第71話 GWはゆっくりと w/京子バージョン


 GW最初の三日間は京子さんと一緒だ。前日泊ってしまったおかげで、今彼女と一緒に朝食を食べている。トーストにコーンスープ、サニーサイドエッグにレタスとプロセスチーズだ。


「明人、今日はどこ行こうか?薔薇園でも行ってみる。近くにあるし」

「良いですよ。京子さんの行きたい所で」

「じゃあ、そうしようか。明日は浅草寺でも行く?」

「京子さん渋いですね」

「明人…。鈍いわね。まあいいわ。大好きなあなたへの私の心使いよ」


 全くこの子は。本当は渋谷とか原宿とか一緒に行きたいけど。どうせあの子と行くだろうから気を使っているのに。

 いずれ明人は私を選ぶ。だから彼女には今の内に少しは良い思いさせておいてあげる。


「…えっ?」

「まあ、いいわ。夕食は今日は外食にしましょう。いいお店知っているの」

「外食?俺持ち合わせ少ないんですけど」

「明人、私といる時はそれは気にしないの」

「でも…」

「いいから」


 京子さんがお金持ちのお嬢様だという事は知っているけど、そういえば家庭の事聞いた事ないな。


「京子さん、あのプライベートな事なんですけど」

「今更プライベートな事って明人と私の間にあるの?」


「はい、京子さんのご両親って何のお仕事しているんですか?」

「ああ、その事。お父様は大学病院で外科部長している。お母さんは、パートよ。いずれ分かるわ。明人と私の間がはっきりとなったら紹介するつもりだから」


「えっ、……」

「何を驚いているの。お父様の事、それともその後言った事?」

「その後この事です」

「なんで驚くの。自分の好きな人、お付き合いしている人を両親に紹介する事が驚く事なの?」

「それは良いんですけど」

「…ああ、そういう事。心配しなくていいわ。最初はお付き合いしている人っていうだけだから。

 でも私は明人に一生捧げるつもりよ。明人が大学院に行かない限り、私の方が一年多く大学にいる事になから。それも好都合だわ。

 明人が仕事していてくれれば、私が卒業してすぐに結婚出来るでしょ」

「…………」


「ふふっ、先の事は考えないの。でも心の奥に仕舞って忘れないでね」

「あの、俺医者になるつもりは無いんですけど」

「全然構わないわ。お父様は開業医では無いから」


「…なんでそこまで俺の事を?」

「決まっているじゃない。明人が好きだからよ。私好みにかっこいいし、でも外見けだじゃないわ。ちょっと優柔不断だけど私に優しいし、責任感あるし、もちろん私と同じ価値観で会話できる知識持っているし。

 私、自分と同じ価値観で会話出来ない人嫌いなの。それにあっちもぴったりだし」


 最後の一言で下を向いて赤くなっている。しかし参ったな、そこまで考えているとは。


「明人、それよりコーヒー飲む?今から淹れるけど」

「お願いします」

 

 俺達はその後、近くの薔薇園に行った。洋風建築だけど中が和洋折衷の建物で庭が日本庭園の様になっていて、その庭と建物の間に薔薇園がある。


「少し早かったかな。でも少し咲いている薔薇も綺麗よね」

「はい、でも京子さんの方がもっと綺麗ですけど」

「ふふっ、偶には嬉しい事言ってくれるわね。こうしちゃう」


 そう言って俺の腕に抱き着いて来た。実際、周りの男の人の視線が凄い。明らかに薔薇より京子さんを見ている。


 一緒の女の人に肘で脇腹を突かれている人もいる位だ。


「明人、建物の中でアイスクリーム食べる?」

「良いですけど、結構並んでいますよ」

「いいの、並ぶのも貴方と一緒だったら楽しいわ」


 それから三十分程して建物の庭でアイスクリームを一緒に食べた。


「もう午後一時ね。昼食にしようか。近くにちょっと古風なお蕎麦屋さんがあるの」

「はい、良いですよ」


 蕎麦屋の構えはとても昭和という感じで蕎麦の味がしっかりしていて美味しかった。食べ終わった後、


「明人、六本木に行こうか。このGWで行く予定無いでしょ。ふふふっ」

 明人とあの子にはまだ六本木はハードルが高いはず。選択はしないと思う。




 俺は今、空をいやビルを見上げている。

「はぁーっ、高いですね」

「ここは○○木ヒルズって言って、有名な所よ。こうして周りは庭になっていて、ビルの中は商用施設と住居になっている」

「えーっ、ここに住んでいる人がいるんですか」


「そうよ。私は興味無いけど。住むなら郊外の方がいいわ。空気は綺麗だし。今の時世、物流は問題ないし、まあ、サテライトハウスならいいけど。明人欲しいなら結婚した後、一部屋買ってあげるわ」

「いや、いいです。俺も郊外派なんで」

 なんか、金銭感覚違うな。


「明人、この中で景色の良い喫茶店が入っているの。行きましょう」

「いいですね」



 私鏡京子、私達はお茶をゆっくり飲んだ後、少し私の買い物に付き合って貰って、近くの○○ホテルで夕食を取った。

 彼は驚いていたけど、少しずつ慣れて貰わないと。


 その後、本当はこのままホテルに泊まりたかったけど、お楽しみはまだ取っておかないと。それに彼はまだ慣れていないし。


 だから地下鉄に乗って私のマンションに戻った。もちろんお風呂に入った後は、ふふふっ。彼と体を合せていると本当に幸せを感じる。これは大切な事。ずっとこうして居たいと思ってしまう。


 そして次の日は浅草寺につれて行ってあげた。やはり人の多さに驚いていた。しっかりと手を掴んでいないと逸れそうになってしまうくらい。でも嬉しかった。彼もしっかりと手を繋いでくれた。


 この夜は私の手料理。胃袋もしっかり掴んでおかないとね。彼は美味しそうに食べてくれた。もちろん夜は、ふふふっ。



そして三日目の朝

「明人、今日はあなたの好きでいいわ」

「うーん。分からないです。京子さんに連れて行って貰ったところ以外は、学校とアパートの往復しかしていないので」


「仕方ないなあ。じゃあ映画でも見に行く。一昨日行った○○木ヒルズの中に映画館あるわよ」

「あっ、それで行きましょう」

「じゃあ、出かける支度しましょうか」




 俺達は、京子さんと映画を見た後、ウィドウショッピングをして、一緒に買い物をして彼女のマンションに戻った。


 夕食をご馳走になってから、お風呂に入り、いつもの流れになった。明日は授業がある。しっかりと受けないと。


―――――

 

 平和なGWのw/京子バージョンでした。

 

次回をお楽しみに

 

面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。

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