第79話 明人の誤解


途中から結構ストレス溜まるかもです。


―――――


紗耶香がサークルの飲み会から帰っている所からです。


「一条さん大丈夫」

「だ、大丈夫です」

「ごめんね。こんなに弱いとは思わなかったから」

「すみません」

 遠藤さんが勧めたのに。


 私はちょっとしゃがみこんでしまった。気持ち悪い。道路の側溝に少し戻してしまう。

「あーあ、仕方ないなあ」

「すみません」

 遠藤さんが背中を擦ってくれる。ほとんどふらふらで意識が無い。


「あっ、遠藤さん、俺支えます」

 来ないで。


「ありがとう岩崎さん。私一人じゃやっぱり送って行けない」




「一条さん、マンションの前に着いたよ」

 ほぼ意識がない中で鍵を渡した。


「仕方ないなあ」

「ねえ、岩崎さん、私帰らないと不味いの。後頼んでいいかな」

「えっ、でも」

「お願い」

「ちょ、ちょっと」

 ごめんね、一条さん、今日アパートで大事な事があるの。


 俺岩崎孝雄、遠藤さんが帰って行ってしまったよ。こういうの経験ないし、とにかく一条さんを部屋に入れて帰るしかない。


 俺は教えて貰った部屋の玄関まで来ると彼女から渡されている鍵でドアを開けた。

「一条さん入りますよ」

 

 駄目だ、完全に寝ている。申し訳ないけど


 鍵を開けると女の子の匂いが思い切り鼻を突いた。


 ここが一条さんの部屋。


 仕方なく、一度玄関に座らせて靴を脱がせた。立ち膝状態なので彼女のスカートの中が丸見えだ。ごめん。


 もう一度彼女を起こして彼女の肩を担いで部屋に入り、ソファに寝かせた。寝ている姿を見る。自分の好きな人が目の前で無防備に可愛い顔で寝姿を晒している。


今だったら。

いけない、いけない早く帰らないと。鍵はポストに入れればいい。


帰ろうとすると


「待って、行かないで」

 私はこの時までは遠藤さんが側にいると思っていた。


「でも」

 どういう意味で言ったんだろう。理由は分からないけどソファの側で腰を下ろすと


 綺麗な寝顔、髪の毛が顔に垂れている。そっとそれを耳の後ろにあげると首から胸にかけての綺麗なラインが目に入った。


そのまま下に視線を流すと一条さんの腰からお尻にかけてのラインが綺麗に流れスカートが膝の上で切れていた。


 やっぱり帰らないと。床から立とうとすると

「行かないで明人」


 勘違いしているか。一条さんの彼明人って言うんだ。どうしようかな。俺も眠くなって来た。明日早く帰れば良いか。お休み。一条さんが寝ているソファの上に顔を付けて寝てしまった。



…………。


 俺は昨日いくら電話しても出ない紗耶香が心配になり、朝七時前に彼女のマンションに行った。


 マンションに着くと部屋番号を押してロビーのインターフォンを鳴らす。


 出ない。仕方なしに少し待っているとマンションから出て来る人がいた。その人がドアから出て閉じる直前、マンションに入った。部屋番号は知っている。


ピンポーン。


出ない。不味い。もう一度


ピンポーン。


いないのかな。




 重い頭の中でインターフォンが鳴っている。仕方ない。誰だろう。目を開けると

「えっ、えっ、えーっ。な、な、何で岩崎さんがここに!」


 自分の姿を見ると特に着衣に乱れが無い。あっ、昨日送ってくれたんだ。彼をそっとしたまま、玄関のカメラを見ると


「えーっ、明人。どうして」

 ま、不味い。不味い。まず彼をどうにかしなきゃ。仕方ない。


「岩崎さん、すぐ起きて」

「うーん、あっ、一条さん。昨日は・・」

「そんなこといいから。寝室に行って。早く」

「えっ、でも」

「早く!」

「は、はい」


 岩崎さんが寝室に隠れたのを見届けるとドアを開けた。


「どうしたの明人?」

「うっ、紗耶香お酒飲んだの?」

 お酒の匂いがする。


「うん、昨日サークルの終りに」

「そうか、昨日の夜電話しても全然出ないから、心配して来たんだ」

「ごめん、ありがとう」

「ねえ、上がらせて」

「あっ、ごめん。上がって」


 俺は玄関に入り上がろうとした時、男の靴を見た。

「紗耶香、これ誰の?」


「あっ、これは」



 その時だった。


「一条さん、ちょっと…」

「「えっ!」」


 俺は寝室から出て来た見知らぬ男を見た。髪の毛がぐちゃぐちゃで洋服も乱れている。

「紗耶香、どういう事?」


「一条さん、誰その人?」


「あっ、いや、これは」


「紗耶香!」


 ショックだった。心配して紗耶香のマンションに来てみれば知らない男が寝室から出て来た。信じられない。俺に内緒で別の男を泊まらせていたなんて。


「紗耶香どういう事?」

「この人は同じ大学の人で同じサークルの人。昨日送って貰ったの」

「何で朝までいるんだよ。それも寝室に!おかしいじゃないか」


 男が俺の方を見ている。何も弁解しないのはそういう事だろう。


「俺帰る」


「ちょっと、待って明人」


 どうしてなんだよ!紗耶香の部屋のドアの方から何か聞こえて来たけどエレベータが来たので直ぐに乗った。一階に着くと直ぐにマンションを出た。


 私は明人を追いかけて靴も履かずに廊下を追いかけたけど、明人がエレベータに乗って行ってしまった。


 どうしよう。


「あの、一条さん。大丈夫」


 私は裸足で自分の部屋に戻ると直ぐにスマホを取って明人に電話した。


 出ない。どうしよう。どうしよう。


「あの、一条さん。俺帰ります」

「えっ、ちょっと待って」


 ダイニングに座り、

「あの、昨日は…」

「はい、遠藤さんと俺とで送って来て遠藤さんが帰ってしまったので俺が部屋まで送って来て。すみません、寝てしまいました」

「な、何も無かったんですよね?」

「はい。一条さんすっかり寝ていたので」


「岩崎さん、お礼はまた後日します。今日は帰って貰えますか」

「はい、すぐ帰ります」



 とにかくもう一度明人に連絡しないと。


 出ない。どうしよう。そうだ、明人のアパートに行って事情説明すれば。今日の授業は欠席して。


 俺は紗耶香のマンションに行った後、自分のアパートに帰った。どうしても理解出来ない。いつ、どうして。紗耶香が俺以外の男を部屋に呼ぶなんて。


 ブルル、ブルル。


 あっ、紗耶香だ。今出る気分じゃない。切った。


 ブルル、ブルル。


 また紗耶香だ。スマホの電源をオフにした。


 明人が出ない。とにかく彼のアパートに行かないと。


 最寄りの駅を降りて彼のアパートに向かう途中。

 

 えっ、何で鏡先輩が。彼女が改札を通って行った。


 あれ、一条さん、どうしたんだろう血相変えて改札を出て行った。明人と何かあったのかな?


 明人に連絡して見るか。えっ、出ない。電源が切られている。どういう事。さっき一条さんが行ったって事は。


 嫌な予感がして直ぐに明人のアパートに向かった。


 案の定、彼女が明人の部屋の前で待っていた。インターフォンを鳴らしても出ないみたいだ。どういう事?まさか明人に何かあったんじゃ。


 私は急いで明人の部屋のドアに行くと

「一条さん、どうしたの。こんなに朝早く水森君の部屋の前で何回もインターフォンを鳴らすなんて」

「えっ、なんで鏡先輩がここに」

「そんな事どうでもいいわ。彼どうしたの?」

「出ないんです」

「そう」


 ここで合鍵を出すのは可哀想か。

「声を出して呼んでみたら」


 ドン、ドン、ドン。明人!


 うるさいな。俺はドアの外のカメラを見ると、えっ紗耶香と京子さん。どういう事?


―――――

 

 これはちょっとトラブルです。

 

次回をお楽しみに

 

面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。




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