告白

告白

「はぁ…」

 生チョコ大福が大好きだったあの頃、今も好きだけど。

 暫く眺めて、食べずにいたら、

「俺、食べるけど…」

「え…」

 食べちゃうの…?

 もっと、愛でていたいのに…。

「そんな切なそうな顔、しちゃダメだよ」

「食べちゃ、ダメ…」

 まだ、食べちゃ嫌だよぉ。って、ダダこねたけど、快人かいとくんはまぁまぁと柔らかい笑顔で食べた。

 切な過ぎて、肩を落とした。

「はぁ…」

 たかが生チョコ大福。だけど、私にはされど生チョコ大福なんだよ…。

「美味しかった…??」

「美味しかったよっ」

 何だよ。その笑顔…。

 イケメンが、更に割増イケメンに…もう神々しくて直視出来ない…。

「そっかぁ…」

「食べないと、俺が食べちゃうよ…?」

 お口を開けて、私の分まで食べようとする快人くんの顔を阻止。平手打ちで。ただ阻止するつもりが…。良い音、鳴ったね…。ごめんなさい。

「ひ、酷い…」

「食べようとするからでしょうがっ」

 食べ物の恨みは恐ろしいんだよ…。と、快人くんを横目で見ながら口に…。

「す、好き…」

 思わず、声に出てしまった…。見た目だけじゃなくて中身も素敵だった…。

「俺も、好きだよ…?」

「でしょ??」

 あんことチョコレートの塩梅が…。絶妙。幸せ…。

紗子さえこのこと」

「ん??」

 私のこと??

「好きなんだけど…」

「私も好きだよ」

 こっちの抹茶生チョコ大福も、好き。

「そういうことじゃないんだよな…」

「えっ?!違うの?!」

 まぁ、いいけどね。って、快人くんが肩を落として溜息吐いてる姿を笑い飛ばして、食べてたあの頃が懐かしいわ…。

 そんな懐かしいお菓子を味わっていたら、目の前にいる快人くんが更に近付いてた。ぎゅーってハグされてるらしい。

「サエちゃん、好き…?」

「うん…」

 この生チョコ大福が。

 そして…。

「俺も好きだよ」

「美味しいよね」

「え…?」

「美味しくない…?」

「美味しいよ」

「でしょ?でしょ?」

 私の好きを受け入れてくれる快人くんが大好き。今も。昔も。ずっと…。これからも。

 絶対、言わないけど、ね。

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告白 @tamaki_1130_2020

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