しばらくして同時に声を漏らした。
「ど、どうしたんだ? レベルは上がったんだから問題ないだろう?」
「いや、そうなんだけど……ブルファングを倒したんだから、もっとレベルが上がったと思っていたんだ。そしたら1しか上がっていないと聞いて、それで……」
「……あれ? そういえば、なんで1しか上がっていないんだ?」
グウェインの疑問の声を聞いて、確かに俺も違和感を覚えた。
ブルファングのレベルが低かったのか? いや、それでもミニファングから大人になった魔獣なんだからレベルが低いわけないじゃないか。
……これ、今考えてもさっぱりわからない案件じゃないだろうか。
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