僕の彼女は静かで優しい女の子だった

@kana_01

第1話 プロローグ


始まりました。

宜しくお願いします。


――――――


 俺は水森明人、中学三年生。身長百七十二センチ、顔普通、体は細い、頭普通、特技無しと、まあその辺にゴロゴロいる男子である。

 

 俺には気になっている女の子がいる。名前は高橋綾乃、肩までの髪の毛で眼鏡をかけている。体は細く胸もそれほど大きくない。百五十七センチ位。勉強は出来る。


彼女は眼鏡を外すとめちゃくちゃ可愛い。それを知ったのは、図書室で彼女が偶々眼鏡を取り、普段眉毛までかかっている髪の毛を上げた時だった。


信じられない位の美少女。それ以来、俺は彼女が気になってしょうがない。


普段は教室の片隅で本を読んでいるあまり目立たない。友達はいるようだけど。


俺は放課後図書室にいる。クラブは学校指定日に参加する数学クラブ。別に数学が好きな訳ではない。帰宅部と同じ位楽だからだ。


そんな俺が彼女と話す機会が有った。


一学期末試験が一週間後に迫ったある日、教科書の問題を解きながら、これは分からんという顔をして頭をコンコン小突いていると同じテーブルで勉強していた彼女が声を掛けて来た。


「水森君、どうしたの頭を小突いて?」

「えっ、あっ……ここの問題の解き方が分からなくて」

「見せて。あっこれはね。この公式を使って解くといいよ」


 俺の側に来て顔を付ける様にして教えてくれた。ええっ、これはどういう事?

取敢えず教えて貰った公式を使って見たら簡単に解けた。


「出来ました。ありがとうございます」

「ふふっ、どういたしまして」


「あの、もし出来るならまた教えて貰って良いですか?」

「いいですよ」

「本当ですか!」

「水森君声大きい」

「あっ!すみません」



 それから図書室だけだけど期末試験が始まるまで一緒に勉強する事が出来た。偶には一緒に駅まで帰った。何処に住んでいるかなんてとても聞けない。




そして期末試験の結果が発表された。

 ・

 五位 高橋綾乃

 ・

 ・

 三十八位 水森明人


 やったあ、成績順位表なんて縁の無かった俺は、心の中で飛び上がって喜んだ。


「高橋さん、ありがとうございます。初めてです。これに載ったの」

「良かったですね」



 期末試験が終わると夏休みまで一週間。放課後図書室で同じように会ってはいるが、話しかける機会が無くなった。

 夏休みまで後三日に迫った日の放課後、彼女が図書室を出て行くのを待って一緒に出た。下駄箱で履き替えた後、思い切り勇気を絞って


「高橋さん、駅まで一緒に良いですか」

「良いですよ。前も一緒に帰りましたよね」

「あの時は試験勉強の帰りだったので」

「私は構わないですけど」

 えっ、なんて事だ。俺は自分でチャンスを逃していたのか。じゃあもしかして


「高橋さん、あの……夏休み、一緒に遊びませんか?」

 何とか言えた。


「えっ?!」

 水森君から誘われた。どうしよう。でも特に予定無いし。彼なら大丈夫そうだし。


「良いですよ。日程が合えば」

 予定入ってないけど。


「俺はいつでも。あっ、夏休みの宿題っていつやります。俺はいつも初めの方に終わらしてしまうんですけど。……もし一緒に出来たら早く終わるかなと思ったりして」

 俺なんて事言っているんだろう。



凄い事言われちゃたな。私も休み初めに片付けるけど。でも何処で?

「良いですけど、何処で出来ます。二人だと難しいですよね?」


まさか、俺の家なんて言えないし。そうだ

「図書館どうですか。学校の隣駅に市立図書館有りますよね」

「図書館ですか。良いですね」

「じゃあ、夏休み始まった日から毎日十時に図書館の入口で待ち合せはどうですか?」

「良いですよ。そうしましょう」


 やったあ、これで高橋さんと一週間以上一緒にいれる。もう駅だ。



「高橋さん、ありがとうございます。じゃあ夏休み始まったら図書館で」

「そうですね」


 残念だけど俺と彼女は電車が反対方向だ。




高橋綾乃視点

 はぁ私、水森君と夏休みの宿題一緒にやる約束しちゃった。彼は教室でも目立たない子だけど、友達もいるみたいだし、話している事も普通だから、何気なく図書室で困り顔の彼に声を掛けたら今日まで来ちゃった。

 私が男の子と話すなんて。でも水森君優しそうだし。友達になれそうかな。




 夏休みの初日


「母さん行って来まーす」

「明人、夏休み始まったばかりでしょ。こんな朝からどこ行くの?」

「図書館で勉強」

「えっ、図書館で勉強?」

「うん、帰って来るのは夕方だから」

「分かったわ。夕食までには帰って来なさい」


 俺の家は、学校の最寄りの駅から図書館のある駅の方へ五つ行った所にある。ごく平凡なサラリーマン家庭。

 姉が姉弟で一人いる。水森美里だ。高校二年生。県下有数の進学校に通っている。普段から俺の事を勉強出来ないって言っているけど、この前の学年末試験で三十八位に入ったと言ったら驚いていた。


図書館の有る駅まで四つだ。直ぐに着いた。図書館まで十分。急いで行こうと思ったら

あれっ、高橋さんが改札にいる。どして?


「高橋さん、おはよ。ここでどうしたの?」

「あっ、水森君だ。良かった先に行ってなくって。私図書館初めてなんだ。スマホのマップで調べたんだけど、駅から十分位あるし、道分からなくなったら嫌だなと思って水森君待っていた」

「そうなんだ。じゃあ最初からここ待合わせにすればよかったね」

「明日からここでいいですか」

「良いですよ」

 なんというラッキー。今回は幸運の女神存在を信じたい。


行く途中、高橋さんと話した中で分かったのは彼女の家は学校の最寄りの駅から三つ目だという事だ。俺の家の場所も教えた。凄い急接近…だよね。


「結構待っていますね」

「夏休み入ったからね」


 順番で入りなんとか隣同士の席を確保出来た。でも声は出せないので昼休みの時に分からない所を教えて貰う形になったけど、俺としては十分だ。


 それから八日間で夏休みの宿題ほぼやり終えた。でもこれでは困る。何とかしないと。

図書館からの帰り二人で喫茶店に寄った。


「水森君今日で終わったね。楽しかったよ」

「うん、ありがとうございます。でもこれで会えないの、ちょっと…………」


「ふふっ、私も」

「えっ、本当ですか。じゃあまた会って貰えます?」

「うん、全然いいよ。あっ、スマホのアドレス交換しようか。連絡に必要だし」

「はい」

 信じられない。彼女からこんな事言って貰えるなんて。


「あの、いつ頃なら空いています」

「お盆の週は駄目。家族で用事があるから。他の日はいいよ」

「じゃあ、八月は入ったらいいですか」

「うんいいよ。何するの?」


「ごめん、まだ考えていない。今日の夜に連絡でも良いかな?」

「待ってます」


 ここから俺の夢の様な夏休みが始まった。


―――――


次回をお楽しみに


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。


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